この記事では「正念場」について解説する。ぱっと見ただけでは、読み方が分からない人も多いでしょう。これは「しょうねんば」と読む。「せいねんば」ではないので注意しよう。

正念場の意味は、端的に言えば「重要な場面」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

法学部卒でWEBメディアのライターをしている野島を呼んです。一緒に「正念場」の意味や例文、類義語などを見ていきます。

ライター/野島レミ

WEBメディアのライターとして活動しており、要点を絞った分かりやすい解説が得意。楽しみながら、知識が身に付くような情報を発信する。

「正念場」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは「正念場」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?スポーツ実況や、仕事の会話で聞いたという方もいるかもしれません。

「正念場」は意外と耳にする言葉ですが、一方で意味を間違えて覚えている人も少なくないようです。使い方を誤ってしまうことが無いように、「正念場」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「正念場」の意味は?

それでは早速「正念場」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。「正念場」を広辞苑で引くと、このように記載されています。

1.歌舞伎・浄瑠璃で、主人公がその役の性根(ショウネ)を発揮させる最も重要な場面。性念場。性根場(ショウネバ)。
2.転じて、ここぞという大事な場面・局面。

出典:広辞苑 第七版(岩波書店)「正念場」

「正念場」とは簡単に言うと、ここぞという重要な場面という意味です。

もともと歌舞伎や人形浄瑠璃などで、主人公が「自分の持つ力を発揮させる、最も大切な見せ場のこと」を「性根場(しょうねば)」と呼んでいました。この「性根(しょうね)」とは、人間の本質的な性格や気質という意味です。

「正念場」の由来については詳しく後述しますが、この「性根場」が仏教の「正念」という言葉に影響を受けた結果、「正念場」として一般に広がったとされています。

「正念場」の語源は?

次に「正念場」の語源を確認しておきましょう。

正念場の「正念(しょうねん)」はもともと仏教用語です。仏教には悟りに至るまでに行う「八正道(はっしょうどう)」という八つの修行があります。「正念」とはこの八正道の1つです。(ちなみに他の7つは、正見(しょうけん)・正思(しょうし)・正語(しょうご)・正行(しょうぎょう)・正命(しょうみょう)・正精進(しょうしょうじん)・正定(しょうじょう)とあります。)

「正念」は「心を正しく向けること」という意味です。

歌舞伎や浄瑠璃で、演者が役の本質を演じる場面「性根場」を演じるには、「正念」が必要な場面なことから「正念場」と言われ始めました

そこから「正念場」という言葉が一般に広がり、「真価を発揮すべき重要な局面を表す言葉」として使われるようになったそうです。

\次のページで「「正念場」の使い方・例文」を解説!/

「正念場」の使い方・例文

「正念」という言葉が仏教から来ていると知って、驚いた方も多いのではないのでしょうか?私たちが何気なく使っている言葉には、面白い由来を持っていることもあります。普段から言葉の意味を調べるときに、語源も一緒に見ておくと、意味を忘れづらくなるのでおすすめですよ。

それでは、実際に「正念場」を用いた例文を見ながら、使い方を確認しましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.「半年かけて準備した大きなプロジェクトが、ついに正念場を迎える」

2.「明日から共通テストが始まる。まさに人生の正念場だ」

それぞれの例文をチェックしましょう。

【1.「半年かけて準備した大きなプロジェクトが、ついに正念場を迎える」】
この例文のように「正念場」は「正念場を迎える」という表現でよく使われます。「失敗できない、大事な局面である」という意味です。また良い方向に転ぶか、悪い方向に転ぶか、今後の結果に繋がる局面を表します。そのため「正念場を迎える」は、ポジティブ・ネガティブのどちらのニュアンスも表すことが可能です。

【2.「明日から共通テストが始まる。まさに人生の正念場だ」】
人生の正念場」もよく使われる表現です。自分の人生を左右する場面を表すときに使われます。何かを決心したり、覚悟を表現する場面でも用いるフレーズです。

「正念場」の類義語は?

