この記事では「ヤケになる」について解説する。

端的に言えばヤケになるの意味は「自暴自棄になる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「ヤケになる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「ヤケになる」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「ヤケになる」の意味や語源・使い方まとめ

「ヤケになる」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?もしかしたら「ヤケになった」ことがある人もいるかもしれませんね。筆者は高校受験の第一志望を、直前でワンランク下げたにもかかわらず合格しなかった時はヤケになりました。今回はそんな「ヤケになる」という言葉について解説をしていきますよ。

それでは早速「ヤケになる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ヤケになる」の意味は?

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「ヤケになる」には、次のような意味があります。

1.思い通りに事が運ばず、あとさきを顧みない投げやりな態度をとるさま。
2.やけくそになる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ヤケになる」

「ヤケになる」とは、「思い通りに事が運ばず、やけくそになるさま」の意。誰でも些細なことからどうしようもなく凹むことまで、思い通りにいかない経験ありますよね。「ヤケになる」とは、思い通りにいかなかった後の言動を表す言葉です。

「ヤケになる」の語源は?

次に「ヤケになる」の語源を確認しておきましょう。

そもそも「ヤケ」とは何でしょうか。「ヤケ」とは、漢字にすると「自棄」ですがこれは後付された漢字ですよ。本来は「焼け」からきていて、3つの解釈があるとされています。一つ目は築き上げた財産や家屋が火事で焼かれて立ち直る気力も失せるからきた「焼け」、二つ目は物が焼けてしまうと形や性質そのものが変わってしまうことからくる「焼け」、三つ目は思い通りにならずに心が焼けるように苛立つ「焼け」。語源という観点では一つ目が辞書などに載っていますが、口語で使う場合は、三つ目の意味が強いですね。

ですので「火事で財産などを失い、立ち直る気力もなくなり苛立つ事」が語源と成っています。

\次のページで「「ヤケになる」の使い方・例文」を解説!/

「ヤケになる」の使い方・例文

「ヤケになる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼はフラれてヤケになっている。
2.試合に負けてヤケになって練習をさぼった。
3.1年かけたプロジェクトがボツになりヤケになった。

3つの例文を挙げてみました。出来るだけ身近に感じる例文にしてみましたが、似たような感情を抱いた事はないですか?大好きな人に一世一代の告白をしてフラれたり、全力で頑張ったのに結果が出せずに逃げてしまったり。例文の三つ目は筆者の体験談です。会社をかけたインバウンド計画がパンデミックと重なり一瞬で散ってしまった経験に基づいていますよ。当時は何も考えられないほどに落ち込みヤケになったものです。

「ヤケになる」の類義語は?違いは?

「ヤケになる」の類義語は何でしょうか。

その1「自暴自棄」

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「ヤケになる」と1番近い意味を持つのが「自暴自棄」です。「じぼうじき」と読み、「思うようにならずに投げやりな行動を取ること」の意。「ヤケ」の当て字もこの「自棄」からきていますよ。漢字を見ても分かる通り「自(自分)暴(自らを害する・損なう)自棄(自分を棄てる・放り出す)」となっているので、「自分自身を損ない放り出す」からヤケになるの意味になります。

\次のページで「その2「捨て鉢」」を解説!/

その2「捨て鉢」

「捨て鉢」「すてばち」と読み、「どうにでもなれ・自暴自棄」な気持ちを表す言葉です。お坊さんが街で布施をする食などを受ける鉢を持って立っている姿を見かけたことはありませんか?あの鉢を「托鉢(たくはつ)」と言います。あの行為は修行の一貫なのですが、その修行が辛く鉢を捨てて修行を投げ出すさま表しているという説が語源とされていますよ。

「ヤケになる」の対義語は?

「ヤケになる」には、明確な対義語はありません。

真っ先に浮かんだのは「慎重」でしたが、意味を調べると「注意深いさま」とあり、対義語は不注意なさまを表す「軽率」でしたので見当違いでした。「自暴自棄」で調べると「自重自愛」と出てきますが、意味を見てみると「自分で自分の体を大切にすること」となっていますよ。こちらも「思い通りにいかず投げやりになるさま」や「ヤケになる」と反対の意味にはなり得ないので、対義語とは言えないでしょう。

従って、「ヤケになる」の対義語は存在しないという結論になりました。

「ヤケになる」の英訳は?

