この記事では「敷衍」について解説する。「敷衍」はかなり難しい言葉です。意味は普通程度の難易度ですが、読み方、漢字、文字からの意味の推測、どれをとっても大人でも難しいと言えるでしょう。はっきり言って日常で使ったとしても相手に伝わるか難しいが、だからと言って知らないままにしておいて良い理由にはならないぞ。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「敷衍」の意味や派生語、歴史などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「敷衍」の意味・読み方・使い方は?

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「敷衍」の意味は以下の通りです。

1 おし広げること。
2 意味・趣旨をおし広げて説明すること。例などをあげて、くわしく説明すること。

意味としては押し広げることになります。物理的に何かを手で押し広げたりするというよりは、話題など抽象的なものを押し広げるという意味で使用される場合が多いです。ポイントとしては、移行するということではないという点。

まるっきり議題などが移り変わるわけではなく、あくまでスタートの延長線上で広がっていくというのが「敷衍」の指し示す意味です。前後の言葉としては、後ろに「する」「した」などが続きます。「敷衍する」というように使用してください。

難読漢字である「敷衍」の読み方と成り形とは?

「敷衍」の読み方は「ふえん」となります。「ふ」の部分が「敷」で、「えん」の部分が「衍」です。「敷」という漢字が「ふ」と読めるのは知っている人も少なくありません。意味は敷くという漢字からも、押し広げるイメージに結びつけやすいでしょう。

「衍」はこれ一文字で述べ広がる、という意味があります。新型コロナウイルスの広がりで一躍知名度が上がった言葉ですが、「まん延防止」の「まん延」の「延」の字はこちらの「衍」を使用することも。また、「余計である」という意味も持つ漢字です。

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「敷衍」の使い方

「敷衍」の使い方は以下の通りです。

1.今日は議題が次の企画へと「敷衍」していった。
2.政治だけ見るのではなく、経済の問題まで「敷衍」させた上で結論を出すべきだ。
3.彼は話をすぐに「敷衍」させるくせがある。

「敷衍」の部分を「押し広げられる」と言い換えると分かりやすくなります。ただ、実際のところ話題など抽象的なものに対して、「押し広げる」という表現を使用することはあまり多くありません。「こうなったら押し広げられたと言えますよ」という明確な線引きがないためです。それに伴って「敷衍」も、難読である事や知名度に関わらず使う機会が頻繁にあるというわけではありません。

いざ使ってみてと言われると悩みがちな言葉でもあるため、辞書上の意味だけでなく可能であれば例文をしっかり押さえておきましょう。

「敷衍」って中国語なの?

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「敷衍」という言葉は元々中国語です。かといって日本語でないということではなく、中国から日本にやってきて現在日本語として定着している言葉となります。「衍」という漢字が常用でないため、日本語ではなく中国語だとみなしている人もいますが、それは間違いです。中国語であるが日本語でもあるという認識が正しいため、きっちり覚えておきましょう。

ただしそれとは別に、語源は中国にあるという点を押さえておくのもまた重要です。このような移り変わりの認識が言葉の難しい所でもありますが、覚えておいて損はありません。

日本と違う!中国での「敷衍」

「敷衍」は中国から日本にやってきた言葉ですが、意味は違います。より正確に言うと、日本に移り定着した直後は同様の意味でした。しかし年月が経つにつれて、元々発祥であった方の中国側で意味が変化してしまったのです。

現在中国で「敷衍」というと、「いいかげんである」「無責任である」「適当だ」という意味になります。日本語での意味と大きく違うため、覚えておきましょう。抑えておかなければ、つい「知っている意味と同様だ」と勘違いしてしまいがちです。

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中国で現在の「敷衍」になった理由とは?

中国語での「敷衍」の意味は元々日本語と同様の「押し広げる」という意味でした。これがいつしか「持ちこたえる」という意味になります。「押し広げる」という言葉から、延長するというイメージが広がり、「持ちこたえる」に転じたのかもしれません。

その後「敷衍」は「持ちこたえる」よりさらに意味が転じて、「適当に誤魔化す」という意味になりました。これは「その場を持たせる」というニュアンスが肥大していった結果そのように変化したのではないでしょうか。

「敷衍」の類義語は?

