この記事では「お安い御用」について解説する。
端的に言えば「お安い御用」の意味は「簡単である、容易い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「お安い御用」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「お安い御用」の意味や語源・使い方まとめ

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「お安い御用」の読み方は「おやすいごよう」です。それでは早速「お安い御用」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「お安い御用」の意味は?

「お安い御用」には、次のような意味があります。

相手の依頼に対して、それは全然苦ではない、気軽にできる事柄だ、ということを表明する場合の言い回し。面倒ごとに対して相手の恐縮を和らげるために言う。

出典:Weblio 辞書

「お安い御用」は「たやすい」という意味の言語。相手から用事などを頼まれたとき、「お安い御用です」と答える形で使うことがおおいですよ。元来「やすい」という語には「たやすい」という意がありますが、「お安い御用」はそれに「お」をつけて一種の丁寧な気持ちを表そうとする表現です。「おやすうございます」というさらに丁寧な言い方もありますよ。

ですが、「お安い御用」はあまり改まった感じの表現ではありませんし、親しい者同士でもよく使われる言葉です。また「です」を付けずに「お安い御用さ」などと言うこともありますが、こういう用法は敬語とは言い難い表現と言えるでしょう。

「お安い御用」の語源は?

次に「お安い御用」の語源を確認しておきましょう。

「お安い」は「やすい」に接頭語「お」のついた形です。「簡単である」という意以外にも「値段が安い」の意があります。そして「お安い」は「安い」の美化語。丁寧に言おうという気持ちより、上品に言おうという気持ちで使われることもおおいです。また「御用」の「ご」は接頭語。敬うべきひとの用事、宮中や政府などの用事、官命による逮捕、御用聞きの略など、尊敬語またはその延長としての用法と、用事を美化していう美化語としての用法があります

\次のページで「「お安い御用」の使い方・例文」を解説!/

「お安い御用」の使い方・例文

「お安い御用」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.飲み会の席で人気のある先輩から「いつもの調子で盛り上げてくれよ」と言われたので、私は「お安い御用ですよ。楽勝!朝飯前です」とりょうかいした。

2.会社の上司が「こんなことをあなたに頼むのは悪いんだけど…」と前置きして頼みごとをしてきたが、「お安い御用です。余裕ですよ」と返事し快く引き受けた。

3.急な用事で得意先に呼び出されたが、「お安い御用です。これからお伺いいたします」と承諾した。

断るという行為はなかなか勇気が要りますね。断る側としても胸が痛みますし、相手にそれなりの落胆を与えてしまいます。また自分の印象を悪くしてしまう可能性をはらんでいるからです。いろんな事情や都合で相手の頼みや誘いを受け入れられない場合もあるでしょう

ですが、上司や先輩、日ごろお世話になっているひとから気乗りしない頼みごとをされた時に、断りづらいからといって何でもかんでも受け入れていては身も心も持ちません。頼まれたことをどう断るのか、または承諾するのかは、大人としての立ち回りの見せ所。「お安い御用です」と気安くうけあうよりも、困った様子や迷惑な気持ちを示しておいた方がいい場面もありますよ。

「お安い御用」の類義語は?違いは?

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「お安い御用」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「承知いたしました」

「承知いたしました」は相手の要求や依頼を受け入れたり引き受けたりするという意味。相手に対してただ「わかりました」や「いいですよ」というよりも、やや改まったあるいは堅苦しい感じをもたらす表現だと言えるでしょう。「お安い御用」との違いはとてもへりくだった丁重な響きがある表現だという点です。

\次のページで「その2「申し受ける」」を解説!/

その2「申し受ける」

「申し受ける」は「もうしうける」と読みます。「引き受ける」「受け取る」意の謙譲語ですよ。古くは自分から願い出て許可などを受ける場合に使うことが多かったようですが、現代ではそうとは限らず「承る」「頂く」と同様の意味で使われています

ただし「申し受ける」は商人などの型にはまった書き言葉や文章中で使われるのがほとんどで、日常会話ではあまり使われません。なお「送料は実費を申し受けます」のように、単に「願い出て受け取る」という意の謙譲語としてではなく使われることもあります。「お安い御用」との違いは「申し受ける」は改まったフレーズだという点です。

「お安い御用」の対義語は?

