みんなは「はいはい」って返事をしたことがあるでしょう。いつ、どんな風に「はいはい」と言ったか覚えているか?この「はいはい」がもとになっている言葉が「二つ返事」です。

この「二つ返事」は簡潔に言えば「ためらうことなく、すぐに承諾」という意味です。ちょっと意外に思った人もいるんじゃないか。

今回はその「二つ返事」の意味や類義語・対義語などを大学院卒の日本語教師・むかいひろきに解説してもらうぞ。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「二つ返事」の意味や使い方は?

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恐らく皆さんは「二つ返事」という言葉を一度は聞いたことがあるでしょう。しかし、間違えた使い方をしていませんか?まずは、その「二つ返事」の意味や使い方を、辞書や例文を参考にしながら見ていきましょう。

「二つ返事」の意味は「ためらうことなく、すぐに承諾」

最初に、「二つ返事」が辞書でどのように掲載されているかを見ていきましょう。「二つ返事」は次のような意味が掲載されています。

ためらうことなく、すぐ承諾すること。「-で引き受ける」

出典:広辞苑 第七版(岩波書店)「ふたつ・へんじ【二つ返事】」

「二つ返事」は「ためらうことなく、すぐに承諾すること」という意味の言葉です。「はいはい」とすぐに返事をすることから誕生した言葉だとされています。

「はいはい」は、嫌なことを頼まれた時などに渋々物事を承諾する際にも用いる返事ですよね。ただ、「二つ返事」の「はいはい」と発音や表情が異なると言って良いでしょう。「二つ返事」の「はいはい」は明るくテキパキとした返事ですが、渋々承諾する際の「はいはい」はゆっくりで暗いものになることが多いです。(「はぁいはぁい」のようなイメージですね。)

「二つ返事」の使い方を例文とともに解説!

続いて、「二つ返事」の使い方を例文とともに確認していきましょう。さきほど「二つ返事」は「はいはい」とすぐに返事をすることから誕生した言葉だと解説しましたが、実際の使用場面では、「はいはい」という返事をしない場合でも使われていることが多いです。ためらうことなく、すぐに承諾した場合は、何と言って返事したかは関係ありません。

\次のページで「「二つ返事」の類義語は?」を解説!/

1.突然の変更依頼だったが、A社の担当者は二つ返事ですぐに対応してくれた。その他にも無理なお願いをしてしまったが、嫌な顔一つせず対応してくれてありがたかった。
2.気になっているA子さんからのデートのお誘いに、二つ返事で反応した。
3.こういったこと、三井君が得意ですよ。彼自身こういうの好きですし、彼に頼めば二つ返事で引き受けてくれるんじゃないかなぁ。

例文1は、「突然の変更依頼に対しても、A社の担当者は嫌な顔せずにすぐに対応してくれた」という文脈で「二つ返事」が使用されています。クライアントからの突然の変更依頼は、いくらお客様が相手の商売でもいい気分ではありません。「二つ返事」で変更に対応してくれる人は、プロ中のプロですね。

例文2は、「気になっている女子からのデートのお誘いを、速攻でOKした」という文脈で「二つ返事」が使用されています。気になる異性からのデートのお誘い、「二つ返事」で反応する人がほとんどではないでしょうか。

例文3は、「三井君に頼めばすぐに引き受けてくれる」という文脈で「二つ返事」が使用されています。自分が得意な分野での仕事なら、「二つ返事」で引き受けやすいですよね。

また、「二つ返事」という言葉自体に「承諾する」「返事する」という意味が含まれているので、「二つ返事で承諾する」「二つ返事で返事する」という言い方は二重表現となり、原則しないので気をつけましょう。

「二つ返事」の類義語は?

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「二つ返事」の類義語は、「快諾」と「即応」です。この2つの言葉は、それぞれ意味は異なりますが、「二つ返事」という言葉が含むニュアンスと共通している部分があります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

「快諾」気持ちよく承諾

「快諾(かいだく)」は、「気持ちよく承諾すること」という意味の言葉です。「二つ返事」には「要望に対し快く承諾する」というニュアンスが含まれているので、類義語と言えるでしょう。実際に使用する場合は、「快諾する」と動詞の形で用いられることが多いです。ちなみに、「二つ返事で快諾する」という言い方は、二重表現になってしまうので避けたほうが無難でしょう。

「即応」直ちに対応

「即応(そくおう)」は「直ちに対応すること」「状況・情勢にぴったり当てはまること」という2つの意味を持った言葉です。1番目の「直ちに対応」という意味は、「二つ返事」の持つ「承諾する」という意味と重なります。承諾をしなければ直ちに対応することはできませんからね。ちなみに、「二つ返事で即応する」という言い方は、二重表現にはならないので可能です。

\次のページで「「二つ返事」の対義語は? 」を解説!/

「二つ返事」の対義語は?