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それでは次に「正念場」の類義語を見ていきましょう。「正念場」の類義語には「山場」「瀬戸際」「大一番」などがあります。それぞれの意味を見ていきましょう。

類義語その1「山場」

「山場(やまば)」とはものごとの絶頂。クライマックス。また最も重要な場面という意味です。

切迫した苦しい状況だけでなく、盛り上がった場面を表すときにも使えます。「山場に差し掛かる」や「山場を乗り切る」という言い回しで使われることが多いです。

\次のページで「類義語その2「瀬戸際」」を解説!/

「その物語の山場で、多くの人が胸を打たれた」

「この山場を乗り越えるまで、油断してはいけない」

類義語その2「瀬戸際」

「瀬戸際(せとぎわ)」とは運命の分かれ目。勝敗や安否、生死の分かれる差し迫った場面という意味になります。運命が左右されるような重大な場面を表す言葉です。

ここで少し横道に反れますが、「瀬戸際」の語源について簡単に説明します。瀬戸際の「瀬戸」は、昔は「狭門」と書いていました。「狭門」とは陸と陸の間に挟まれて、海の幅が狭くなったところ(海峡)を指していたようです。つまり「瀬戸際」とは海峡と海の境目が本来の意味になります。
そこから、物事が分かれる重要な場面を「瀬戸際」とい言うようになったのです。

「今もなお、新型ウイルスの感染拡大の瀬戸際に立っている」

「交通事故に遭い、生きるか死ぬかの瀬戸際を彷徨った」

類義語その3「大一番」

「大一番(おおいちばん)」とは優勝や昇進がかかった大事な勝負という意味です。主に相撲の試合でよく使われる表現になります。

「大一番を前に観客は大熱狂した」

「横綱対決の大一番で、彼は見事勝利した。」

「正念場」の英訳は?

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「正念場」とは英語で何というのでしょうか

\次のページで「「crunch time」」を解説!/

「crunch time」

「正念場」は英語で「crunch time」になります。このほかに「crucial moment」や「the moment of truth」といった表現も可能です。

crunchlは動詞で「かみ砕く」という意味を持っています。「crunch time」は「歯を食いしばって頑張るような時間」というニュアンスを持つ言葉です。

It's crunch time now.
(=今が正念場だ)

「正念場」を使いこなそう

この記事では「正念場」の意味・使い方・類義語などを説明しました

「正念場」を使う上で、押さえておきたいポイントは以下の3つです。

・正念場は「しょうねんば」と読む。
・「正念場」はここぞという重要な場面という意味がある。
・「正念場を迎える」という表現でよく使われる。

ぜひ「正念場」の意味を頭に入れて、語彙力アップに繋げましょう。

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「正念場」の意味や使い方は?例文や類語を法学部卒Webライターがわかりやすく解説!

「正念場」の使い方・例文

「正念」という言葉が仏教から来ていると知って、驚いた方も多いのではないのでしょうか?私たちが何気なく使っている言葉には、面白い由来を持っていることもあります。普段から言葉の意味を調べるときに、語源も一緒に見ておくと、意味を忘れづらくなるのでおすすめですよ。

それでは、実際に「正念場」を用いた例文を見ながら、使い方を確認しましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.「半年かけて準備した大きなプロジェクトが、ついに正念場を迎える」

2.「明日から共通テストが始まる。まさに人生の正念場だ」

それぞれの例文をチェックしましょう。

【1.「半年かけて準備した大きなプロジェクトが、ついに正念場を迎える」】
この例文のように「正念場」は「正念場を迎える」という表現でよく使われます。「失敗できない、大事な局面である」という意味です。また良い方向に転ぶか、悪い方向に転ぶか、今後の結果に繋がる局面を表します。そのため「正念場を迎える」は、ポジティブ・ネガティブのどちらのニュアンスも表すことが可能です。

【2.「明日から共通テストが始まる。まさに人生の正念場だ」】
人生の正念場」もよく使われる表現です。自分の人生を左右する場面を表すときに使われます。何かを決心したり、覚悟を表現する場面でも用いるフレーズです。

「正念場」の類義語は?

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それでは次に「正念場」の類義語を見ていきましょう。「正念場」の類義語には「山場」「瀬戸際」「大一番」などがあります。それぞれの意味を見ていきましょう。

類義語その1「山場」

「山場(やまば)」とはものごとの絶頂。クライマックス。また最も重要な場面という意味です。

切迫した苦しい状況だけでなく、盛り上がった場面を表すときにも使えます。「山場に差し掛かる」や「山場を乗り切る」という言い回しで使われることが多いです。

\次のページで「類義語その2「瀬戸際」」を解説!/

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