その1. 「身の置き所がない」
「身の置き所がない」は、そのものずばり「その場にいられない。いたたまれない」(デジタル大辞泉「身の置き所がない」)の意味です。したがって、先に挙げた例文のひとつは、こう言い換えることができます。
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・今月の営業成績も、販売員10人の中で最下位。先月の打ち上げでついつい「次は3位以内を目指す!」と豪語しただけに、成績発表の場では身の置き所がなかった。
その2. 「穴があったら入りたい」
「穴があったら入りたい」は「身を隠したいくらいに恥ずかしい」(デジタル大辞泉「穴があったら入りたい」)という意味です。「いたたまれない」と意味は同じですが、理由が「恥ずかしさのため」という限定になっています。先の例文の「恥ずかしさのため」のひとつを言い換えてみましょう。
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・寝坊してしまって慌てていたので、Tシャツを裏返しに着て電車に乗っていたらしい。大学の教室に着いて初めて友人に指摘されたときは、身の置き所がなかったな。
その他に「身が縮む思い」「バツが悪い」「きまりが悪い」のような言葉も代わりに使えそうです。
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英語にもある「いたたまれない」
英語で「いたたまれない」はどう表現されるのでしょうか。
研究社『和英中辞典』によると「be unable to stay (on)」とあります。「unable」自体が「〇〇できない」を意味する単語ですから、「その場にいることができない」となりますが、ここには「どうして」が含まれていません。侵入禁止だから「その場にいることができない」でも同じ言い方になるわけですね。
同じ辞書には「I was too ashamed to stay on [stay there any longer].」のような使い方も載っています。「恥ずかしくていたたまれなかった」の意味ですね。
複雑な心境を表す言葉
「いたたまれない」は、何らかの発言や言動によって「悲しい」「悔しい」「恥ずかしい」などの強い感情を覚え、その場にいられないような気持ちになることです。
どのような理由で「いたたまれない」のかは、明瞭な場合もありますが、前後の文脈から推察しなければならないこともあります。複雑な心境を表すことができる用語と言えるでしょう。