「お安い御用」と反対の意味を持つ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「生憎ですが」

「生憎」は「あいにく」と読みます。「生憎」は期待に反して、不都合なことが起きた時に用いられる言葉です。今日では、相手からの問い合わせや依頼に対して、意に添えない時に、丁重に断るのにも用いられます。なお「おあいにくさま」の形でも用いられますよ。ちなみに「あいにく」は「あやにく」から転じた日本語で、すでに平安時代から用いられていましたが、江戸時代に至り「あいにく」の形が派生しました。

その2「お察しいたしますが」

「御察し」は尊敬語です。「お」は接頭語で、「さっし」は動詞「察する」からできた名詞であり、察すること・推察することの意を表していますよ。「お察しくださる」などの形も時々見受けられますね。また「お察しする」「お察し致す」「お察し申し上げる」などは、謙譲語としての用法です。

「お安い御用」の英訳は?

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「お安い御用」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「お安い御用」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「Yes, certainly」

「certainly」は「承知しました、もちろん」という意味。「Yes, certainly」で「お安い御用です」と表現できます。また「It's a piece of cake(これくらいなんともありません)」や「It's a piece of pie」(まったく不都合はありません)」といった表現もありますよ。「No problem」といった表現もおすすめです。

\次のページで「「お安い御用」を使いこなそう」を解説!/

「お安い御用」を使いこなそう

この記事では「お安い御用」の意味・使い方・類語などを説明しました。

言葉は毒にも薬にもなる魔法の道具です。無意識のうちに相手を傷つけてしまうような「悪魔のコトバ」を使ってしまったり、相手に苦しみや悲しみを与えるようなマイナスな発言をしてしまったりしていませんか。そのような言葉を発し続けると自分自身も自ずと不幸になっていくでしょう。

ですが、思いやりや優しさが込められた「微笑みのことば」を使っていると、自分自身もどんどん幸せな気持ちになれます。人間は一人一人考え方や感じ方が違いますね。だからこそ言葉にしてきちんと伝えることはとても大切です。「言わなくてもわかってくれるはず」という思いは捨てて相手と自分にとってベストな状況を作っていきましょう。

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国語言葉の意味

「お安い御用」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「お安い御用」について解説する。
端的に言えば「お安い御用」の意味は「簡単である、容易い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「お安い御用」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「お安い御用」の意味や語源・使い方まとめ

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「お安い御用」の読み方は「おやすいごよう」です。それでは早速「お安い御用」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「お安い御用」の意味は?

「お安い御用」には、次のような意味があります。

相手の依頼に対して、それは全然苦ではない、気軽にできる事柄だ、ということを表明する場合の言い回し。面倒ごとに対して相手の恐縮を和らげるために言う。

出典:Weblio 辞書

「お安い御用」は「たやすい」という意味の言語。相手から用事などを頼まれたとき、「お安い御用です」と答える形で使うことがおおいですよ。元来「やすい」という語には「たやすい」という意がありますが、「お安い御用」はそれに「お」をつけて一種の丁寧な気持ちを表そうとする表現です。「おやすうございます」というさらに丁寧な言い方もありますよ。

ですが、「お安い御用」はあまり改まった感じの表現ではありませんし、親しい者同士でもよく使われる言葉です。また「です」を付けずに「お安い御用さ」などと言うこともありますが、こういう用法は敬語とは言い難い表現と言えるでしょう。

「お安い御用」の語源は?

次に「お安い御用」の語源を確認しておきましょう。

「お安い」は「やすい」に接頭語「お」のついた形です。「簡単である」という意以外にも「値段が安い」の意があります。そして「お安い」は「安い」の美化語。丁寧に言おうという気持ちより、上品に言おうという気持ちで使われることもおおいです。また「御用」の「ご」は接頭語。敬うべきひとの用事、宮中や政府などの用事、官命による逮捕、御用聞きの略など、尊敬語またはその延長としての用法と、用事を美化していう美化語としての用法があります

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