この記事では「驟雨」について解説する。

端的に言えば驟雨の意味は「急に降りだす雨」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

ドラマやアニメなど、数多くの映像字幕を作成した経験があるNagiを呼んです。一緒に「驟雨」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Nagi

映像翻訳スクール出身。翻訳、チェッカー以外にも、CC字幕(クローズドキャプション)の制作多数。言葉を文字で表現する「字幕」の世界に数多く触れてきた経験を活かして、分かりやすく解説する。

「驟雨」の意味や語源・使い方まとめ

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驟雨」の読み方は「しゅうう」です。「」という字が難しいですね。正しく読めなかった人は、この読み方をしっかりと覚えてしまってください。「」に関連する言葉だということは分かりますが、一体どのような雨なのでしょう

それでは早速「驟雨」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「驟雨」の意味は?

「驟雨」には、次のような意味があります。

急にどっと降りだして、しばらくするとやんでしまう雨。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「驟雨」

国語辞典によれば「驟雨」は急に降り始めて、短時間でやむ雨のこと。積乱雲など対流性の雲の発生によって降る雨、つまり寒冷前線が通過する時の雨です。誰しも一度は、この雨によってずぶ濡れになった経験があるのではないでしょうか?

四季がある日本には「梅雨」のように、雨にまつわる用語が多種多様にあります。俳句の季語が多く存在していることからも分かるでしょう。日本語というのは、私たち日本人が持つ繊細な感情や季節感が込められている言葉であるということを、まず理解してください。

「驟雨」の語源は?

次に「驟雨」の語源を確認しておきましょう。

語源辞書によると「驟」は、馬が速く走る様子を表している形声文字で「はやい」のほか「にわか」という意味があります。形声文字というのは音の部分意味の部分が合わさってできた文字のこと。漢字の80パーセント以上が、この形声文字だと言われています。

\次のページで「「驟雨」の使い方・例文」を解説!/

「驟雨」の使い方・例文

「驟雨」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.学校から帰宅途中に驟雨に遭い、ずぶ濡れになってしまった。

2.驟雨が過ぎ去ると、見る見るうちに空が晴れ渡って明るさを取り戻した。

3.驟雨に洗われた庭の草木が、日の光を浴びてキラキラと輝いている。

どの例文からもリアルな雨音が感じ取れますね。例文2や例文3の場合は激しい雨の音だけでなく、雨がやんだ後の静寂さも伝わってきます。「驟雨」は文語的な語感のある言葉なので、普段の会話の中で使う人は少ないのではないでしょうか。「しゅうう」と聞くと「秋雨」を想像してしまう人もいるかもしれません。

ちなみに、芥川賞受賞作品の中に「驟雨」という書名の短編小説(吉行淳之介作)があります。

「驟雨」の類義語は?違いは?

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それでは「驟雨」の類義語を見ていきましょう。「急に降りだす雨」と同じ意味を持つ言葉を、いくつか紹介していきます。

その1「夕立」

夕立」の読み方は「ゆうだち」。誰もが知る表現なので、おそらく読めない人はいないでしょう。「にわか雨」や「通り雨」とほぼ同義ですが「夏の夕方」に焦点が当たっているのが「夕立」です。雷と合わさった夕立は「神立(かんだち)」と呼ばれます。夕立は夏の風物詩。夕立のあとは一気に気温が下がって涼が得られます。

\次のページで「その2「村雨」」を解説!/

その2「村雨」

村雨」の読み方は「むらさめ」です。「群れになって降る雨=群雨」からきている言葉で、ひとしきり激しく降って、やんではまた降る様子を表します。「」の字から、日本人が雨を生活の中に取り込んできた風情が感じ取れますね。古くからある言葉で、万葉集・古今和歌集・小倉百人一首などにも出てきます。

「驟雨」の対義語は?

ここからは「驟雨」の対義語を見ていきましょう。「急に降りだす雨」と反対の意味を持つ言葉をいくつか紹介していきます。

その1「地雨」

地雨」の読み方は「じあめ」。一定の強さで長く降り続ける雨のことをいいます。層雲系の雲から降ることが多い雨とされており、春雨・梅雨・五月雨・秋雨なども地雨と言えるでしょう。しとしとと降り続く、典型的な雨です。

その2「霖雨」

霖雨」の読み方は「りんう」。何日も降り続く雨のことです。「」という漢字だけで「ながあめ」「三日以上続く雨」を意味します。あめかんむりの下に「林」があるので、雨が降る情景がイメージしやすいですね。春の長雨が「春霖」、秋の長雨が「秋霖」です。

「驟雨」の英訳は?

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「驟雨」を英語で表現すると、どのようになるのでしょうか?ここからは、日本というフィールドを離れて、欧米的視点から「驟雨」の英語訳を見ていきましょう。

「sudden downpour」

sudden downpour」の意味は「突然のどしゃぶり」。ストレートな表現なので、驟雨が含むような趣はありません。実際の会話では「heavy rain」「rain heavily」など、rainを基準にして表現する場合が多いようです。突然の強い雨の意味では「shower」もよく使われます。「にわか雨」や「通り雨」の英訳といえば「shower」です。

英語には雨を表現する単語というものが日本語のようにバラエティに富んでいません。そのため、細かい表現をしたい場合は「brief」「quick」「April」などで修飾された「shower」が使われます。あるいは、以下のような動詞を使って表現するのが一般的です。

\次のページで「「驟雨」を使いこなそう」を解説!/

sprinkle(ぱらぱら降る)

drizzle(しとしと降る)

pour(激しく降る)

以下例文となります。

We got caught in a sudden downpour on our way home.
私たちは帰宅途中、どしゃぶりの雨に遭った。

We're expecting a high chance of showers this afternoon.
午後は、にわか雨が降る確率が高いでしょう。

「驟雨」を使いこなそう

この記事では「驟雨」の意味・使い方・類語などを説明しました。

地球温暖化の影響で、日本でも熱帯雨林気候の地域で見られるスコールのような雨が降るようになりました。局地的大雨、集中豪雨を意味する「ゲリラ豪雨」という言葉もよく耳にします。そんな中でも、わが国ならではの美しい言葉は大切にしていきたいもの。そのためにも、フォーマルな手紙の文面に用いたり比喩的に用いるなどして、普段の生活の中で「驟雨」を積極的に使っていきましょう。

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国語言葉の意味

「驟雨」の意味や使い方は?例文や類語を字幕制作者がわかりやすく解説!

この記事では「驟雨」について解説する。

端的に言えば驟雨の意味は「急に降りだす雨」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

ドラマやアニメなど、数多くの映像字幕を作成した経験があるNagiを呼んです。一緒に「驟雨」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Nagi

映像翻訳スクール出身。翻訳、チェッカー以外にも、CC字幕(クローズドキャプション)の制作多数。言葉を文字で表現する「字幕」の世界に数多く触れてきた経験を活かして、分かりやすく解説する。

「驟雨」の意味や語源・使い方まとめ

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驟雨」の読み方は「しゅうう」です。「」という字が難しいですね。正しく読めなかった人は、この読み方をしっかりと覚えてしまってください。「」に関連する言葉だということは分かりますが、一体どのような雨なのでしょう

それでは早速「驟雨」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「驟雨」の意味は?

「驟雨」には、次のような意味があります。

急にどっと降りだして、しばらくするとやんでしまう雨。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「驟雨」

国語辞典によれば「驟雨」は急に降り始めて、短時間でやむ雨のこと。積乱雲など対流性の雲の発生によって降る雨、つまり寒冷前線が通過する時の雨です。誰しも一度は、この雨によってずぶ濡れになった経験があるのではないでしょうか?

四季がある日本には「梅雨」のように、雨にまつわる用語が多種多様にあります。俳句の季語が多く存在していることからも分かるでしょう。日本語というのは、私たち日本人が持つ繊細な感情や季節感が込められている言葉であるということを、まず理解してください。

「驟雨」の語源は?

次に「驟雨」の語源を確認しておきましょう。

語源辞書によると「驟」は、馬が速く走る様子を表している形声文字で「はやい」のほか「にわか」という意味があります。形声文字というのは音の部分意味の部分が合わさってできた文字のこと。漢字の80パーセント以上が、この形声文字だと言われています。

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