端的に言えば「賜る」の意味は「頂戴する、お与えになる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「賜る」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/flicker
仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。
「賜る」の意味は?
「賜る」には、次のような意味があります。
[動ラ五(四)]
1 「もらう」の意の謙譲語。目上の人から物などをいただく。ちょうだいする。「日ごろお客様からご愛顧を―・っております」
「禄ども、しなじなに―・り給ふ」〈源・桐壺〉
2 「与える」の意の尊敬語。鎌倉時代以降の用法。目上の人が物などをくださる。「臣下に金一封を―・る」
3 神の許可を得て、通行を許してもらう。
「足柄(あしがら)のみ坂―・り顧みず我(あれ)は越(く)え行く」〈万・四三七二〉
4 (補助動詞)動詞の連用形、また、それに「て」を添えた形に付いて用いる。
㋐「…てもらう」の意の謙譲語。…ていただく。
「まげて許し―・らん」〈徒然・八七〉
㋑「…てくれる」の意の尊敬語。鎌倉時代以降の用法。…てくださる。
「われをも舟に乗せて―・り候へ」〈謡・隅田川〉
[動ラ四]《「たまはる」が転じた「たもうる」の音変化》
1 くださる。
「半分はみどもにも―・れ」〈虎明狂・連歌毘沙門〉
2 (補助動詞)動詞の連用形に接続助詞「て」を添えた形に付いて、目下の者に対して丁寧に言う気持ちを表す。…てくださる。
「逢はせて―・れ」〈松の葉・一〉
[動ラ四]《「たまわる」の音変化》たまわる。いただく。
「御返りはかならずあらむ。―・りてまうでこむ」〈宇津保・藤原の君〉
[動ラ四]⇒とうば(賜)る
出典:コトバンク
「賜る」は敬うべき人から物などをもらう意、「…てもらう」意を表す謙譲語の用法と、敬うべき人が物などをくれる意、「…てくれる」意を表す尊敬語の用法とがあります。謙譲語の用法は古くから行われましたが、尊敬語の用法は鎌倉時代から行われるようになりました。なお「…てもらう」「…てくれる」意の場合は「たまわる」を動詞の連用形、または、それに「て」の付いた形に接続させるのが普通ですよ。
「賜る」の語源は?
次に「賜る」の語源を確認しておきましょう。
まずは「賜」の漢字の成り立ちについて解説しますね。「賜」はお金を表す「貝」と同じあたいになる意味の音を示す「チ」とを合わせた字です。お金の額と等しい価値をもつもの、つまり「しちぐさ」を表しますよ。後に、しちぐさはお金を借りる元手であることから、「もと」の意味にも使われるようになりました。また「賜・賜物」は、神や敬うべき人からいただいたもの、また、ある行いなどから生まれたよい結果を意味します。
\次のページで「「賜る」の使い方・例文」を解説!/