
端的に言えば虫がいいは「自分勝手」という意味ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「虫がいい」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/柊 雅子
イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。「虫がいいことをいう人にはニッコリ笑って皮肉を言うのが一番!」と言うおばさんライターが「虫がいい」について解説する。
「虫がいい」の意味は?
「虫がいい」には、次のような意味があります。
1.自分の都合ばかり考えて他を顧みない。身がってである。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「虫がいい」
「いくらなんでも、それは虫のよすぎる話でしょう」
「何もしないで分け前だけもらおうなんて、なんて虫がいい奴だ!」
「虫がいい(虫のいい)」は「身勝手な・図々しい」といった意味でよく用いられる慣用句。日常会話でよく耳にしたり、使ったりしますよね。ところでこの「虫がいい」の「虫」とは何でしょう?「カブトムシ?」「イモムシ?」「ダンゴムシ?」
「虫がいい」の「虫」とは私たちの体内に潜んでいる「むし」を指します。「体内に潜んでいるむし」といっても本当に存在している「虫」のことではありません。私たちの体内にあって本能的な行動や感情を引き起こすもの、それが「虫がいい」の「むし」なのです。
「虫がいい」の語源は?
次に「虫がいい」の語源を確認しておきましょう。私たちの体内に潜む「虫」の姿が見えてきますよ。
「虫がいい」は道教の「三尸(さんし)」という考え方に由来します。
道教は中国で自然的に発生した宗教で、日本には平安時代に伝来。「三尸」は「三匹の虫」という意味です。
「人間の中には【上尸(じょうし)・中尸(ちゅうし)・下尸(げし)】という三匹の虫がいて、これらが本能的な行動や感情を引き起こす」という考え方が「三尸」。「三尸」が引き起こす本能的な行動や感情に従うことを「良し」とし、他人のことを考えず身勝手なふるまいをすることを「虫がいい」というようになったのです。
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