
端的に言えばいけずの意味は「意地の悪いさま。また、その人」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
現役の落語家でwebライターの晋治を呼んです。一緒に「いけず」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/晋治
現役の落語家でwebライター。20代後半から落語家に入門し、40歳からは兼業ライターに。言葉を生業とする落語家とライターの経験を活かして、わかりやすく言葉の意味を解説する。
「いけず」の意味は?
「いけず」には、次のような意味があります。
「いけず」 の解説
[名・形動]
1 (関西地方で)意地が悪いこと。また、そういう人や、そのさま。「いけずなことばかり言う」
2 《近世上方語》悪人。ならず者。
「今も今とて―たちがわっぱさっぱ」〈浄・浪花鏡〉
出典:goo辞書「いけず」
「いけず」というのは関西地方の方言です。大阪ことば事典(牧村史陽編)には、「イケズ(名)」とは、「いじわる。こんじょわる」とあります。大阪ではいじわるの子などがあると「いけのはたのずいき」(即ち、ずいき)といってはやし立てたそうです。
「いけず」は関西人の女性が使うと色っぽい大人の言葉になります。「いけず言わんとって」「いけずせんとって(うちの気持ち分かってるのに)」など、微妙な恋心や感情の揺れを伝えることができる便利な言葉になるんですね。これからも末永く残りますように。
「いけず」の語源は?
次に「いけず」の語源を確認しておきましょう。
「いけず」の語源は諸説ありますが、先にも記しました「いけのはたのずいき」という説が有力ですね。漢字で表すと「池之端の芋茎」。これが短くなって「いけず」と言う言葉になったといわれています。
芋茎(ずいき)は里芋の茎。芋茎は非常に栄養を必要とする植物なのですね。池に植えるとその中の栄養分をすべて吸い上げて成長します。養分を独り占め、独占しようとする。周りの植物に必要な栄養分まで貪欲に奪ってしまう。その様子を見た人が、他人に配慮しない意地悪な人を「いけのはたのずいき」と呼ぶようになり、これが「いけず」になったと言い伝えられています。
もう一つは、また小姑根性のひねくれた気質が人に嫌われて、あれでは嫁に行けない、行けず者だ、行けずだといった説です。
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