今回の記事では「恭しい」について解説する。

端的に言えば恭しいの意味は「礼儀正しい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元高校国語科教員のminを呼んです。一緒に「恭しい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「恭しい」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「恭しい」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「恭しい」の意味は?

「恭しい」には、次のような意味があります。

[形][文]うやうや・し[シク]《「礼(うや)」を重ねて形容詞化した語》相手を敬って、礼儀正しく丁寧である。

[派生] うやうやしげ[形動]うやうやしさ[名]

出典:デジタル大辞泉(小学館)

うやうやしい」と読む言葉で、「礼儀正しく丁寧である」状態を指す言葉です。難読漢字として、入試で漢字の問題として出題されることも多くあります。また、ビジネスの場、厳格な場面などで目にしたことがある方もいるかもしれません。

読み方はもちろんのこと、これを機に言葉の意味までしっかり把握しておくようにしましょう。

「恭しい」の語源は?

先ほど引用した辞書のには「礼(うや)」がもととなって生まれた言葉であるとされていました。では、なぜ「恭」という漢字が使われているのでしょうか。それは「恭」の成り立ちを見ればわかります。

「恭」という漢字を「共」と「心」の上下に分解して考えてみましょう。「共」は「そなえる」という意味を持ち、神様に物を食べ物などをお供えする行為などを表しています。

そんな「共」と「心」を組み合わせた「恭」は「神様に物を供えるときのような気持ち」、つまり「相手を敬う」や「礼儀正しく丁寧」といった意味を持っているのです。

\次のページで「「恭しい」の使い方・例文」を解説!/

「恭しい」の使い方・例文

では次に、「恭しい」の使い方を例文を使って見てみましょう。例えば、以下のように用いられます。

1.母が先祖の墓前で恭しく頭を下げ、祈りをささげた。
2.今日の取引先の相手との交渉には、特に恭しい態度で臨むように。
3.彼女の恭しげな態度には、好感が持てる。

漢字の成り立ちの箇所で紹介したような、神仏や仏前での態度に対してだけでなく、普段の生活の中でも「礼儀正しい」「丁寧」といった意味を込めて使うことができるワードです。

また、基本的には自分以外の人や第三者の態度や行動に対する評価として用いられる表現ですので注意しましょう。自分の態度を自分で「礼儀正しい」と評価する場面は、滅多に無いですよね。また、目上の立場の人に使用することも避けた方がいいでしょう。

ちなみに「恭しい」は形容詞ですが、「恭しげな」のように形容動詞化された表現を使えば、3の例のような表現も可能です。

「恭しい」の類義語は?違いは?

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「礼儀正しい」「丁寧」という意味の言葉は、他にもいくつか存在しますが、ここでは微妙な意味の違いに着目しながら、関連する2つの言葉を紹介したいと思います。

その1「慎ましい」

「恭しい」と同じように、礼儀正しく丁寧な様子を表す言葉ではありますが、2つのニュアンスの違いをなんとなく感じ取ることはできるでしょうか。

「慎ましい」という場合は「出しゃばらず控えめ」「質素」という、性格を示す意味合いが強くなります。結果的にそれが礼儀正しく丁寧な態度につながる場合もあるかもしれませんが、「相手に敬意を払って」というより、それにかかわらず、生まれ持った気質的な部分でそうなっている、というニュアンスです。その点に注目すると、「相手への敬意」が前提となっている「恭しい」との違いが明確になってきますね。

また、「恭しい」はあくまでその時の態度や姿勢に対して用いるため、「慎ましい」のように「性格」「女性」といった表現とセットで使うことができないことも、違いとして挙げられます。

\次のページで「その2「遠慮深い」」を解説!/

その2「遠慮深い」

こちらも類義語にはなるものの、「慎ましい」と同じ理由で「恭しい」と区別ができる言葉になります。

「遠慮深い」というのは「性格的に控えめ」な様子、「謙虚な性格」を示す表現です。つまり、相手への敬意にかかわらず、自分の性質上、礼儀正しく丁寧な態度となっている場合に使うのがベストと言えます。

そして「遠慮深い」も「慎ましい」と同様に、気質を表す表現であるため「性格」や「人」「女性」といった表現に繋げることができ、「恭しい」との違いが明確ですね。

繰り返しとなりますが「恭しい」の場合は「相手を敬って」という前提が必要になるため、類義語との区別に迷った際は、その点に着眼してみるとより適切な表現が可能になるでしょう。

「恭しい」の対義語は?