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「ヤケになる」を英語で表現するとどうなるでしょうか。一緒に見ていきましょう。

「desperate」

「ヤケになる」の英語表現は「desperate」が適切でしょう。「desperate」は「自暴自棄になった・捨て身の」という意味の形容詞になりますよ。この「desperate」を使った例と、婉曲表現にした例文を挙げておくので参考にしてみて下さい。

「Don't get desperate.」

(ヤケにならないでよ。)

「Don't lose control of yourself.」

(自分の感情をコントロールする気持ちを忘れないで。)

\次のページで「「ヤケになる」を使いこなそう」を解説!/

「ヤケになる」を使いこなそう

この記事では「ヤケになる」の意味・使い方・類語などを説明しました。「ヤケになる」とは、「思い通りにならずに投げやりになるさま」の意味でしたね。世の中思い通りに行かないことだらけで、やけになるなという方が難しいかもしれません。この言葉を調べていく中で心に刺さる言葉を見つけたので紹介しますね。

「自ら暴(そこな)う者は、ともに言(かた)ること有るべからず。自ら棄(す)つる者は、ともに成すこと有るべからず」

中国の思想家、孟子(もうし)の書『離婁(りろう)』にある言葉で、「自暴自棄」の語源となった言葉です。分かりやすく言うと「自分自身をダメにする人とは語ることはできないし、自分自身を捨てるような人とは一緒に何かをすることはできない」という意味ですよ。自分をダメにする人とは礼儀や道徳がない人であり、自身を捨てるような人は思いやりや礼儀ある行動ができない人との説明もありますよ。

「ヤケになる時」にはそれなりの理由があるでしょう。ですがそんな時の自分は「礼儀や道徳・思いやりに欠ける」状態であると覚えておくと、困難に晒された時でも自分を見失わずに済むかもしれませんね。

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国語言葉の意味

「ヤケになる」の意味や使い方は?例文や類語を読書好きWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「ヤケになる」について解説する。

端的に言えばヤケになるの意味は「自暴自棄になる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「ヤケになる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「ヤケになる」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「ヤケになる」の意味や語源・使い方まとめ

「ヤケになる」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?もしかしたら「ヤケになった」ことがある人もいるかもしれませんね。筆者は高校受験の第一志望を、直前でワンランク下げたにもかかわらず合格しなかった時はヤケになりました。今回はそんな「ヤケになる」という言葉について解説をしていきますよ。

それでは早速「ヤケになる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ヤケになる」の意味は?

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「ヤケになる」には、次のような意味があります。

1.思い通りに事が運ばず、あとさきを顧みない投げやりな態度をとるさま。
2.やけくそになる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ヤケになる」

「ヤケになる」とは、「思い通りに事が運ばず、やけくそになるさま」の意。誰でも些細なことからどうしようもなく凹むことまで、思い通りにいかない経験ありますよね。「ヤケになる」とは、思い通りにいかなかった後の言動を表す言葉です。

「ヤケになる」の語源は?

次に「ヤケになる」の語源を確認しておきましょう。

そもそも「ヤケ」とは何でしょうか。「ヤケ」とは、漢字にすると「自棄」ですがこれは後付された漢字ですよ。本来は「焼け」からきていて、3つの解釈があるとされています。一つ目は築き上げた財産や家屋が火事で焼かれて立ち直る気力も失せるからきた「焼け」、二つ目は物が焼けてしまうと形や性質そのものが変わってしまうことからくる「焼け」、三つ目は思い通りにならずに心が焼けるように苛立つ「焼け」。語源という観点では一つ目が辞書などに載っていますが、口語で使う場合は、三つ目の意味が強いですね。

ですので「火事で財産などを失い、立ち直る気力もなくなり苛立つ事」が語源と成っています。

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