中国で現在の「敷衍」になった理由とは?
中国語での「敷衍」の意味は元々日本語と同様の「押し広げる」という意味でした。これがいつしか「持ちこたえる」という意味になります。「押し広げる」という言葉から、延長するというイメージが広がり、「持ちこたえる」に転じたのかもしれません。
その後「敷衍」は「持ちこたえる」よりさらに意味が転じて、「適当に誤魔化す」という意味になりました。これは「その場を持たせる」というニュアンスが肥大していった結果そのように変化したのではないでしょうか。
「敷衍」の類義語は?
image by iStockphoto
意味合いとしても知名度としても、普段から使いやすいとは言えない「敷衍」ですが、意外にも類義語は豊富にあります。ややニュアンスが変化してしまいますが、それほど決定的な違いというわけでもなく、総じて置き換えは簡単です。ただし前後の文脈には気をつけて、日本語としておかしくならないように整えましょう。
また、「敷衍」そのものはやや理解しにくい言葉ですが、類義語はそれほど複雑な言葉が出てくるわけではありません。覚えることが増えると身構えなくても、頭には入りやすいはずです。
よりマクロな視点になってゆく「拡大/拡張/展開」
「敷衍」の類義語として「拡大/拡張/展開」などがあります。いずれもよりマクロな方向へと転換していく様を示す言葉です。話題や議論などの抽象的な事象に対し、「押し広げる」というとピンと来づらい場合があるかもしれません。しかし、「拡大/拡張/展開」など言葉は比較的使いやすく、イメージしやすいでしょう。
こちらの記事もおすすめ
【四字熟語】「拡大解釈」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!
より深堀りされていく「詳言/詳述/詳細」
「敷衍」の類義語として「詳言/詳述/詳細」なども使用できます。こちらはマクロな方向に移り変わるというよりも、より細分化されていくという方向に移り変わる際に便利でしょう。「敷衍」の意味は「押し広げる」ですが、どのような方向に話を「押し広げる」のかは限定されていないため、より詳細な方向に話が動いていく際は「拡大」などの類義語を使用するよりもこちらの方が自然です。
実は現代に即している「敷衍」
「敷衍」は日常で頻出する単語とは言えないと解説してきましたが、実は現代には比較的即している言葉ともいえます。情報化社会になってから言葉遣いの重要さは高まってきており、少しの言い回しのミスで相手に誤解を与えてしまったり、行き違いの原因になる場合も高いです。
それだけに難しい議題になればなるほど、誤解を招かないようにと使用される言葉の量は増えていき、より詳しくなったり、元々のテーマから少し外れた話題にも触れられたりということが発生します。本来はこのようなときこそ「敷衍」の使いどころと言えるでしょう。人に伝わる可能性が高いとは言えないため、使いにくいという場面もあるかもしれませんが、可能な場面で積極的に使っていってください。