「礼儀正しい」が恭しいの意味になるので、対義語として真っ先に挙げられるのが「無礼」という言葉ですね。

その他、単に失礼な態度である場合に「無礼」という表現に加えて、「不自然に丁寧すぎて、かえって失礼」という意味の「慇懃無礼」という表現もあります。

相手のことを考えすぎるあまり、「慇懃無礼」と思われてしまう…そんな悲しい事態を招かないよう、礼儀もほどほどにしておくことが大切ですね。

「恭しい」の英訳は?

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最後に、「恭しい」の英語表現を見てみましょう。

「恭しい」は英語で「respectful」

「相手への敬意」が前提とし、礼儀正しい様子を示す英単語「respectful」がピッタリですね。他にも「deferential」「reverential」も同様の意味を示す単語として挙げられます。

以下に例文を挙げていますので、確認してみましょう。

He acts always in a reverential manner.
彼はいつだって恭しい態度で行動する。

I learned many things from her respectful attitude.
彼女の恭しい態度から、多くのことを学ばせてもらったよ。

The student bowed deferentially.
生徒は恭しく一礼した。(bowは「お辞儀する」)

\次のページで「「恭しい」を使いこなそう」を解説!/

「恭しい」を使いこなそう

この記事では「恭しい」の意味・適切な使い方・類語などを説明しました。

受験生の方にとっては入試で問われやすい言葉です。読み方、書き方などをまずは性格に覚えておきましょう。また、社会人の方にとっても、ぜひ覚えていてほしい表現です。日常会話レベルでの使用頻度は低いですが、かしこまった場面などで、周りの人の礼儀正しい態度を評価したいとき、この「恭しい」という表現を使うことができます。

難しい言葉だからこそ、自分のものにすることができるようにチャレンジすることがレベルアップへの近道です。読み方や意味までこの機会にぜひとも頭に入れておきましょう。

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国語言葉の意味

「恭しい」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

今回の記事では「恭しい」について解説する。

端的に言えば恭しいの意味は「礼儀正しい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元高校国語科教員のminを呼んです。一緒に「恭しい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「恭しい」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「恭しい」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「恭しい」の意味は?

「恭しい」には、次のような意味があります。

[形][文]うやうや・し[シク]《「礼(うや)」を重ねて形容詞化した語》相手を敬って、礼儀正しく丁寧である。

[派生] うやうやしげ[形動]うやうやしさ[名]

出典:デジタル大辞泉(小学館)

うやうやしい」と読む言葉で、「礼儀正しく丁寧である」状態を指す言葉です。難読漢字として、入試で漢字の問題として出題されることも多くあります。また、ビジネスの場、厳格な場面などで目にしたことがある方もいるかもしれません。

読み方はもちろんのこと、これを機に言葉の意味までしっかり把握しておくようにしましょう。

「恭しい」の語源は?

先ほど引用した辞書のには「礼(うや)」がもととなって生まれた言葉であるとされていました。では、なぜ「恭」という漢字が使われているのでしょうか。それは「恭」の成り立ちを見ればわかります。

「恭」という漢字を「共」と「心」の上下に分解して考えてみましょう。「共」は「そなえる」という意味を持ち、神様に物を食べ物などをお供えする行為などを表しています。

そんな「共」と「心」を組み合わせた「恭」は「神様に物を供えるときのような気持ち」、つまり「相手を敬う」や「礼儀正しく丁寧」といった意味を持っているのです。

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