続いて、「二つ返事」の対義語を見ていきましょう。「ためらうことなく、すぐに承諾すること」という意味と反対の言葉は何でしょうか。それは「生返事」と「空返事」です。それぞれを見ていきましょう。

「生返事」気のない返事

「生返事(なまへんじ)」は、「気が乗らない時のいい加減な返事」という意味の言葉です。仮に「はい」と言った場合、口先では「はい」と言っていますが、心の中では全く乗り気ではないので承諾をしているわけではありません。つまり、「口先だけの返事で中身が伴っていない返事」の場合に使う言葉です。「二つ返事」には「承諾」の意味が含まれるので、対義語だと言えるでしょう。

「空返事」うわべだけの返事

「空返事(そらへんじ・からへんじ)」は、「相手の言うことを聞かずにいい加減に行ううわべだけの返事」という意味の言葉です。仮に「はい」と言った場合でも、話をまともに聞いているわけではなく、承諾をしているわけでもありません。つまり、「生返事」と同様に「口先だけの返事で中身が伴っていない返事」の場合に使う言葉です。「二つ返事」には「承諾」の意味が含まれるので、対義語だと言えるでしょう。

「二つ返事」の英語表現は?

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次に、「二つ返事」の英語表現を見ていきましょう。「二つ返事」の英語表現だからと言って、「二つ」を表す単語と「返事」を表す単語を組み合わせれば「二つ返事」という言葉を表せるというわけではありません。

「readily accept」

「二つ返事」の英語表現は、「readily accept」です。「readily accept」は直訳すると「快く引き受ける」という意味になります。「二つ返事」には「要望に対し快く承諾する」というニュアンスが含まれているため、適切な英語表現だと言えるでしょう。続いて、例文です。

1.Mr. Smith readily accepted Kent's unreasonable request. スミス氏はケント氏からの無理難題を二つ返事で引き受けた
2.Country A readily accepted the request for reinforcements from Country B. A国はB国からの援軍要請を二つ返事で引き受けた

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「一つ返事」という言葉は間違い?

「二つ返事」と聞くと「はぁいはぁい」という、「はい」が2回重なった渋々物事を承諾する際に用いる返事を連想し、「はい!」と1回の返事で引き受けることこそが「快諾する」こと…と勘違いしてしまう人がいます。そしてそのような勘違いから生まれてしまった誤用が「一つ返事」という言葉です。「ためらうことなく、すぐに承諾すること」という意味で「一つ返事」という言葉を用いる人がいますが、残念ながらこれは間違いになります。「一つ返事」という言葉は存在しません

「はいはい!」とパパっと承諾。それが「二つ返事」

今回は「二つ返事」という言葉について解説しました。「二つ返事」は「ためらうことなく、すぐに承諾すること」という意味の言葉で、「はいはい」とすぐに返事をすることから誕生した言葉だとされています。何か物事を頼まれた際に「はいはい!」とパパっと対応するイメージですね。「一つ返事」という言葉は存在しないので注意しましょう。

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国語言葉の意味

間違って使ってない?「二つ返事」の意味や類義語・対義語を院卒日本語教師がわかりやすく解説

みんなは「はいはい」って返事をしたことがあるでしょう。いつ、どんな風に「はいはい」と言ったか覚えているか?この「はいはい」がもとになっている言葉が「二つ返事」です。

この「二つ返事」は簡潔に言えば「ためらうことなく、すぐに承諾」という意味です。ちょっと意外に思った人もいるんじゃないか。

今回はその「二つ返事」の意味や類義語・対義語などを大学院卒の日本語教師・むかいひろきに解説してもらうぞ。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「二つ返事」の意味や使い方は?

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恐らく皆さんは「二つ返事」という言葉を一度は聞いたことがあるでしょう。しかし、間違えた使い方をしていませんか?まずは、その「二つ返事」の意味や使い方を、辞書や例文を参考にしながら見ていきましょう。

「二つ返事」の意味は「ためらうことなく、すぐに承諾」

最初に、「二つ返事」が辞書でどのように掲載されているかを見ていきましょう。「二つ返事」は次のような意味が掲載されています。

ためらうことなく、すぐ承諾すること。「-で引き受ける」

出典:広辞苑 第七版(岩波書店)「ふたつ・へんじ【二つ返事】」

「二つ返事」は「ためらうことなく、すぐに承諾すること」という意味の言葉です。「はいはい」とすぐに返事をすることから誕生した言葉だとされています。

「はいはい」は、嫌なことを頼まれた時などに渋々物事を承諾する際にも用いる返事ですよね。ただ、「二つ返事」の「はいはい」と発音や表情が異なると言って良いでしょう。「二つ返事」の「はいはい」は明るくテキパキとした返事ですが、渋々承諾する際の「はいはい」はゆっくりで暗いものになることが多いです。(「はぁいはぁい」のようなイメージですね。)

「二つ返事」の使い方を例文とともに解説!

続いて、「二つ返事」の使い方を例文とともに確認していきましょう。さきほど「二つ返事」は「はいはい」とすぐに返事をすることから誕生した言葉だと解説しましたが、実際の使用場面では、「はいはい」という返事をしない場合でも使われていることが多いです。ためらうことなく、すぐに承諾した場合は、何と言って返事したかは関係ありません。

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