この記事では「口火を切る」について解説する。

端的に言えば口火を切るの意味は「一番先に物事を行い、きっかけを作ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「口火を切る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「口火を切る」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「口火を切る」の意味や語源・使い方まとめ

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口火を切る」の読み方は「くちびをきる」です。小説など、文章でも良く使われる慣用句ですから、聞いたことがある人が多いと思いますが、「口火を切る」の口火とは何か知っていますか。それでは早速「口火を切る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「口火を切る」の意味は?

まず初めに「口火を切る」の正確な意味を、辞書からの引用で確かめてみましょう。「口火」には、次のような意味があります。

1.物事を他に先がけて行って、きっかけをつくる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「口火を切る」

2.次々に何かがエスカレートして行われるきっかけになるような事を、他に先がけてする。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「口火を切る」

上記のとおり、「口火を切る」の意味は、何かしらの事が起こり始まることのきっかけを、一番最初に実行する、と言う意味です。どんなことにも使うことができますが、2の引用に「次々に何かがエスカレートして行われるきっかけ」と、あるように、白熱する事や盛り上がる事に用いられることが多いでしょう。例えば議論であったり、対戦などに用いると、きっかけの後で激しく盛り上がっていく様子を表現することができますね。

「口火を切る」の語源は?

次に「口火を切る」の語源を確認しておきましょう。「口火」とは一体なんのことなのでしょうか。また、「切る」とはどんな意味でしょう。

口火」とは、火縄銃の点火に使う火のことです。火縄銃を発砲する手順では、火縄に火を点けますが、この種火のことを「口火」と言いました。そして、「切る」は、昔の火起こしに関連しており、きりもみ式と言う縄文時代の火起こしの「火きり」から由来しています。つまり「口火を切る」は、火縄銃を発砲する際に、火種を点けることですね。そして、点火により、小さな火が大きな力を発揮するきっかけとなることから、先がけて行動しきっかけを作る、と言う意味の慣用句になったのです。

\次のページで「「口火を切る」の使い方・例文」を解説!/

「口火を切る」の使い方・例文

それでは「口火を切る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.ビジネスモデルを構築するための意見交換会議で、私が口火を切った後、おおいに盛り上がった。
2.試合は後半までずっと均衡を保っていたが、後半開始10分でのシュートで、怒涛の攻撃の口火を切った。
3.彼女が集団を率いて反撃したことが、暴動の口火を切る事になってしまった。

例文1のように、真っ先にした発言をきっかけに、議論や争論などが白熱したときなどに「口火を切る」が使えます。ビジネスシーンで使うことができますね。

例文2で挙げたように、「口火を切る」はスポーツの試合など、勝負ごとに良く使われます。この場合もやはり、「口火を切る」ことをきっかけにして、盛り上がっていく様子が表現できるでしょう。

例文3も、良く使われる用い方で、紛争や戦争などの争いが起こるきっかけを「口火を切る」と言います。もともと、火縄銃の導火線に火を点けると言う表現ですから、争いごとには相性が良い慣用句ですね。

「口火を切る」の類義語は?違いは?

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「口火を切る」の類義語には「先陣を切る」「火付け役」などが挙げられます。

「先陣を切る」

先陣を切る」は「せんじんをきる」と読みます。「先陣」とは、本陣の前に配置された先頭の部隊のことです。先陣はどの陣より先がけて戦うことから、「先陣を切る」は、物事を一番先に行う、と言う意味の慣用句として使われるようになりました。「口火を切る」が、一番に行動し物事のきっかけを作ると言う意味ですから、類義語と言えるでしょう。

そして、「先陣を切る」には、他の人より先に勇気を持って何かを行う、と言う意味合いがあり、誉め言葉として使われます。「口火を切る」は、争いのきっかけなど良い行いではない場合にも用いらますから、そこは「先陣を切る」と相違する点だと言えるでしょう。

\次のページで「「口火を切る」の対義語は?」を解説!/

「口火を切る」の対義語は?

