この記事では「怨嗟」について解説する。

端的に言えば怨嗟の意味は「うらみ嘆くこと。」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「怨嗟」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「怨嗟」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは「怨嗟」という言葉をご存じでしょうか。「怨嗟」と聞くと、どこか物恐ろしい感じがします。しかし、「怨嗟」の正しい読み方と意味を知らない方も多いのではないでしょうか。漢字検定1級の言葉なので読めなくても仕方ありません。この機会に、「怨嗟」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「怨嗟」の意味は?

そんな物恐ろしい感じがする「怨嗟」には、次のような意味があります。

うらみ嘆くこと。「怨嗟の声」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「怨嗟」

「怨嗟」とは「えんさ」と読みます。よく「おんさ」と読む方もいますが、間違いなので注意しましょう。「怨嗟」とは、「うらみ嘆くこと」「嘆くほどの恨む気持ち」という意味があります。「怨嗟」はただの恨みだけではなく、恨んで嘆くことを表しているのです。「嘆く」とは、不満や愚痴を吐く程度ではなく、胸の奥底から煮えたぎるような憎しみや怒りといった、とても激しい感情を指しています。

「怨嗟」の語源は?

次に「怨嗟」の語源を確認しておきましょう。「怨嗟」の「怨」は、「被害について人に不満・不快の情を持つ」「うらみ」という意味。「嗟」とは「なげく」という意味です。恨みや不快、不満という意味を持つ「怨」、なげくという意味を持つ「嗟」が組み合わさる事で、「怨嗟」という言葉が出来たと考えられます。

\次のページで「「怨嗟」の使い方・例文」を解説!/

「怨嗟」の使い方・例文

「怨嗟」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.上司の身勝手なやり方に、社員から怨嗟の声が高まった。
2.私が怨嗟の的になっているところに駆けつけた彼のお陰で命拾いをした思いだった。
3.今国会で成立した法案は、国民の怨嗟を生むものであった

これらの例文について、1つ1つ詳しく見ていきましょう。「怨嗟」には言い回しの形が多くあり、例文1の「怨嗟の声」はよく見聞きする言い回しの1つです。「怨嗟の声」とは恨んでいる人の考えや意見という意味になります。小さい不満程度には使われず、不満を通り越して憤りすら感じる人の意見や考えの事です。

例文2の「怨嗟の的」という言い回しは、「恨み嘆くほどの相手or対象」という意味。例文2を見てみると「私」が対象となっているため、自分が恨み嘆かれるほどの対象となっており、彼のおかげで救われたことが分かります。

例文3ですが、「怨嗟」という言葉は「怨嗟する」といった言い回しでは使われません。その代わりに例文3の様に「怨嗟を生む」といった言い回しを用いるといいでしょう。「怨嗟を生む」で怨嗟の念が出てくる事を表現します。

「怨嗟」の類義語は?違いは?

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「うらみ嘆くこと」という意味がある「怨嗟」ですが、類義語について見ていきましょう。

その1「怨恨」

「怨恨」の読み方は「えんこん」で、「うらむこと。深いうらみ」という意味があります。対象になる相手への恨みが相当深く、憎悪や怒りなどの感情も沸いてくる状態です。「怨恨の念」など、「怨嗟」と似たような使われ方をされる事が多く、「怨嗟」よりも見聞きする機会の多い言葉ではないでしょうか。

\次のページで「その2「怨念」」を解説!/

・長期間にわたり嫌がらせを受けていた事が原因となり、彼女はCさんに怨恨を抱いていた。

・今回の事件は被害者が恨みを買っていた事もあり、怨恨の線で捜査を進めていく。

・不正を行った社員に対し、当該会社は怨恨の念を隠しきれなかった。

その2「怨念」

「怨念」は「おんねん」と読み、「うらみの執念、遺恨」という意味です。執念にまでいくほど、恨んでいる状態のことを指します。「怨念」と「怨嗟」、両方とも恨みのレベルは同じくらい深いです。違いは、「怨念」は恨んでいるその気持ち自体にフォーカスしているのに対し、「怨嗟」は恨んでいる気持ちが溢れ出しそうな状態まで高まっている様子を示しています。

