ドイツヨーロッパの歴史世界史

「ゲーテ」は何した人?人間について探求したドイツの名詩人について元大学教員が5分で解説

よぉ、桜木建二だ。ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテはドイツで活躍した詩人。劇作家、小説家、自然科学者という顔も持っている。若きウェルテルの悩みやファウストという作品の名前を聞いたことがある人も多いだろう。文学史を代表する詩人であると同時に恋多き男でもあった。

ゲーテという名前は知っているものの、実際にどんな作品を書いたのか、どんな人物だったのか知っている人は少ない。そんなゲーテの人生や作品の特徴彼に関連する逸話について世界史に詳しいライターひこすけと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

hikosuke

ライター/ひこすけ

アメリカの歴史や文化を専門とする元大学教員。ゲーテは文学史を学ぶと必ず登場する有名人。しかし実は彼のことをほとんど知らないことに気が付く。そこで、ゲーテの人物像や作品の内容について調べてみた。

1.ゲーテとはどんな人物?

Johann Heinrich Wilhelm Tischbein - Goethe in der roemischen Campagna.jpg
ヨハン・ハインリヒ・ヴィルヘルム・ティシュバイン – Neu abphotographiert im Städel-Museum Frankfurt von Martin Kraft, vorher: The Yorck Project (2002年) 10.000 Meisterwerke der Malerei (DVD-ROM), distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH. ISBN: 3936122202., パブリック・ドメイン, リンクによる

ゲーテの正式な名前はヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ。18世紀のなかごろ、ドイツのフランクフルトにて生れました。小説、戯曲、詩集、叙事詩、多くの格言や名言を世に出したことでも知られています。読書家でなくてもゲーテの名前は世界中の人が知っているでしょう。まさに地球規模で知られている文豪。そして、政治家、法律家、自然学者、物理科学者でなど、並外れたマルチな天才でもありました。

1-1ゲーテが生きた時代について

ゲーテの生きていた18から19世紀にかけては世界的な大変動が起こった時代。社会の構造そのものが大きく変化し、フランスでは王政が崩壊したました。この動乱期なくして現在の民主主義は生れなかったと言われる重要な時期です。ゲーテはこの動乱の世界を体験し、数々の作品に活かしてきました。

イギリスでは産業革命が起こり、労働者階級が出現。市民こそ社会の中心という考えが生まれました。新大陸アメリカでは独立戦争が起こりアメリカは独立。ヨーロッパではフランス革命が起こり、王妃マリー・アントワネットは処刑されました。43歳のゲーテはフランス軍とプロシャ軍の闘いにプロシャ側に付いて従軍。この戦いを目撃し「ここから、そしてこの日から新たな時代が始まる」と発表。その考えが多数の人々に支持されました。

1-2ゲーテとふたりの大天才

ゲーテに影響を与えた同時代の天才は数多くいます。そのひとりがフランス皇帝ナポレオン。ナポレオンはゲーテの小説『若きウェルテルの悩み』を戦地にまで携え7回読んだとも言われています。ゲーテの作品の愛読者だったナポレオンは、1808年にゲーテと対面したとき感極まって「ここに人あり」と叫び、その後ゲーテに勲章を与えました。

ゲーテより20歳年下の天才作曲家ベートーヴェンが崇拝していたのもゲーテ。そしてゲーテもベートーヴェンの才能に衝撃を受けました。交響曲の運命を聴いたとき「こんな演奏では建物が壊れる」と叫んだという話もあるほど。ベートーヴェンはゲーテのあまりに宮廷風のふるまいに嫌気を覚え、ゲーテはベートーヴェンの難聴に同情しながらも彼の尊大なふるまいを嫌っていました。二人は互いをリスペクトしながらも、あまりに気質や思想が違っていたため距離が生れました。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

社会が激動の時代にあったからこそ、ゲーテ、ベートーベン、ナポレオンのような天才が生れたとも言える。教科書で名前を聞くだけの存在である3人が対面し、影響を受けあっていたと考えると不思議な気分になる。その瞬間を遠くからでもいいから、目撃してみたかったな。

2.ゲーテはどのような作品を生み出したの?

Donat Werther et Lotte.jpg
Von Johann Daniel Donat (1744-1830) – Hans Wahl, Anton Kippenberg: Goethe und seine Welt. Insel-Verlag, Leipzig 1932, S.35, Gemeinfrei, Link

ゲーテの作品はあまりに多くのジャンルにわたっているので簡単に紹介することは困難。共通していることは、どの作品も女性との恋から生まれ、恋の体験が執筆の動機になっていること。数えきれないほどの恋愛、失恋なしに彼の作品は生まれなかったのです。身分違いと世間にバッシングされた恋、人妻との恋もあります。

2-1生涯仕事を生きがいとしたゲーテ

初期の代表的作品のひとつが小説『若きウェルテルの悩み』。ゲーテが25歳のことに書いた作品です。ゲーテの名を不滅にするとともに、ナポレオンの愛読書でした。叙事詩である『ヘルマンとドローテア』はゲーテが20代の時に書いた詩劇。このころ『ファウスト』執筆に取りかかります。『ウィルヘルム・マイスターの修業時代』を発表。26歳でワイマール公国の閣僚、33.歳で宰相になりって政治に没頭します。その後大学で法律を学び弁護士になりました。

政治家をリタイアすると文学に没頭。37歳で『イタリア紀行』を発表し、文学者として再び脚光を浴びます。41歳で解剖学、植物学、光学を学び、『色彩論』『植物変態論』など出版。20代から書き続けていたライフワーク『ファウスト』1部と2部を死の直前で完成させました。ゲーテはまさに仕事人。82歳まで文を書く仕事をしていたのです。

次のページを読む
1 2 3 4
Share:
hikosuke