この記事では「すこぶる」について解説する。

端的に言えばすこぶるの意味は「とても」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広報担当者としての経験を持つライター「井上 樹」を呼んです。一緒に「すこぶる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/井上 樹

“広報担当者”としての顔を併せ持つライター。「単語の意味レベルでも、誤った情報は発信しない」をモットーにしている。今回は「すこぶる」について分かりやすく解説していく。

「すこぶる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「すこぶる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「すこぶる」の意味は?

「すこぶる」には、次のような意味があります。

1.程度がはなはだしいさま。非常に。たいそう。
2.少し。いささか。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「すこぶる」

「すこぶる」は「程度の大きさ」を表し、日常会話でも使われる言葉です。冒頭で桜木さんが説明したように「とても」という意味で、「予想以上に」というニュアンスがあります。漢字では「頗る」と書きますが、少し難しい漢字ということもあって、一般的には「すこぶる」とひらがなで表記されていることの方が多いでしょう。

また、引用2のように「少し。いささか。」という意味もありますが、今ではその意味で使われることはほとんどありません。詳しくは次の語源の項目で説明しますね。

「すこぶる」の語源は?

次に「すこぶる」の語源を確認しておきましょう。すこぶるの語源は「すこ」と「ぶる」に分けて考えることができます。

「少し」の「すこ」と大人ぶる、もったいぶるなどでも用いられる「それらしい様子」を意味する「ぶる」が合わさってできたのが「すこぶる」です。

この語源からもわかるように、元々は「少なそう」という意味で使われ始めたので、さきほどの「少し。いささか。」という意味が残っているわけですね。

ただし、今の「とても」という意味に変わった理由は明確にはわかっていません。「すこぶる」は漢文を読む際にも使われる言葉で、時代の流れとともに解釈間違いが起こり、今の意味に変わっていったのでは、と考えられています。

「すこぶる」の使い方・例文

先ほど「日常会話でも使われる」と紹介しましたが、実際にはどんな使われ方をするのでしょうか。以下の例文を見ながら、「すこぶる」の使い方を理解していきましょう。

\次のページで「「すこぶる」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.今日の彼はいつもと違って、すこぶる調子が良さそうだ。

2.最近は新規の仕事が順調に進んでいないため、部長の機嫌がすこぶる悪い。

3.新しく赴任してきた先生はすこぶる付きの美人で、すぐに学校中の噂になった。

「すこぶる」は副詞として名詞や形容詞を修飾することで、その程度が予想以上であることを表します。例文1の「すこぶる調子が良さそう」は、「とても調子が良さそう。予想以上に調子が良さそう」という意味です。

また、「すこぶる」はポジティブ、ネガティブ問わず使われる言葉なので、例文2のように、「機嫌が悪い」を修飾し、想像以上に機嫌が悪いという意味を表すことができます。

例文3の「すこぶる付き」は、「“すこぶる”という言葉がつくほど、程度がたいそうな様子」を意味する表現です。例文のように「すこぶる付きの美人」などと使われることが多く、「並外れた美しい女性」という意味になります。

「すこぶる」の類義語は?違いは?

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すこぶるには類義語にはどんな言葉があるのでしょうか。一緒に確認していきましょう。

その1「はなはだ(甚だ)」

「はなはだ(甚だ)」は、「普通の程度をはるかに超えている」という意味があります。「甚だ疑問」、「甚だ遺憾」など好ましくない事柄について使われることが多い言葉です。

個人的には、この企画が本当に成功するのか甚だ疑問です。

その2「しこたま」

「しこたま」は、数量が多いことを表し、「たくさん」という意味があります。「すこぶる」が程度の大きさを表すのに対して、「しこたま」は「目に見える量」の多さを表現する言葉です。

ただし、「しこたま」はフランクなニュアンスが強いため、上司や目上の人との会話など、かしこまったシチュエーションでは使用を避けるべきでしょう。

\次のページで「その3「格別」」を解説!/

どうやら彼は失恋してしまったらしく、昨夜しこたま酒を飲んでいたようだ。

その3「格別」

「格別」は、「格段の違いがあるさま」という意味があります。他の物と比べてとても良い、という好ましい事柄に使われることが多い言葉です。また、ビジネスシーンでも挨拶文の冒頭などで用いられることが多い言葉なので、しっかり覚えておきましょう。

平素は格別のお引き立てをいただき、誠にありがとうございます。

その4「こよなく」

「こよなく」は「この上なく」という意味の言葉です。「こよなく」も好ましい事柄に使われ、主に「こよなく愛する」という形で、対象を強く褒めたたえるような場合に使われます。

彼がこよなく愛するネコは、いつも彼のそばにいる。

「すこぶる」の対義語は?

