この記事では「閑話休題」について解説する。

端的に言えば閑話休題の意味は「それはさておき」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「閑話休題」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「閑話休題」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「閑話休題」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「閑話休題」の意味は?

「閑話休題」は「かんわきゅうだい」と読み、教師が授業中に本題と違う方向にそれた話を本題に戻すときのほか文章のなかで前後の分をつなぐ接続詞のように使うことが多い熟語です。それでは「閑話休題」の意味を解説しましょう。

横道にそれた話を本筋に戻す、という意を表わす語

出典:新明解国語辞典第七版(三省堂)「閑話休題」

このように「閑話休題」とは講演会などで講師が、つい話が横道にそれてしまった場合に本筋に戻すときに使う便利な言葉です。もともとは文章のなかで多く使われていた言葉ですが、最近は話の最中にも聞かれるようになりました。

「閑話休題」の語源は?

次に「閑話休題」の語源を確認しておきましょう。「閑話休題」の語源は明代の中国で書かれた長編小説『水滸伝(すいこでん)』にあると言われています。水滸伝第十章に「しばらく閑話を把(と)りて休題し、ただし正話(せいわを説(い)わんや」との表現が見つかるでしょう。これを日本語に訳せば「無駄話をやめて本筋を語ろう」となり、「閑話」と「休題」を結合させて「閑話休題」となりました。

\次のページで「「閑話休題」の使い方・例文」を解説!/

「閑話休題」の使い方・例文

「閑話休題」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.今のは閑話休題。本題に戻りましょう。

2.そういえば君はプログラムが書けてアプリケーションソフトもつくれるそうだね。閑話休題。わが社ではこのたび、さらに高性能のワークステーションを導入することにした。

「閑話休題」の意味は限られていますから、いろいろなシーンで頻繁に使われるようなことはありません。「無駄話はこれくらいにして」とか「それはさておき」というほどの意味なので、話題がそれたときに横道にそれるきっかけとなった本人が使う言葉です。他人の話に対して使うことのないよう気をつけましょう。

また最近はこの言葉を知らない人も増えました。さらには文字の見た目から、本題はちょっと休憩して雑談をするときに使う言葉だと勘違いしている人も多いようです。それではまったく反対の意味になってしまいますから注意してください。

「閑話休題」の類義語は?違いは?

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「閑話休題」はさほど頻繁に使われる言葉ではありません。それでは類義語もないのかというと、もっとわかりやすい言葉があります。

その1「それはさておき」

「それはさておき」という言葉は「閑話休題」よりもよほど多く使われる言葉でしょう。なにしろ意味がわかりやすい言葉ですから間違った使い方はまずされません。

会話のほか手紙やハガキなどでもよく使いますが、ビジネス文書としてはちょっとくだけた言い方なので避けたほうが無難です。友人など気心の知れた人に出す近況報告など肩肘張らない手紙なら、この表現をしても問題ありません。

\次のページで「その2「余談はこれくらいにして」」を解説!/

その2「余談はこれくらいにして」

「余談はこれくらいにして」と言えばもう間違えようがなりませんね。「閑話休題」のより直接的表現で、これ以上わかりやすい使い方はないでしょう。

「余談」という文字が表すとおり会話で使うことが多く、手紙などの文書ではほとんど使いません。文書では「ちなみに」とか「蛇足ながら」のほうが適当です。ただこれらの言葉はその内容に関連したことを表そうとしているのですから類義語ではありません。広い意味で後述する対義語のひとつになりますから注意してください。

「閑話休題」の対義語は?

「閑話休題」が横道にそれてしまった話を本来の話題に戻すことですから、逆に話題がそれる場合に使う言葉が対義語になります。対義語としてはっきり定義づけられた言葉はありませんが、話が横道にそれるときに使う言葉は広く対義語に含まれると言ってもいいでしょう。

その1「余談ながら」

「余談ながら」という言葉は、話が本筋からはずれることを宣言するものですから「閑話休題」の対義語と捉えることができます。同じような表現で「余談ですが」とか「余談になりますが」なども「閑話休題」の対義語として使えるでしょう。

その2「ちなみに」

「ちなみに」という言葉は話の本題に関連して使われる言葉です。話のテーマに関係しており、話のついでに言うときや話を補足する場合に使う言葉ですから本筋をはずれているわけではありません。そう考えれば「閑話休題」の対義語と言えます。「ついでに言うと」とか「付け足せば」などのような使い方も話題に関連して使いますね。これらの使い方はひとつの単語として独立しているわけではないので厳密な意味では対義語とは言えませんが「閑話休題」の反対の意味を表す使用法と言えるでしょう。

「閑話休題」の英訳は?

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最後に「閑話休題」の英訳について見ていきましょう。英語で「閑話休題」そのものを指す単語はありませんから、一連の語句のつながりで表します。

「but I digress」

「but I digress」が「閑話休題」に相当する英語です。「digress」は逸脱するという意味ですが「but I digress」と単語をつなげると、「話がそれてしまった」という慣用句になります。話がそれてしまったから本題に戻ろうと言っているのですから「閑話休題」と同じ意味になるのです。もっと短くすれば「それはさておき」とも訳せます。

「but I digress」も「閑話休題」同様、話している本人が主体となって話をもとに戻すときに使う場合、主語は常に「I」になりますから覚えておくといいでしょう。

\次のページで「「閑話休題」を使いこなそう」を解説!/

「閑話休題」を使いこなそう

この記事では「閑話休題」の意味・使い方・類語などを説明しました。現代ではあまり使うことのない表現で、むしろ「それはさておき」とか「余談はこれくらいにして」という言い方のほうがよく使われます。「余談はこれくらいにして」とよく似た表現で「余談ながら」がありますが、これは「閑話休題」とまったく逆の意味です。これらの言葉を間違って使って恥ずかしい思いをすることのないようくれぐれも注意してください。

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国語言葉の意味

「閑話休題」の意味や使い方は?例文や類語を元広報紙編集者わかりやすく解説!

この記事では「閑話休題」について解説する。

端的に言えば閑話休題の意味は「それはさておき」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「閑話休題」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「閑話休題」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「閑話休題」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「閑話休題」の意味は?

「閑話休題」は「かんわきゅうだい」と読み、教師が授業中に本題と違う方向にそれた話を本題に戻すときのほか文章のなかで前後の分をつなぐ接続詞のように使うことが多い熟語です。それでは「閑話休題」の意味を解説しましょう。

横道にそれた話を本筋に戻す、という意を表わす語

出典:新明解国語辞典第七版(三省堂)「閑話休題」

このように「閑話休題」とは講演会などで講師が、つい話が横道にそれてしまった場合に本筋に戻すときに使う便利な言葉です。もともとは文章のなかで多く使われていた言葉ですが、最近は話の最中にも聞かれるようになりました。

「閑話休題」の語源は?

次に「閑話休題」の語源を確認しておきましょう。「閑話休題」の語源は明代の中国で書かれた長編小説『水滸伝(すいこでん)』にあると言われています。水滸伝第十章に「しばらく閑話を把(と)りて休題し、ただし正話(せいわを説(い)わんや」との表現が見つかるでしょう。これを日本語に訳せば「無駄話をやめて本筋を語ろう」となり、「閑話」と「休題」を結合させて「閑話休題」となりました。

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