
「恭しい」の使い方・例文
では次に、「恭しい」の使い方を例文を使って見てみましょう。例えば、以下のように用いられます。
1.母が先祖の墓前で恭しく頭を下げ、祈りをささげた。
2.今日の取引先の相手との交渉には、特に恭しい態度で臨むように。
3.彼女の恭しげな態度には、好感が持てる。
漢字の成り立ちの箇所で紹介したような、神仏や仏前での態度に対してだけでなく、普段の生活の中でも「礼儀正しい」「丁寧」といった意味を込めて使うことができるワードです。
また、基本的には自分以外の人や第三者の態度や行動に対する評価として用いられる表現ですので注意しましょう。自分の態度を自分で「礼儀正しい」と評価する場面は、滅多に無いですよね。また、目上の立場の人に使用することも避けた方がいいでしょう。
ちなみに「恭しい」は形容詞ですが、「恭しげな」のように形容動詞化された表現を使えば、3の例のような表現も可能です。
その1「慎ましい」
「恭しい」と同じように、礼儀正しく丁寧な様子を表す言葉ではありますが、2つのニュアンスの違いをなんとなく感じ取ることはできるでしょうか。
「慎ましい」という場合は「出しゃばらず控えめ」「質素」という、性格を示す意味合いが強くなります。結果的にそれが礼儀正しく丁寧な態度につながる場合もあるかもしれませんが、「相手に敬意を払って」というより、それにかかわらず、生まれ持った気質的な部分でそうなっている、というニュアンスです。その点に注目すると、「相手への敬意」が前提となっている「恭しい」との違いが明確になってきますね。
また、「恭しい」はあくまでその時の態度や姿勢に対して用いるため、「慎ましい」のように「性格」「女性」といった表現とセットで使うことができないことも、違いとして挙げられます。
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