・犯人はとても残虐な方法で相手を痛めつけ、怨念を晴らした。

・彼女には散々振り回されていた事もあり、だんだん怨念がこもっていった。

・他の誰にも向けることが出来ない怨恨の情を子供の時から持っている

その3「遺恨」

「遺恨」とは「いこん」と読み、「忘れられないほど、いつまでも残る恨み」という意味です。「怨嗟」のように嘆くという意味合いはありませんが、恨みの深さは「怨嗟」に近いため、類義語と言えるでしょう。

・今日の試合は、ベストを尽くせなかったことがとても遺恨である。

・不倫関係を解消したが、今回の件は夫婦関係に遺恨を残すものだ。

・歴史的見解の違いによって、両国に遺恨が残っている。

「怨嗟」の対義語は?

「怨嗟」の対義語は「感謝」です。

\次のページで「「感謝」」を解説!/

「感謝」

「うらみ」の反対になる感情は「ありがたく思う、感じること」でしょう。この感情に該当する意味を持った言葉は「感謝」です。つまり、「怨嗟」の対義語は「感謝」という事になるでしょう。

「怨嗟」の英訳は?

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「怨嗟」を英語で表現する場合、どういった英語になるのでしょうか。

「resentment」

「怨嗟」を英語で表現する場合、「resentment」を使いましょう。ただ、怨嗟の意味合いほど「resentment」は恨みの度合いが深いとは言えないため、深いという意味合いを持つ形容詞「deep」などと組み合わせるといいです。では実際に例文を見ていきましょう。

・They have deep resentment.(彼らは怨嗟の念を抱いている)

・The feeling of the employees who were listening to the excuse of president gradually turned into resentment.(社長の弁解を聞いていた社員の感情は徐々に怨嗟へと変わっていった)

「怨嗟」を使いこなそう

この記事では「怨嗟」の意味・使い方・類語などを説明しました。「怨嗟」とは「えんさ」と読み、「うらみ嘆くこと」という意味があります。「怨嗟する」ではなく、「怨嗟の〇〇」という形で用いられる事が多いです。類義語は少し多いですが、しっかり覚えておくことにより自分の表現の幅が広がります。

「怨嗟」という言葉は普段耳にしない言葉ですが、もし見聞きした場合相手の恨みの度合いは非常に深いものだと思った方がいいでしょう。

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国語言葉の意味

「怨嗟」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「怨嗟」について解説する。

端的に言えば怨嗟の意味は「うらみ嘆くこと。」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「怨嗟」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「怨嗟」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは「怨嗟」という言葉をご存じでしょうか。「怨嗟」と聞くと、どこか物恐ろしい感じがします。しかし、「怨嗟」の正しい読み方と意味を知らない方も多いのではないでしょうか。漢字検定1級の言葉なので読めなくても仕方ありません。この機会に、「怨嗟」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「怨嗟」の意味は?

そんな物恐ろしい感じがする「怨嗟」には、次のような意味があります。

うらみ嘆くこと。「怨嗟の声」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「怨嗟」

「怨嗟」とは「えんさ」と読みます。よく「おんさ」と読む方もいますが、間違いなので注意しましょう。「怨嗟」とは、「うらみ嘆くこと」「嘆くほどの恨む気持ち」という意味があります。「怨嗟」はただの恨みだけではなく、恨んで嘆くことを表しているのです。「嘆く」とは、不満や愚痴を吐く程度ではなく、胸の奥底から煮えたぎるような憎しみや怒りといった、とても激しい感情を指しています。

「怨嗟」の語源は?

次に「怨嗟」の語源を確認しておきましょう。「怨嗟」の「怨」は、「被害について人に不満・不快の情を持つ」「うらみ」という意味。「嗟」とは「なげく」という意味です。恨みや不快、不満という意味を持つ「怨」、なげくという意味を持つ「嗟」が組み合わさる事で、「怨嗟」という言葉が出来たと考えられます。

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