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意味合いとしても知名度としても、普段から使いやすいとは言えない「敷衍」ですが、意外にも類義語は豊富にあります。ややニュアンスが変化してしまいますが、それほど決定的な違いというわけでもなく、総じて置き換えは簡単です。ただし前後の文脈には気をつけて、日本語としておかしくならないように整えましょう。

また、「敷衍」そのものはやや理解しにくい言葉ですが、類義語はそれほど複雑な言葉が出てくるわけではありません。覚えることが増えると身構えなくても、頭には入りやすいはずです。

よりマクロな視点になってゆく「拡大/拡張/展開」

「敷衍」の類義語として「拡大/拡張/展開」などがあります。いずれもよりマクロな方向へと転換していく様を示す言葉です。話題や議論などの抽象的な事象に対し、「押し広げる」というとピンと来づらい場合があるかもしれません。しかし、「拡大/拡張/展開」など言葉は比較的使いやすく、イメージしやすいでしょう。

より深堀りされていく「詳言/詳述/詳細」

「敷衍」の類義語として「詳言/詳述/詳細」なども使用できます。こちらはマクロな方向に移り変わるというよりも、より細分化されていくという方向に移り変わる際に便利でしょう。「敷衍」の意味は「押し広げる」ですが、どのような方向に話を「押し広げる」のかは限定されていないため、より詳細な方向に話が動いていく際は「拡大」などの類義語を使用するよりもこちらの方が自然です。

実は現代に即している「敷衍」

「敷衍」は日常で頻出する単語とは言えないと解説してきましたが、実は現代には比較的即している言葉ともいえます。情報化社会になってから言葉遣いの重要さは高まってきており、少しの言い回しのミスで相手に誤解を与えてしまったり、行き違いの原因になる場合も高いです。

それだけに難しい議題になればなるほど、誤解を招かないようにと使用される言葉の量は増えていき、より詳しくなったり、元々のテーマから少し外れた話題にも触れられたりということが発生します。本来はこのようなときこそ「敷衍」の使いどころと言えるでしょう。人に伝わる可能性が高いとは言えないため、使いにくいという場面もあるかもしれませんが、可能な場面で積極的に使っていってください。

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国語言葉の意味

難読単語「敷衍」の意味は?実は中国語?使い方や類義語も言葉大好きライターがわかりやすく解説!

中国で現在の「敷衍」になった理由とは?

中国語での「敷衍」の意味は元々日本語と同様の「押し広げる」という意味でした。これがいつしか「持ちこたえる」という意味になります。「押し広げる」という言葉から、延長するというイメージが広がり、「持ちこたえる」に転じたのかもしれません。

その後「敷衍」は「持ちこたえる」よりさらに意味が転じて、「適当に誤魔化す」という意味になりました。これは「その場を持たせる」というニュアンスが肥大していった結果そのように変化したのではないでしょうか。

「敷衍」の類義語は?

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意味合いとしても知名度としても、普段から使いやすいとは言えない「敷衍」ですが、意外にも類義語は豊富にあります。ややニュアンスが変化してしまいますが、それほど決定的な違いというわけでもなく、総じて置き換えは簡単です。ただし前後の文脈には気をつけて、日本語としておかしくならないように整えましょう。

また、「敷衍」そのものはやや理解しにくい言葉ですが、類義語はそれほど複雑な言葉が出てくるわけではありません。覚えることが増えると身構えなくても、頭には入りやすいはずです。

よりマクロな視点になってゆく「拡大/拡張/展開」

「敷衍」の類義語として「拡大/拡張/展開」などがあります。いずれもよりマクロな方向へと転換していく様を示す言葉です。話題や議論などの抽象的な事象に対し、「押し広げる」というとピンと来づらい場合があるかもしれません。しかし、「拡大/拡張/展開」など言葉は比較的使いやすく、イメージしやすいでしょう。

より深堀りされていく「詳言/詳述/詳細」

「敷衍」の類義語として「詳言/詳述/詳細」なども使用できます。こちらはマクロな方向に移り変わるというよりも、より細分化されていくという方向に移り変わる際に便利でしょう。「敷衍」の意味は「押し広げる」ですが、どのような方向に話を「押し広げる」のかは限定されていないため、より詳細な方向に話が動いていく際は「拡大」などの類義語を使用するよりもこちらの方が自然です。

実は現代に即している「敷衍」

「敷衍」は日常で頻出する単語とは言えないと解説してきましたが、実は現代には比較的即している言葉ともいえます。情報化社会になってから言葉遣いの重要さは高まってきており、少しの言い回しのミスで相手に誤解を与えてしまったり、行き違いの原因になる場合も高いです。

それだけに難しい議題になればなるほど、誤解を招かないようにと使用される言葉の量は増えていき、より詳しくなったり、元々のテーマから少し外れた話題にも触れられたりということが発生します。本来はこのようなときこそ「敷衍」の使いどころと言えるでしょう。人に伝わる可能性が高いとは言えないため、使いにくいという場面もあるかもしれませんが、可能な場面で積極的に使っていってください。

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