この記事では「次第」について解説する。

端的に言えば次第の意味は「順序」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「次第」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在はアメリカで子育て中につきさらに日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「次第」の意味や語源・使い方まとめ

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「次第」という言葉、普段何気なく使っているのではないでしょうか。その意味、実は複数あることにお気づきでしょうか。正しい使い方を知って様々な場面で活用してみましょう。

それでは早速「次第」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「次第」の意味は?

まず初めに「次第」の意味を辞書で確認してみましょう。「次第」には、次のような意味があります。

一[名]

1.物事が行われる際の一定の順序。
2.今まで経過してきた状態。なりゆき。
3.物事の、そうなるに至った理由。わけ。事情。
4.能や狂言の構成部分の一。七・五、返句、七・四の3句からなる拍子に合った謡。シテ・ワキなどの登場第一声として、また曲舞 (くせまい) や乱拍子の序歌としても謡われる。
5.能や狂言で、シテ・ワキなどの登場に用いる囃子事 (はやしごと) 。大鼓・小鼓に笛があしらい、続いて4が謡われる。
6.歌舞伎囃子 (ばやし) の一。5を取り入れたもので、能がかりの登場音楽として用いるほか、「関の扉 (と) 」などの幕開きにも奏する。

二[接尾]

1.名詞に付いて、その人の意向、またはその事物の事情のいかんによるという意を表す。
2.動詞の連用形に付いて、その動作が行われるままにという意を表す。
3.動詞の連用形または動作性の名詞に付いて、その動作がすむと直ちにという意を表す。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「次第」

たくさの意味がありますね。びっくりしましたか。

名詞として使われる場合。まずは「順序」。「式次第」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。式の進行内容を記したプログラムのようなものを指しますね。次は「なりゆき」。「事の次第は」などと言えばわかるでしょうか。そして「わけ」。「そんな次第で」といったように使われます。

次は接尾語として使われる場合。接尾語というのは、常に他の言葉の下についてその言葉と共に意味を形成するものをいいます。まずは「その物事の事情のいかんによる」という意味。「あなた次第」という表現はよく使うのではないでしょうか。次は「その動作が行われるままに」の意味。「手当たり次第」もよく使いますね。もうひとつは「その動作がすむと直ちに」という意味も表します。「到着次第」などもよく使われるでしょう。

「次第」には、このようにたくさんの意味と使い方があるのです。

なお、一の4から5は能楽用語としての意味になります。日常生活の中で使う機会は少ないかもしれませんね。

「次第」の語源は?

次に「次第」の語源を確認しておきましょう。

「次第」の「」の字には「すぐ後に続くこと、物事の順序」という意味があります。「」は「順序、順番」。両方ともに「順序」という意味がありますので、二つを合わせて「順序」を表す言葉となりました。

\次のページで「「次第」の使い方・例文」を解説!/

「次第」の使い方・例文

「次第」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.秘書に式の次第を確認した。
2.ふるさとに帰ることを決めた次第を、先生に話した。
3.常にアクセスランキング上位を保っていらっしゃる秘訣をおうかがいしたく、本日参った次第です。
4.相手の状況次第で、行くかどうかを判断する。
5.あのアニメの主人公は、上司の言いなり次第になってしまう人として描かれている。
6.メールの内容に誤りがないことが確認でき次第、ご連絡いたします。

例文1は、順序を意味する言葉として使われています。結婚式や卒業式など「式」の時には「式次第」と言いますが、忘年会や株主総会など「会」の時には「会次第」と言うこともできますよ。

例文2は、事のなりゆきを説明する意味として使われている例です。「事の次第によっては許される話ではない」などと言われたら、どっきりしてしまいますね。

例文3は、ビジネスシーンなどかしこまった場面で使われる言い回しですね。そうなるに至ったわけや事情を説明する場合に用いられます。

例文4は、そのことの事情のいかんによるという意味の例です。「テストに受かるかどうかは、君の努力次第だ」と言われたら、がんばるしかありません。

例文5は、そのことのなるがままにしてしまうという意味で使われている例ですね。

例文6は、よく使われる言い方ではないでしょうか。~をしたらすぐにという意味ですね。「準備が整い次第」「終わり次第」「決まり次第」などと使えます。

「次第」の類義語は?違いは?