「口火を切る」の対義語は「くすぶる」がふさわしいでしょう。

「くすぶる」

くすぶる」にはいくつか意味があります。一般的には、物がよく燃えないで、煙ばかりを出すことを言いますね。そこから転じて、はっきりしない状態で、その段階にとどまったまま低迷していると言う意味でも使われています。そして、戦争や争いごとが今にも起こりそうなのに、表面に出ず、完全に解決しないままで続いていることを表現することもありますね。例えば「不仲がくすぶっている」と言うように使うことができるのです。

「口火を切る」は、争いごとのきっかけを作ること、の意味で用いることができますから「くすぶる」は対義語にふさわしいでしょう。

語源も似ている言葉「火蓋を切る」

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火蓋(ひぶた)を切る」と言う言葉を聞いたことがあるでしょう。「火蓋を切る」と「口火を切る」は、意味も語源も似た言葉です。併せて覚えておきましょう。

「火蓋を切る」

火蓋を切る」は「ひぶたをきる」と読みます。実は、「火蓋」もまた、火縄銃の部品の名前なのです。「火蓋を切る」は火縄銃の火蓋をあけ、点火の用意をする、と言う意味で、「口火を切る」と同じく、火縄銃を発砲する際の手順が由来となりました。「口火を切る」とは少し意味が違っており、「火蓋を切る」は、争いごとが始まる、と言う意味です。例えば、戦争などの争いや、スポーツの試合などで良く使われますね。語源も言葉も似ていますが、少し意味が違いますので、併せて覚えておきましょう。

火蓋を切って落とす」と言う言い方を聞いたことがあるかもしれません。実は、この表現は誤用で、「火蓋を切る」と「幕を切って落とす」とが混同してしまったものだと考えられています。気をつけて下さいね。

「口火を切る」を使いこなそう

この記事では「口火を切る」の意味・使い方・類語などを説明しました。「口火を切る」は、最初に行動し、物事のきっかけを作る、と言う意味です。ビジネス書のタイトルや、いろいろな見出しで用いられていますね。「口火を切る」を使いこなすには、盛り上がっていく、エスカレートしていくきっかけ、と言うのがポイントだと思います。ただ単にきっかけ、と言うより、それをきっかけに物事に火が付くようにエスカレートしていく様子を表現するのに「口火を切る」を使うと良いでしょう。

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【慣用句】「口火を切る」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒現役Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「口火を切る」について解説する。

端的に言えば口火を切るの意味は「一番先に物事を行い、きっかけを作ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「口火を切る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「口火を切る」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「口火を切る」の意味や語源・使い方まとめ

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口火を切る」の読み方は「くちびをきる」です。小説など、文章でも良く使われる慣用句ですから、聞いたことがある人が多いと思いますが、「口火を切る」の口火とは何か知っていますか。それでは早速「口火を切る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「口火を切る」の意味は?

まず初めに「口火を切る」の正確な意味を、辞書からの引用で確かめてみましょう。「口火」には、次のような意味があります。

1.物事を他に先がけて行って、きっかけをつくる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「口火を切る」

2.次々に何かがエスカレートして行われるきっかけになるような事を、他に先がけてする。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「口火を切る」

上記のとおり、「口火を切る」の意味は、何かしらの事が起こり始まることのきっかけを、一番最初に実行する、と言う意味です。どんなことにも使うことができますが、2の引用に「次々に何かがエスカレートして行われるきっかけ」と、あるように、白熱する事や盛り上がる事に用いられることが多いでしょう。例えば議論であったり、対戦などに用いると、きっかけの後で激しく盛り上がっていく様子を表現することができますね。

「口火を切る」の語源は?

次に「口火を切る」の語源を確認しておきましょう。「口火」とは一体なんのことなのでしょうか。また、「切る」とはどんな意味でしょう。

口火」とは、火縄銃の点火に使う火のことです。火縄銃を発砲する手順では、火縄に火を点けますが、この種火のことを「口火」と言いました。そして、「切る」は、昔の火起こしに関連しており、きりもみ式と言う縄文時代の火起こしの「火きり」から由来しています。つまり「口火を切る」は、火縄銃を発砲する際に、火種を点けることですね。そして、点火により、小さな火が大きな力を発揮するきっかけとなることから、先がけて行動しきっかけを作る、と言う意味の慣用句になったのです。

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