この記事では「比喩」について解説する。「比喩」はどちらかというと学生の方が馴染みのある言葉です。社会に出ると業界によっては全く縁のない言葉にもなるが、学生は学校で習うから聞いたことがあるはずです。ただ、意味を掴むのはやや難しいから、この記事を読んで自分の物にしてくれ。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「比喩」の意味や種類、使い方などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「比喩」の意味とは?

image by iStockphoto

「比喩」の意味は以下の通りです。

ある物事を、類似または関係する他の物事を借りて表現すること。たとえ。

出典:goo辞書「比喩 意味」

「比喩」は「ひゆ」と読みます。「比喩」と言われると「それは何?」と思う人も少なくないでしょう。しかし、「もののたとえ」と言うと掴みやすくなります。人間は日常的にもののたとえに触れて生活しているため、「比喩」は実はとても日常的な言葉なのです。

「譬喩」という漢字で表記されることもあります。漢字が難しくなるため難読度がやや上がりますが、読み方は「ひゆ」のままです。

「比喩」は国語で習うこと

「比喩」という言葉は、中学国語で学習する範囲のことです。進路に関わらず、多くの学生は一度は習うことになるでしょう。ただし、あくまで文法の一種として習うため、大人になると触れる機会は減ってしまいます。正確に言うと、「比喩」という現象には日夜触れていても、「比喩」という名前がついているということは忘れてしまうのです。

\次のページで「「比喩」の中には3種類の文法がある!」を解説!/

「比喩」の中には3種類の文法がある!

image by iStockphoto

「比喩」の中には3種類の文法があります。しばしば混同されるため、本記事を参考に押さえてください。誤解されがちなポイントですが、「比喩」には3種類の意味があるというわけではありません。3つの文法を含んでいるだけです。

例えば、ジュースの意味は清涼飲料水となります。それがアップルジュースであっても、サイダーやスポーツドリンクであっても、いずれもジュースには違いありません。「比喩」も同様であり、下記に3つの文法を紹介していますが、そのどれもが「比喩」の一種です。

「比喩」の中では最もわかりやすい?「直喩」

「直喩(ちょくゆ)」とは、文字通り「直接的な比喩」のことです。「たとえば」「~~のような」「~~に似ている」など、何かに例えていることが文章ではっきりと示されている場合が「直喩」となります。「比喩」の中ではもっとも判断や発見が簡単であり、学生のテストなどでは比較的簡単な問題として出題されることも少なくありません。下記に例文をあげます。

1.彼女はまるで一輪のバラのようだ。
2.あの人の気まぐれさは山の天気に似ている。

「ようだ」「似ている」など、例えているとわかる言葉が入っています。この他にも、「まるで」や「~のごとく」など、例えていることを示す言葉が入っていれば「直喩」です。

注意しないと見逃してしまう「隠喩」

「隠喩(いんゆ)」とは「暗喩(あんゆ)」とも言います。文字通り、「隠れた比喩」のことです。上記トピックの「直喩」がわかりやすかったのとは対照的に、「隠喩」は「もののたとえです」とはっきり明言されることなく、自然に「比喩」が使用されます。隠喩の例文は以下の通りです。

1.あの花の香りに、記憶の引き出しが開いた。
2.この知らせできっと彼女の笑顔が花開くだろう。

\次のページで「忘れられがち?「擬人法」」を解説!/

1の例文では、記憶はもちろん引き出しと同じものではありませんが、引き出しが開くように記憶が蘇る様を表しています。2の例文では、笑顔が浮かぶことをまるで花が開くように例えているのです。どちらも、「~~のような」「まるで」「~~に似ている」など、たとえを表す言葉を使わずにもののたとえを表現しています。

忘れられがち?「擬人法」

「擬人法(ぎじんほう)」も「比喩」の1種です。「喩」という漢字が共通している「直喩」「隠喩」と違い、「擬人法」は「喩」の字が入っていないため、「比喩」と別物と思われることも少なくありません。しかしそれは間違いであるため、注意が必要です。

