語源その1.もともとは「いる」+「たまらない」
国語辞典編集者の神永暁さんによると、「いたたまれない」は「いる」と「たまらない」が結びついた言葉とのことです。
なお、辞書の解説にもあるように「いたたまれない」と「いたたまらない」は同じ意味と考えてよさそうですね。それがなぜなのかについても言及がありました。
語源を考えてみると、「いたたまらない」は「居・堪(たま)らない」、つまり「いることががまんできない」の意味だと考えられる。
(略)
さらに、「たまらない」は「がまんできない」の意であるが、「……できない」の意味の場合、たとえば「止まる」が「止まれない」、「終わる」が「終われない」などと、当時から「……れない」の形となることがあるため、それに引きずられて「いたたまらない」も「いたたまれない」に変化したと考えられている。
引用:JapanKnowledge 神永暁「日本語、どうでしょう〜知れば楽しくなることばのお話」
第348回「いたたまれない」は「いたたまらない」だった
https://japanknowledge.com/articles/blognihongo/entry.html?entryid=366
本来は「いたたまらない」だったのが、「いたたまれない」に変化したということです。「いたたまれない」には、自分では制御できないようなニュアンスがにじむように思えます。
語源その2.「たまらない」は「我慢できない」
「いる」+「たまらない」の「たまらない」は「堪らない」、つまり「我慢できない」の意味です。その場に「いる」ことを「我慢できない」なので、「その場にとどまっていられない」という意味になるのですね。
語源その3.「た」が二つなのはなぜ?
これも神永さんの説明によると、「いる」+「たまらない」=「いたまらない」に、「強調か口調のために」、新たに「た」が挿入され、「いたたまらない」となったそうです。
「いたたまらない」とも言う
先に挙げた三つの辞書「デジタル大辞泉」「実用日本語表現辞典」「精選版 日本国語大辞典」ともに、見出し語には「いたたまれない」と「いたたまらない」の両方があります。繰り返しになりますが、意味はまったく同じですね。
どんな「気持ち」のときに使う?
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「いたたまれない」は、単純にこの場にいられないことだけを示すのではありません。何かの理由によって、この場にいられないような「気持ち」になること、と言ってもいいでしょう。たとえば次の三つの例文のような気持ちが当てはまります。
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