この記事ではキーワード「えぐい」について解説する。

端的に言えばえぐいの意味は「どぎつい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「えぐい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/柊 雅子

イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。「ルーツは関西」という彼女が「えぐい」について解説する。

「えぐい」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「えぐい」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「えぐい」の意味は?

「えぐい」には、次のような意味があります。

1.あくが強くて、いがらっぽい感じがする。えがらっぽい。

2.俗に、むごたらしいさま。また、どぎついさま。

3.我が強くて思いやりのないさま。きつい。

 

出典:デジタル大辞泉(小学館)「えぐい」

ワラビ、ゼンマイ、タケノコ…普段私たちがスーパーで目にする山菜は水煮等に加工されてすぐに調理できるものが殆どですが、春の野山で採取された山菜はアクが強く、アク抜きをしなければ食べることができません。アク抜きが不十分な山菜を食べると、いがらっぽさが口の中に残ります。このいいがらっぽさを「えぐみ」といい、「えぐみ」がある状態を示す言葉が「えぐい」なんですね。

また、どぎつい状態を示す場合「えぐい」は用いられます。酷い内容の話を聞いた時、関西地方の方言では「えぐい話やなぁ~」と、言いますね。あまりに酷い内容の時は「えっぐい話やなぁ~」となります。

「えぐい」は状態等を表すだけでなく性格等を表す時にも用いられ、関西地方では酷い仕打ちをした人に対して「えぐい人やねぇ」と言ったりしますね。どのような状況で使うにしろ、ネガティブな表現で幅広く使える使い勝手の良い表現になりますね。

「えぐい」の語源は?

次に「えぐい」の語源を確認しておきましょう。

アクの強いたべもの等を食べた時、口の中に残るいがらっぽさを指す「えぐい」という言葉は平安時代からありました。口の中に残る不快感から後に「(不快なほど)ひどい、むごい」、「きつい」「つらい」と言う意味でも用いられるようになったのです。

「ひどい、むごい」「きつい」「つらい」といった意味の「えぐい」は主に関西地方で使われていましたが、1981年、風邪薬のCMで用いられた「えぐいんじゃないの~」という言葉が流行語になり、お笑いブームによる関西芸人さんのメディア進出もあって全国的に知られるようになりました。

\次のページで「「えぐい」の使い方・例文」を解説!/

「えぐい」の使い方・例文

「えぐい」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。従来の意味に加えて、更に変化した「えぐい」の例文も紹介しますね。

1.「そのワラビ…まだえぐいと思うさかいに、もうちょっと水でさらしといてな」とあなたは言った。

2.「お年寄り騙して、老後の資金をだまし取ろうやなんて…えぐいこと考えるなぁ」とテレビのニュースを観ていた母が言った

3.「今のシュートはエグい!」とサッカーワールドカップの中継を観ていた息子は叫んだ。

4.目の前に運ばれてきたメガ盛りランチを見て、彼は一言こう言った。「エグくね?」。

例文1は「えぐみ」を表しています。「まだえぐいと思うさかいに」は「まだえぐみが残っていると思うから」という意味。例文2は「ひどい」という意味の「えぐい」。「えぐいこと考えるなぁ」「ひどいことを考えるものだなぁ」という意味です。

例文3,4は「デジタル大辞泉」に表記されていなかった「えぐい」の用い方。例文3の「エグい」は「素晴らしい」という意味。デジタル大辞泉では「えぐい」はマイナスイメージをもつ言葉として解説されていましたが、この例文では逆のイメージで用いられていますね。このように用いられる場面によって意味が逆になる言葉は「反転ワード」と呼ばれています。

例文4の「エグくね?」「これってすごく量が多いよね?」と言う意味。例文3,4はいわゆる「若者ことば」。マイナスイメージをもった言葉として用いられてきた「えぐい」ですが、最近では場面によって真逆の使われ方をすることも抵抗なく行われていますね。表記の仕方も若者では「エグい」が主流です。

「えぐい」の類義語は?違いは?

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それではこれから「えぐい」の類義語をみていくのですが、「えぐみ」「ひどい」「エグい」、これら三つの意味についてそれぞれにみていくことにします。

その1「いがらっぽい」

「いがらっぽい」は風邪をひいた時の喉の不快な症状を表現するときにも用いる言葉。「えがらっぽい」同様、口の中にえぐみが残り不快な状態をいいます。

\次のページで「その2「えげつない」」を解説!/

その2「えげつない」

「えげつない」「無遠慮・あくどい・むごい」と言う意味。元々は関西言葉です。マイナスイメージをもった言葉ですが最近では反転ワード的に用いられ良い意味での「すごい」と言う意味合いで使われることが多くなりました。

その3「ヤバい」

「ヤバい」は元々「危ない・きつい」というマイナスイメージをもった言葉として用いられてきました。ところが若者たちによって反転ワード的に用いられ「驚いた、感動した」「素晴らしい」といった意味で使われるようになったのです。そして様々な場面で一般的に用いられるようになったのですね。

「えぐい」の対義語は?

続いて「えぐい」の対義語をみていきましょう。

「上品」

えぐみが感じられる味とはいがらっぽい不快感を伴うもの。また「えぐい」は「無遠慮・あくどい」といった意味をもつ「えげつない」がその類義語です。

そこで「上品」が「えぐい」の対義語になります。「えぐみ」があれば「上品な料理」とは言えず、「無遠慮」は「上品な行動」とはいえませんね。

「えぐい」の英訳は?

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「えぐい」を英語で表現すると、どうなるのでしょうか。

\次のページで「「えぐい」を使いこなそう」を解説!/

英文1.  The raw bamboo shoot is acrid.

英文2.  He said a terrible thing to her.

英文3.  It is a nasty sight  that a large swarm of grasshoppers eats all up.

英文4.  As he requires a discount persistently, he is a tough customer.

英文1は「生のタケノコはえぐい」と訳します。「acridには「刺激的、苦い」という意味があり、日本語に訳す時は「えぐい」と訳すことができますね。

英文2の和訳は「彼は彼女にえぐいことを言った」。「 terrible」「えぐい」と訳しますが、本来は「ひどい」という意味です。

英文3は「バッタの大群が全てを食べ尽くすのはえぐい光景だ」と訳します。「a nasty sight」「目を覆いたくなるようなひどい光景」という意味です。

英文4は「彼はしつこく値引きを要求するので、えぐい客だ」と訳しますが、 tough customer」「手強い客」という意味。関西言葉で言うところの「値切りがキツイ、えげつない客」ということですね。

「えぐい」を使いこなそう

この記事では「えぐい」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「えぐい」という言葉の語源や歴史、使い方等がわかりましたね。

「えぐい」は感覚的な言葉で、色々な場面で使うことができる便利な言葉。しかし便利だからと言って簡単に「えぐい」の一言で済ませてしまってはいませんか?その時の状況や気持ちにあった言葉や表現を豊かな日本語から探し出し、使ってくださいね。

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国語言葉の意味

「えぐい」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事ではキーワード「えぐい」について解説する。

端的に言えばえぐいの意味は「どぎつい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「えぐい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/柊 雅子

イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。「ルーツは関西」という彼女が「えぐい」について解説する。

「えぐい」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「えぐい」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「えぐい」の意味は?

「えぐい」には、次のような意味があります。

1.あくが強くて、いがらっぽい感じがする。えがらっぽい。

2.俗に、むごたらしいさま。また、どぎついさま。

3.我が強くて思いやりのないさま。きつい。

 

出典:デジタル大辞泉(小学館)「えぐい」

ワラビ、ゼンマイ、タケノコ…普段私たちがスーパーで目にする山菜は水煮等に加工されてすぐに調理できるものが殆どですが、春の野山で採取された山菜はアクが強く、アク抜きをしなければ食べることができません。アク抜きが不十分な山菜を食べると、いがらっぽさが口の中に残ります。このいいがらっぽさを「えぐみ」といい、「えぐみ」がある状態を示す言葉が「えぐい」なんですね。

また、どぎつい状態を示す場合「えぐい」は用いられます。酷い内容の話を聞いた時、関西地方の方言では「えぐい話やなぁ~」と、言いますね。あまりに酷い内容の時は「えっぐい話やなぁ~」となります。

「えぐい」は状態等を表すだけでなく性格等を表す時にも用いられ、関西地方では酷い仕打ちをした人に対して「えぐい人やねぇ」と言ったりしますね。どのような状況で使うにしろ、ネガティブな表現で幅広く使える使い勝手の良い表現になりますね。

「えぐい」の語源は?

次に「えぐい」の語源を確認しておきましょう。

アクの強いたべもの等を食べた時、口の中に残るいがらっぽさを指す「えぐい」という言葉は平安時代からありました。口の中に残る不快感から後に「(不快なほど)ひどい、むごい」、「きつい」「つらい」と言う意味でも用いられるようになったのです。

「ひどい、むごい」「きつい」「つらい」といった意味の「えぐい」は主に関西地方で使われていましたが、1981年、風邪薬のCMで用いられた「えぐいんじゃないの~」という言葉が流行語になり、お笑いブームによる関西芸人さんのメディア進出もあって全国的に知られるようになりました。

\次のページで「「えぐい」の使い方・例文」を解説!/

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