「擬人法」は「人を擬態する法」という文字通り、たとえの中でも特に人にたとえるものを指します。以下が例文です。

1.さっきから庭先で蝶が舞っている。
2.彼の家は波の歌が聞こえるらしい。

舞を舞ったり歌ったりするのは人間の行動であり、蝶や波がそのようなことを行うわけではありません。しかし、人間であるかのようにたとえて「舞う」「歌う」という表現をしているわけです。「擬人法」は人間にとって身近なたとえであるため、実はテストの際には見つけにくい文法でもあります。

「比喩」という言葉は使われない?

image by iStockphoto

上記のトピックで「比喩」の意味を解説してきました。しかし、実際「比喩」という言葉に着眼すると面白いことがわかります。それは、「比喩」という表現方法は皆使用していても、「比喩」という言葉はあまり使われないということです。

「比喩」はもののたとえを意味しているのであり、たとえるものとたとえられるもので「比喩」を使った文章が成立しますが、そこに「比喩」という単語が挟まる余地は大抵の場合ありません。使用されているのに名前は誰にも呼ばれないという、珍しい現象が発生しているのです。

実際に「比喩 例文」などで検索してみても、出てくるのは「比喩」で表現されている文章であり、「比喩」という単語が出てくる例文ではありません。

\次のページで「「比喩」の使い方」を解説!/

「比喩」の使い方

実際に「比喩」という言葉そのものを使用する時は、どのようにすべきでしょうか。以下が例文です。

1.この文章では「比喩」が用いられているのに気づきましたか。
2.君の文章はもう少し「比喩」的表現があった方が、もっとよくなるだろう。
3.筆者はこの時の主人公の心情を、「比喩」を使って表現しています。

たとえの文章というよりは、文章の解説のような使われ方が多いです。ここからも、「比喩」はあくまで文法の名前であることが伺えます。また、「比喩」という言葉は出ていても「比喩」表現が使われているわけではない点も、「比喩」という言葉の面白さと言えるでしょう。

覚えておいて損はない「比喩」

「比喩」という単語は、直接日常会話で出てくる機会はあまりありません。しかし、「比喩」という言葉を知らなくとも、多くの人が日常的に「比喩」を使用しているのは事実です。自分が使用している文法の名前を知らないということは、文章について説明しようと思った際に困ってしまうということでもあります。

言葉に限らずどのようなものでもそうですが、使っているのにそのツールの名前を知らない状態でいると、いざという時に困ることもあるでしょう。自分が何を行っているのか、使っているものにどんな名前がついているのか知ることで、人生は豊かになってきます。

" /> 比喩の文法は3種類!「比喩」の意味や使い方・例文も言葉大好きライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

比喩の文法は3種類!「比喩」の意味や使い方・例文も言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「比喩」について解説する。「比喩」はどちらかというと学生の方が馴染みのある言葉です。社会に出ると業界によっては全く縁のない言葉にもなるが、学生は学校で習うから聞いたことがあるはずです。ただ、意味を掴むのはやや難しいから、この記事を読んで自分の物にしてくれ。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「比喩」の意味や種類、使い方などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「比喩」の意味とは?

image by iStockphoto

「比喩」の意味は以下の通りです。

ある物事を、類似または関係する他の物事を借りて表現すること。たとえ。

出典:goo辞書「比喩 意味」

「比喩」は「ひゆ」と読みます。「比喩」と言われると「それは何?」と思う人も少なくないでしょう。しかし、「もののたとえ」と言うと掴みやすくなります。人間は日常的にもののたとえに触れて生活しているため、「比喩」は実はとても日常的な言葉なのです。

「譬喩」という漢字で表記されることもあります。漢字が難しくなるため難読度がやや上がりますが、読み方は「ひゆ」のままです。

「比喩」は国語で習うこと

「比喩」という言葉は、中学国語で学習する範囲のことです。進路に関わらず、多くの学生は一度は習うことになるでしょう。ただし、あくまで文法の一種として習うため、大人になると触れる機会は減ってしまいます。正確に言うと、「比喩」という現象には日夜触れていても、「比喩」という名前がついているということは忘れてしまうのです。

\次のページで「「比喩」の中には3種類の文法がある!」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: