この記事では「ご利益」について解説する。
端的に言えば「ご利益」の意味は「神仏の力によって授かる利福」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「ご利益」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「ご利益」の意味や語源・使い方まとめ

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「ご利益」の読み方は「ごりやく」です。それでは早速「ご利益」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ご利益」の意味は?

「ご利益」には、次のような意味があります。

1 神仏が人間に与えるお恵み、幸運。ご利生(りしょう)。霊験。「観音さまのご利益」

2 人や物によって受ける恵み。

出典:コトバンク

「ご利益」は尊敬語で、神仏を信ずることによって受ける恵を敬っていう言葉です。転じて金銭や物質がもたらす幸運を意味するようになりました。また、自らを益するのを功徳といい、他を益するのを利益といいます。

「ご利益」の語源は?

次に「ご利益」の語源を確認しておきましょう。

「ご利益」の「ご」は接頭語です。では「利」と「益」それぞれの漢字の成り立ちについて説明しましょう。まず「利」は、稲をあらわす「禾(のぎへん)」と農具の鋤のかたちの「りっとう」とを合わせた字で、鋤で田や畑を掘り起こす意味を表しますよ。

ここで「利く」と「効く」の違いを解説しますね。「利く」は「目鼻や頭がよくはたらく」場合に使い、「効く」は「薬屋宣伝などのききめがある」場合に使いますよ。そして「益」は水をよこにかいた形の文字と皿とを合わせた字です。皿の上に水があふれるほど多いことから「ます」「ふえる」の意味を表しますよ。

\次のページで「「ご利益」の使い方・例文」を解説!/

「ご利益」の使い方・例文

「ご利益」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.お稲荷様へお菓子をお供えして一心にその御利益を念じている子供の姿を見かけた。

2.奇跡が起こった。神様もしくは仏様のご利益があったのではないかと驚いている。

3.神社のお賽銭箱周辺のゴミ拾いをしても物質的には何のご利益もないのだが、気持ちが軽くなる。

「ご利益」は丁寧語のうちの美化語です。丁寧語というのは物の言い方を丁寧にしたもの。「よいお天気ですね」や「お茶が入りましたよ」の「です」「ます」の部分は、相手に直接敬意を表すのに用いられたものであり丁寧語を意味します。そして美化語というのは「天気」や「茶」を上品に美しく言うのに用いられた事物についての表現。覚えておきましょう。

「ご利益」の類義語は?違いは?

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「ご利益」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「お返し」

「お返し」は「おかえし」と読みます。人から恩恵をこうむったとき、それに対する返礼として恩恵を与えるという意味。特に物をもらった場合に返礼の贈り物をすることもありますよ。また、返礼する先を高めて返礼を行う者を相対的に低める謙譲表現としての用法が普通で「お返しする」の形でも用います。「ご利益」との違いは、「お返し」は恩恵ではなく被害を被って仕返しをする場合にも使われる言葉だという点です。

\次のページで「その2「御恩」」を解説!/

その2「御恩」

「御恩」は「ごおん」と読み、敬うべき人から受ける恩という意味。「この御恩は一生忘れません」などと使います。大きな恩を受けた時に限らずささやかな恩を受けた時にあえて使うのもおすすめです。相手の対応のすばらしさに驚き感動したような口調で感謝の言葉を伝えると次も期待以上の対応をしてくれる可能性が高いでしょう。「ご利益」との違いは、「御恩」は信仰や金銭・物質がもたらす幸運ではないという点です。

その3「賜物」

「賜物」は「たまもの」と読み、髪や敬うべき人からいただいたもの、またある行為などから生まれた良い結果を意味します。敬うべき人から物などをもらう意の「賜る」には「…してもらう」意を表す謙譲語の用法と、敬うべき人が物などをくれる意と、「…てくれる」意を表す尊敬語の用法とがあります。謙譲語の用法は鎌倉時代から行われましたが、尊敬語の用法は鎌倉時代から行われるようになりました。「ご利益」との違いは、「賜物」はある行為や行動などから生まれた良い結果の意味合いが強いという点です。

「ご利益」の対義語は?

「ご利益」と反対の意味を持つ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「進呈」

「進呈」は差し上げる意味。また「進」にも「呈」にも「さしあげる」意があります。「進呈」は送る先を高めて贈り手を相対的に低めていう謙譲語。今日では商業上の用語などで使われるのが主な用法となっており、私的な用語にはむしろ同輩以下に対して「あげる」というのと同じくらいの敬度で使われることが多いですよ。つまり、敬度はそれほど高くなく、逆に明らかな目上に対しては使いにくい感があるということです。

その2「献上」

「献上」はさしあげる意の漢語的表現です。「献」にはたてまつる意味があり「上」は目上に対する動作に添える言葉。そのため「献上」で目下から目上につつしんで物をさしあげる意味があります。また「献上」は贈る先を高めて贈り手を低めていう謙譲語ですよ。「献ずる」とほぼ同義ですが、「献上」の方が一層敬意が高いため、主君や貴人などに贈る場合に用いられます。なお、極めて改まった手紙や自分側から相手方へ何かを差し上げる意の謙譲語として使われることが多いですよ。

「ご利益」の英訳は?

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「ご利益」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「ご利益」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「その1「grace」」を解説!/

その1「grace」

「grace」は「恩寵、神の愛、美徳」という意味。「by the grace of …」で「…のご利益によって」、「We were saved by the grace of God」で「神の恵みによって我々は救われた」となります。その他にも「恩寵、神の愛」に関連したものに「benefit」「efficacy」「divine favour」「blessing」などが類語として挙げられますよ。

「ご利益」を使いこなそう

この記事では「ご利益」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「ご利益」は丁寧語のうちの美化語だと説明しました。日常的に使われる美化語には「ご飯」が挙げられます。「ご飯」は「めし」の美化語ですよ。炊いた米のことだけを特に指す場合と、広く食事のことを指す場合とがあります。女性は炊いた米のことを「めし」とはまず言いませんよね。男性でも「ご飯」という言葉を使う人がほとんどでしょう。

しかし、ライフスタイルは人それぞれなため一部の男性には「ご飯」は女性語的だという意識があり「めし」と言っている人も見受けられますね。なお「ご飯粒」も「めしつぶ」を美化していう美化語「ご飯時」も「めしどき」を美化していう美化語です。

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国語言葉の意味

「御利益」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

その1「grace」

「grace」は「恩寵、神の愛、美徳」という意味。「by the grace of …」で「…のご利益によって」、「We were saved by the grace of God」で「神の恵みによって我々は救われた」となります。その他にも「恩寵、神の愛」に関連したものに「benefit」「efficacy」「divine favour」「blessing」などが類語として挙げられますよ。

「ご利益」を使いこなそう

この記事では「ご利益」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「ご利益」は丁寧語のうちの美化語だと説明しました。日常的に使われる美化語には「ご飯」が挙げられます。「ご飯」は「めし」の美化語ですよ。炊いた米のことだけを特に指す場合と、広く食事のことを指す場合とがあります。女性は炊いた米のことを「めし」とはまず言いませんよね。男性でも「ご飯」という言葉を使う人がほとんどでしょう。

しかし、ライフスタイルは人それぞれなため一部の男性には「ご飯」は女性語的だという意識があり「めし」と言っている人も見受けられますね。なお「ご飯粒」も「めしつぶ」を美化していう美化語「ご飯時」も「めしどき」を美化していう美化語です。

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