この記事では「徒に」について解説する。

端的に言えば「徒に」の意味は「目的もなく」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

哲学書好きライターをTakk1976を呼んです。一緒に「徒に」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Takk1976

学生時代から読書の虫。特に東洋、西洋の哲学書に親しみ、日々新しい言葉に出会うことが喜び。田舎に住み、米作りに励みながら晴耕雨読の日々を暮らす異色のライターが「徒に」について解説していく。

「徒に」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「徒に」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「徒に」の意味は?

「徒に」の読み方は「いたずらに」です。早速言葉の意味を見ていきましょう。

何ら目的、理由、原因などがないのに、物事をしたり、また、状態が進行したりするさまが甚だしいさまを表わす語。

むやみやたらに。わけもなく。ただひたすら。

出典:精選版 日本国語大辞典

「徒に」は「いたずらに」と読みます。誰か他の人に悪ふざけなどをして迷惑をかけることも「いたずら」と言いますが、漢字は「悪戯」で、違う意味です。「徒に」は「目的や理由もなく」や「無駄に」という意味を指し、一般的には「徒に時間を過ごす」などのように副詞的に使われます。「徒に」は目的や狙いがはっきりしていない状態を指すだけなので、良い意味で使われているか、悪い意味で使われているかは文脈次第ですが、多くの場合いい意味で使われません

「徒に」の語源は?

次に「徒に」の語源を確認していきます。「徒」という漢字が持つ意味をより深く知ることで「徒に」が本来持つ意味を学んでいきましょう。

「徒」という漢字は「行人弁(ぎょうにんべん)」と「走」という二つで成り立った漢字ですが、どちらも「歩く」という意味があります。そこから派生して「徒」には「自分足で歩く」、「乗り物なしで歩く」という意味を指すようになりました。「徒歩」というのは「徒」の本来の意味がさらに強調された使い方と言っていいでしょう。

「徒」はそこからさらに派生して、「何も持たずに」、「無目的に」という意味を持つようになりました。日本の古典文学の中で、三大随筆の一つとされる「徒然草」は「やるべき事がなくて、手持ち無沙汰なので筆にまかせた書いたもの」として、そのタイトルに「徒」に字が使われていることからも「徒」の字が持つ意味合いがわかると思います。

「徒に」の使い方・例文

ではここで、「徒に」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「徒に」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.大学院に苦労して入学して、志望していた現代文学を専攻しているのに、研究もろくにせず徒に時間を過ごしていると将来をすべて棒に振ることになるぞ。
2.現状のままでもプロジェクトは十分うまくいっていたところを、徒に手を加えすぎて今では失敗寸前のところまで来てしまった。
3.いくら情報をネットで検索したところで、徒に株式投資に手を出すと痛い目に会うから十分注意した方がいい。

1の例文で「徒に」は「無駄に」「目的もなく」という意味で使われています。「徒に時間を過ごす」という言い方は「徒に」の使い方として頻繁に見られる表現ですので、是非覚えておきましょう。

2の例文は「不必要な」「無用の」と言った意味で使われています。特に必要はなかったのに、余計なことをしたという意味合いです。

3の例文での「徒に」は「不用意に」「よく吟味せず」という意味で使われています。株式投資のようなリスクを伴う行為には熟慮が必要なのに、よく考えずに軽率な判断をした、という文脈で使用されていることがわかるでしょうか?

「徒に」の類義語は?違いは?

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「徒に」の類義語を見ていきます。「徒に」は基本的には「無目的に」「無駄に」を意味する言葉ですが、例文で見たように微妙に異なるニュアンスを指す言葉でもあるので、少し幅を広げて類義語をご紹介しましょう。

その1「遊び半分に」

「徒に」は「無目的に」つまり「大した目的もなく」という意味でした。これは言い換えれば「遊び半分に」という意味です。

遊び半分に人の気持ちをもてあそぶもんじゃない。

どうでしょうか?この例文の中にある「遊び半分に」を「徒に」と置き換えても問題はありませんね。

\次のページで「その2「無益に」」を解説!/

その2「無益に」

「無益に」というのは「なんの得もしないのに」という意味です。「徒に」は「目的もなく」というのが基本的な意味ですが、「無益に」のように「なんの得もしないのに」という使い方がしばしばされます。

他人によくするのはいいが、何でもかんでも無益に自分のビジネスについて話すぎるのはどうかと思うぞ。

この例文からもわかるように、「無益に」は「何の得もしないのに」という意味ですが、これを「徒に」と置き換えても全く問題はありません。

「徒に」の対義語は?

次に「徒に」の対義語を見ていきましょう。

その1「有意義に」

「徒に時間を過ごす」という「徒に」に最もよくある使い方の反対は「有意義に時間を過ごす」になりますね。このことからも「徒に」の対義語として「有意義に」はぴったりと言えます。

その2「一意専心」

「一意専心」は四字熟語で、余計なことに動じず、心を一つにして何かに対して集中して臨むことを言います。「徒に」が持つ「よく考えずに」「軽率に」という意味とは正反対を指す対義語としてふさわしいと言えるでしょう。

「徒に」の英訳は?

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「徒に」は英語でどう表現できるでしょうか?

\次のページで「「徒に」は英語で「in vain」」を解説!/

「徒に」は英語で「in vain」

「徒に」は英語で「in vain」と言います。「vain」は「無駄な」「無益な」という意味ですが「in vain」という決まった言い方で「ただむなしく」や「無駄に」「無意味に」といった状況を表現することが可能です。

I don't want to wait in vain for you.

君を徒に待つなんて僕は嫌だ

ある女性に恋をした男性が、その人のことを好きで自分に振り向いて欲しいのにただ徒に待ちぼうけを食っている切ない心の内がこの曲に込められているのがわかるでしょうか?誰かを恋しているとき、誰もがハッピーエンドを望みます。その結果を待つ時間が無駄にならないように願っている気持ちです。

「wait in vain」はいつまで経っても約束に来ない人を待ち続けてる時などにも使うことができます。あまり出会いたくない状況ですが、いつか使うこともあるかもしれないので是非覚えておいてください。

「徒に」を使いこなそう

この記事では「徒に」の意味・使い方・類語などを説明しました。「徒」という漢字の意味を深掘りしていくことで、言葉の意味をより理解できたのではないでしょうか?鎌倉時代に書かれた随筆集である「徒然草」にも「徒」の字が使われているように、「徒」は「目的もなく」という基本的な意味があることがよくわかったと思います。いろんなニュアンスで使うことができる言葉でもあるので、類義語などを含めて自分のより豊かな言語表現に是非役立ててください。

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国語言葉の意味

「徒に」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「徒に」について解説する。

端的に言えば「徒に」の意味は「目的もなく」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

哲学書好きライターをTakk1976を呼んです。一緒に「徒に」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Takk1976

学生時代から読書の虫。特に東洋、西洋の哲学書に親しみ、日々新しい言葉に出会うことが喜び。田舎に住み、米作りに励みながら晴耕雨読の日々を暮らす異色のライターが「徒に」について解説していく。

「徒に」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「徒に」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「徒に」の意味は?

「徒に」の読み方は「いたずらに」です。早速言葉の意味を見ていきましょう。

何ら目的、理由、原因などがないのに、物事をしたり、また、状態が進行したりするさまが甚だしいさまを表わす語。

むやみやたらに。わけもなく。ただひたすら。

出典:精選版 日本国語大辞典

「徒に」は「いたずらに」と読みます。誰か他の人に悪ふざけなどをして迷惑をかけることも「いたずら」と言いますが、漢字は「悪戯」で、違う意味です。「徒に」は「目的や理由もなく」や「無駄に」という意味を指し、一般的には「徒に時間を過ごす」などのように副詞的に使われます。「徒に」は目的や狙いがはっきりしていない状態を指すだけなので、良い意味で使われているか、悪い意味で使われているかは文脈次第ですが、多くの場合いい意味で使われません

「徒に」の語源は?

次に「徒に」の語源を確認していきます。「徒」という漢字が持つ意味をより深く知ることで「徒に」が本来持つ意味を学んでいきましょう。

「徒」という漢字は「行人弁(ぎょうにんべん)」と「走」という二つで成り立った漢字ですが、どちらも「歩く」という意味があります。そこから派生して「徒」には「自分足で歩く」、「乗り物なしで歩く」という意味を指すようになりました。「徒歩」というのは「徒」の本来の意味がさらに強調された使い方と言っていいでしょう。

「徒」はそこからさらに派生して、「何も持たずに」、「無目的に」という意味を持つようになりました。日本の古典文学の中で、三大随筆の一つとされる「徒然草」は「やるべき事がなくて、手持ち無沙汰なので筆にまかせた書いたもの」として、そのタイトルに「徒」に字が使われていることからも「徒」の字が持つ意味合いがわかると思います。

「徒に」の使い方・例文

ではここで、「徒に」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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