この記事では「禍根」について解説する。

端的に言えば禍根の意味は「わざわいの起こるもとや原因」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

哲学書好きライターTakk1976を呼んです。一緒に「禍根」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Takk1976

学生時代から読書の虫。特に東洋、西洋の哲学書に親しみ、日々新しい言葉に出会うことが喜び。田舎に住み、米作りに励みながら晴耕雨読の日々を暮らす異色のライターが「恍惚」について解説していく。

「禍根」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「禍根」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「禍根」の意味は?

「禍根」は「かこん」と読み、次のような意味があります。

わざわいの起こるもとや原因。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「禍根」はのちのちトラブルやわざわいが起きる原因を意味します。今はまだトラブルは発生していないが、今後起きかねない、その可能性をい意味する言葉いってもいいでしょう。この後詳しく見ていきますが、「禍根」は単体で用いられることはあまりなく、ほとんどの場合「禍根を絶つ」、「禍根を残す」といった熟語の形で使われるのが特徴です。

「禍根」の語源は?

次に、漢字をひもときながら「禍根」の語源について見ていきましょう。

まず「禍」ですが、これは「わざわい」と読みます。最近では「コロナ禍」という言葉を毎日のように皆さん耳にしていますよね。「禍」には思いがけない不幸、人為的な災害などの意味があります。戦争による不幸は「戦禍」です。一方、同じ読み方で「災い」という漢字がありますが、こちらは多くの場合自然災害を指します

次に「根」は根っこを指す言葉です。根っこは植物の体を支え、土の下に隠れていることから、ものごとが根ざすところ、つまり「原因」や「理由」といった意味も持ちます

これら2つの漢字の意味から「禍根」が2つの漢字を合わせた「わざわいの原因」という意味を持つ言葉であることがご理解頂けたでしょうか?

\次のページで「「禍根」の使い方・例文」を解説!/

「禍根」の使い方・例文

「禍根」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 人間同志争い事や喧嘩はつきものだが、何かしらの方法でお互いの気持ちをを理解しあい、問題解決に努めて、今のうちに絶っておくべきだ。

2.彼女の疑問に対して耳を貸そうとしなかった彼の態度は、二人の間に禍根を残すこととなった。

1の例文では「禍根を絶つ」という熟語のかたちで「禍根」が使われています。いったん起きてしまった争いごとに対して、お互いによく話し合い、その後のトラブルの火種をきちんと消しておく、という意味で日常でもしばしば使われる熟語です。

それに対し2の例文は起こったトラブルに対しておざなりに対応してしまい、その後の2人の関係にしこりを残してしまったことを「禍根を残す」という熟語のかたちで表現しています。

これら2つの例文で使われている「禍根を絶つ」と「禍根を残す」は「禍根」を用いた熟語の中でも非常に利用される場合が多いです。

「禍根」の類義語は?違いは?

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「禍根」の類義語について見ていきましょう。「禍根」は熟語のかたちで使われることが多いので、「禍根を残す」「禍根を絶つ」の2つの代表的な熟語の類義語をそれぞれ挙げることにします。

その1「わだかまりが残る」

「わだかまり」は何かが滞ったり、つっかえている状態を指す言葉です。「わだかまりが残る」は一つの決まった言い方ですが、よく人間関係において何かトラブルが起こった際にそれがきちんと解決されずに、当事者の間がすっきりしない、何かがつっかえたような状態にある時に使われます。こういったわだかまりは、将来再びトラブルが発生する可能性を示すものであり、「禍根を残す」という熟語の類似語にふさわしいと言えるでしょう。

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その2「丸く収める」

これは「禍根を絶つ」の類義語になります。「禍根を絶つ」は将来のトラブルの火種を消しておくという意味ですから、状況をすっきりさせる、当事者を納得させるという意味で「丸く収める」は類義語と言って良いでしょう。

また、ここに挙げた類義語以外にも「しこりが残る」「火種が残る」などが「禍根を残す」の類義語、「火種を消しておく」は「禍根を絶つ」の類義語と言っていいと思います。

「禍根」の英訳は?

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「禍根」は英語でなんというでしょうか?

「禍根」は英語で「source of trouble」

「source」には源(みなもと)、出どころといった意味があります。ですので「水源」は英語で「source of water」、「情報源、情報の出どころ」は「source of information」ということが可能です。「禍根」はわざわいの原因、みなもとを意味しますので、「source of trouble」が英語での表現としてふさわしいでしょう。

We spent so much time to discuss the contract during the negotiation so we won't leave any source of trouble with our client.

お客さんとの間で禍根を残さないために、交渉の場では契約書の内容について長時間かけて議論を行った。

この例文で使われている「won't leave source of trouble」という表現に注目しましょう。「leave」はそのままにしておく、放っておくという意味を表す動詞です。ですので、この部分は「のちのち問題の原因になりそうな箇所をそのままにしておかない、放っておかない」と訳せます。ですので「禍根を残す」とほぼ同じ意味になるのがわかるでしょうか?

逆に「禍根を絶つ」は「eliminate source of trouble」や「remove source of trouble」と言った表現が適当でしょう。「eliminate」は根絶する、「remove」には取り除くという意味がある動詞です。

\次のページで「「禍根」を使いこなそう」を解説!/

「禍根」を使いこなそう

この記事では「禍根」の意味・使い方・類語などを説明しました。今まで「禍根を残す」や「禍根を絶つ」といったかたちで耳にしたことがあったかもしれませんが、今回深掘りして調べて見て新たな発見があったかと思います。「禍根」は将来に予測される災難の原因を表す言葉として政治の世界や、ビジネスの世界ではもちろん、小説の中でもしばしば見られる表現です。あまりバリエーションのない表現ですが、だからこそここぞぴったりの場面で「禍根」を使うと、より文章表現に強度が出てきます。ぜひ使いこなせるようになってください。

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国語言葉の意味

「禍根」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

その2「丸く収める」

これは「禍根を絶つ」の類義語になります。「禍根を絶つ」は将来のトラブルの火種を消しておくという意味ですから、状況をすっきりさせる、当事者を納得させるという意味で「丸く収める」は類義語と言って良いでしょう。

また、ここに挙げた類義語以外にも「しこりが残る」「火種が残る」などが「禍根を残す」の類義語、「火種を消しておく」は「禍根を絶つ」の類義語と言っていいと思います。

「禍根」の英訳は?

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「禍根」は英語でなんというでしょうか?

「禍根」は英語で「source of trouble」

「source」には源(みなもと)、出どころといった意味があります。ですので「水源」は英語で「source of water」、「情報源、情報の出どころ」は「source of information」ということが可能です。「禍根」はわざわいの原因、みなもとを意味しますので、「source of trouble」が英語での表現としてふさわしいでしょう。

We spent so much time to discuss the contract during the negotiation so we won’t leave any source of trouble with our client.

お客さんとの間で禍根を残さないために、交渉の場では契約書の内容について長時間かけて議論を行った。

この例文で使われている「won’t leave source of trouble」という表現に注目しましょう。「leave」はそのままにしておく、放っておくという意味を表す動詞です。ですので、この部分は「のちのち問題の原因になりそうな箇所をそのままにしておかない、放っておかない」と訳せます。ですので「禍根を残す」とほぼ同じ意味になるのがわかるでしょうか?

逆に「禍根を絶つ」は「eliminate source of trouble」や「remove source of trouble」と言った表現が適当でしょう。「eliminate」は根絶する、「remove」には取り除くという意味がある動詞です。

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