
端的に言えば万里一空の意味は「心に迷いのないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
万里一空というにはほど遠いライター伊勢雄真を呼んです。一緒に「万里一空」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/伊勢雄真
理工学部に所属する現役大学生。読書が好きで自然科学分野から人文学・社会科学まで幅広く読む。
読書で培った様々な知識と理系の勉強で養った論理的思考力で、みなさんを「万里一空」の奥深い世界に誘ってくれる。
「万里一空」の意味は?
まず、万里一空の意味を辞書で確認します。
宮本武蔵 著「五輪書」より、精神の修養、身体の鍛錬を極め心に迷いのないこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「万里一空」
「万里一空」は「ばんりいっくう」と読みます。この四字熟語は「万里」と「一空」の二つの熟語に分けられるので、分解して考えてみましょう。
まず、万里から説明します。万里とは極めて遠いことという意味です。中国の世界遺産に万里の長城というものがありますよね。あれは極めて遠くまで続く城壁なので、そう呼ばれています。次に一空という熟語を考えましょう。こちらは三つの意味があります。一点目はそら一面のことです。二点目はなにもないという意味で、三点目はすべてのものが無差別平等であるという意味となります。ちなみに、二・三点目は仏教から生じた言葉です。「万里一空」での一空は一点目の「なにもない」の意味でとらえていますね。
宮本武蔵は修業を積み重ねることで、極めて遠くまで何もない状態になる、すなわち悩みや迷いなどが消えていくと考えたのです。
「万里一空」の語源は?
続いて、万里一空の語源について紹介です。辞書の引用でも触れられていた通り、万里一空は宮本武蔵の【五輪書(ごりんのしょ)】という書物の中で出てくる触れられています。実際にどのように使われているのか見ていくので、以下の引用をご覧ください。
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