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「次第」の類義語を見てみましょう。

その1「首尾」

「首尾」は「しゅび」と読みます。「始めと終わり、始めから終わりまで」ということを表しますが、「物事の成り行きや結果」という意味も持っているのです。「事の首尾を説明する」というように使えば、それまで経過してきたなりゆきを説明する意味になり「事の次第を説明する」と置き換えることができるのですよ。

\次のページで「その2「顛末」」を解説!/

その2「顛末」

「顛末」は「てんまつ」と読み、「事の最初から最後までの事情、一部始終」を意味します。物事がそうなるにいたったいきさつそのものが「顛末」ということなのです。「事の顛末を説明する」と言うと、そうなるに至った経過や事情やわけをすべて説明するということになります。「事の次第を説明する」より詳しい説明が求められそうですね。

「次第」の対義語は?

「次第」の対義語、反対の意味になる言葉はこれといってありません。

しかし、意味がある現象がだんだんと変わるときに用いる「次第に」となると、次のような対義語があります。

「一気に」

「一気に」は「いっぺんに物事を行うさま」を表します。「だんだんに、徐々に」とは反対の意味になりますね。

他にも「急に」「一挙に」「一息に」などと言うこともできます。

「次第」の英訳は?

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「次第」の英訳を見てみましょう。

その1「order」

「順序」を意味する「次第」の場合には、「order」と訳すことができます。「order」というと「注文」のことかと思ってしまうかもしれませんが、「順序」や「秩序」という意味も持っているのです。

その2「depends on」

「~によって決まる」という意味で使いたい場合には、「depends on」と訳すことができます。「depends on」は「~による」「~に左右される」という意味です。「あなた次第です」と言いたい時には「It's up to you.」と言うこともできますよ。

\次のページで「その3「as soon as」」を解説!/

その3「as soon as」

「~したらすぐに」という意味の場合には、「as soon as」と訳すことができます。「as soon as」は「~するとすぐに」「~するやいなや」という意味です。他にも「at the earliest~」「on the first ~ day」と表現することもできますよ。

According to the order of the ceremony, the next step after the greetings is the toast.(式次第によると、挨拶の次は乾杯の予定です。)

It depends on you to make the effort to learn to speak English.(英語を話せるようになるための努力をするかどうかは、あなた次第です。)

I will call you as soon as I arrive at your office.(御社に到着次第、お電話いたします。)

「次第」を使いこなそう

この記事では「次第」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「次第」には、「順序」「ことのなりゆき」「そうなるにいたったわけ」「~による」「~のままに」「~したらすぐに」とたくさんの意味があることがわかりました。よく登場する言葉ですので、それぞれのシーンにおいての意味を理解しながら上手に使いこなせるようになるといいですね。

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国語言葉の意味

「次第」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

その2「顛末」

「顛末」は「てんまつ」と読み、「事の最初から最後までの事情、一部始終」を意味します。物事がそうなるにいたったいきさつそのものが「顛末」ということなのです。「事の顛末を説明する」と言うと、そうなるに至った経過や事情やわけをすべて説明するということになります。「事の次第を説明する」より詳しい説明が求められそうですね。

「次第」の対義語は?

「次第」の対義語、反対の意味になる言葉はこれといってありません。

しかし、意味がある現象がだんだんと変わるときに用いる「次第に」となると、次のような対義語があります。

「一気に」

「一気に」は「いっぺんに物事を行うさま」を表します。「だんだんに、徐々に」とは反対の意味になりますね。

他にも「急に」「一挙に」「一息に」などと言うこともできます。

「次第」の英訳は?

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「次第」の英訳を見てみましょう。

その1「order」

「順序」を意味する「次第」の場合には、「order」と訳すことができます。「order」というと「注文」のことかと思ってしまうかもしれませんが、「順序」や「秩序」という意味も持っているのです。

その2「depends on」

「~によって決まる」という意味で使いたい場合には、「depends on」と訳すことができます。「depends on」は「~による」「~に左右される」という意味です。「あなた次第です」と言いたい時には「It’s up to you.」と言うこともできますよ。

\次のページで「その3「as soon as」」を解説!/

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