
端的に言えば悄然の意味は「元気がないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
哲学、思想、政治に強い文系大学院生を呼んです。一緒に「悄然」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/南原眞一
法学研究科にて哲学、思想、政治を学んでいる現役文系大学院生。本来の専門は20世紀辺りのドイツ政治思想。大衆に訴えかける能力があると指導教授に言われた筆致で言葉を丁寧に解説していく。
「悄然」の意味は?
「悄然」には、次のような意味があります。
1 元気がなく、うちしおれているさま。しょんぼり。「悄然たる後ろ姿」「悄然としてうつむく」
2 ひっそりと静かなさま。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「悄然」
悄然の読み方は「しょうぜん」ですが、このことばを見たことがある人はそれほど多いわけではないかもしれません。特に「悄」の意味まで知っている人はほとんどいないでしょう。これを機会に、悄然の語義まで含めて覚えましょう。
「悄然」の語源は?
次に「悄然」の語源を確認しておきましょう。ルネ・デカルトの「困難は分割せよ」とのアドバイスに則って、まずは「悄然」を分けて考えてみましょう。
悄は「しょう」と読みます。意味は二つあって、一つは「憂える」、二つは「静か」です。しょんぼりしている様子を表す悄然で用いられている意味は、どちらかというと二つ目の意味に近いと考えて良いでしょう。また、悄を用いた熟語として他には、「悲しみ悼むこと」を意味する「悄愴」(しょうそう)などがあります。ちなみに「愴」(しょう、そう)は「悼む、悲しむこと」を意味し、「悲愴」といった形で用いられることも覚えておきましょう。
然は基本的には「ぜん」と読みますが、「然(しか)し」のように逆接、あるいは「然(しか)して」のように順接の接続詞として用いられることに注意が必要です。悄然で用いられている然は、接続詞的な意味ではなく、状態を表しています。例えば憤然(ふんぜん)や憮然(ぶぜん)などは、憤っている様を表しているわけです。悄然だと、静かであることを示す「悄」の状態にあることを示しています。
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