その2「御恩」
「御恩」は「ごおん」と読み、敬うべき人から受ける恩という意味。「この御恩は一生忘れません」などと使います。大きな恩を受けた時に限らずささやかな恩を受けた時にあえて使うのもおすすめです。相手の対応のすばらしさに驚き感動したような口調で感謝の言葉を伝えると次も期待以上の対応をしてくれる可能性が高いでしょう。「ご利益」との違いは、「御恩」は信仰や金銭・物質がもたらす幸運ではないという点です。
その3「賜物」
「賜物」は「たまもの」と読み、髪や敬うべき人からいただいたもの、またある行為などから生まれた良い結果を意味します。敬うべき人から物などをもらう意の「賜る」には「…してもらう」意を表す謙譲語の用法と、敬うべき人が物などをくれる意と、「…てくれる」意を表す尊敬語の用法とがあります。謙譲語の用法は鎌倉時代から行われましたが、尊敬語の用法は鎌倉時代から行われるようになりました。「ご利益」との違いは、「賜物」はある行為や行動などから生まれた良い結果の意味合いが強いという点です。
「ご利益」の対義語は?
「ご利益」と反対の意味を持つ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。
その1「進呈」
「進呈」は差し上げる意味。また「進」にも「呈」にも「さしあげる」意があります。「進呈」は送る先を高めて贈り手を相対的に低めていう謙譲語。今日では商業上の用語などで使われるのが主な用法となっており、私的な用語にはむしろ同輩以下に対して「あげる」というのと同じくらいの敬度で使われることが多いですよ。つまり、敬度はそれほど高くなく、逆に明らかな目上に対しては使いにくい感があるということです。
その2「献上」
「献上」はさしあげる意の漢語的表現です。「献」にはたてまつる意味があり「上」は目上に対する動作に添える言葉。そのため「献上」で目下から目上につつしんで物をさしあげる意味があります。また「献上」は贈る先を高めて贈り手を低めていう謙譲語ですよ。「献ずる」とほぼ同義ですが、「献上」の方が一層敬意が高いため、主君や貴人などに贈る場合に用いられます。なお、極めて改まった手紙や自分側から相手方へ何かを差し上げる意の謙譲語として使われることが多いですよ。
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