結論から言うと、すこぶるに決まった対義語はありません。

そもそも今回のすこぶるのような副詞には、対義語がないのが一般的です。そのため、類義語で紹介した「はなはだ」や「しこたま」にも決まった対義語はありません。

「すこぶる」の英訳は?

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最後に、すこぶるを英訳するとどんな表現になるのかをご紹介しますね。

\次のページで「「very」」を解説!/

「very」

すこぶるを直訳するような英語はありませんが、「とても」というニュアンスを伝える言葉として「very」が使われます。その他にも類似表現として「so」が使われることもありますよ。

最後に、例文をご紹介して、今回のすこぶるについての解説を終わりますね。

She is very fine today.
(今日の彼女はすこぶる元気だ。)

「すこぶる」を使いこなそう

この記事では「すこぶる」の意味・使い方・類語などを説明しました。すこぶるは「予想以上に」というニュアンスがあり、日常会話でも使われることがわかりましたね。

一方で「少し」という正反対の意味があるので、語源を知っておくことで、周りの人と話す時のちょっとしたネタになるかもしれませんよ。

今回説明したように類義語もいくつかあるので、ニュアンスの違いをしっかりと理解して、「すこぶる」を使いこなしましょう。

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国語言葉の意味

「すこぶる」の意味や使い方は?例文や類語を広報担当者ライターがわかりやすく解説!

この記事では「すこぶる」について解説する。

端的に言えばすこぶるの意味は「とても」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広報担当者としての経験を持つライター「井上 樹」を呼んです。一緒に「すこぶる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/井上 樹

“広報担当者”としての顔を併せ持つライター。「単語の意味レベルでも、誤った情報は発信しない」をモットーにしている。今回は「すこぶる」について分かりやすく解説していく。

「すこぶる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「すこぶる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「すこぶる」の意味は?

「すこぶる」には、次のような意味があります。

1.程度がはなはだしいさま。非常に。たいそう。
2.少し。いささか。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「すこぶる」

「すこぶる」は「程度の大きさ」を表し、日常会話でも使われる言葉です。冒頭で桜木さんが説明したように「とても」という意味で、「予想以上に」というニュアンスがあります。漢字では「頗る」と書きますが、少し難しい漢字ということもあって、一般的には「すこぶる」とひらがなで表記されていることの方が多いでしょう。

また、引用2のように「少し。いささか。」という意味もありますが、今ではその意味で使われることはほとんどありません。詳しくは次の語源の項目で説明しますね。

「すこぶる」の語源は?

次に「すこぶる」の語源を確認しておきましょう。すこぶるの語源は「すこ」と「ぶる」に分けて考えることができます。

「少し」の「すこ」と大人ぶる、もったいぶるなどでも用いられる「それらしい様子」を意味する「ぶる」が合わさってできたのが「すこぶる」です。

この語源からもわかるように、元々は「少なそう」という意味で使われ始めたので、さきほどの「少し。いささか。」という意味が残っているわけですね。

ただし、今の「とても」という意味に変わった理由は明確にはわかっていません。「すこぶる」は漢文を読む際にも使われる言葉で、時代の流れとともに解釈間違いが起こり、今の意味に変わっていったのでは、と考えられています。

「すこぶる」の使い方・例文

先ほど「日常会話でも使われる」と紹介しましたが、実際にはどんな使われ方をするのでしょうか。以下の例文を見ながら、「すこぶる」の使い方を理解していきましょう。

\次のページで「「すこぶる」の類義語は?違いは?」を解説!/

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