その2「鼯鼠五技」
2つ目は「鼯鼠五技」、難しい漢字が並びましたが読み方は「ごそごぎ」です。さまざまな技能を持っているが、突出して秀でている者が特にないさまを表します。
「鼯鼠(ごそ)」はムササビ。ムササビは「木登り」「空中滑空」「穴掘り」「泳ぎ」「走る」と多くのことができますが、 「猿、鳥、モグラ、魚、人間」といったそれぞれの技能を専門とする動物にはかないません。このことから、どんなに多くの技能を持っていてもスバ抜けて優れたものは1つもない、という意味になります。面白い表現ですね。
「器用貧乏」の対義語は?
次に「器用貧乏」と反対の意味を持つ言葉を見てみます。「何でもできるけれど、秀でた点がない」という意味の「器用貧乏」には、反対言葉はあるのでしょうか。
その1「一芸に秀でる」
「なんでもできるが、突出したものがない」の反対の意味をかんがえると「一つのことしかできないが、それが大変優れている」となりますね。この意味を表すことわざが「一芸に秀でる」です。文字通り、一つの芸事に非常に精通し極めた人に対して使われます。何でも器用にこなせるわけではないけれど、ひとつでも秀でていることがあるというのは素晴らしいこと。褒め言葉としても使える表現です。
その2「オールラウンダー」
「オールラウンダー」は野球などのスポーツの世界でよく使われますね。あるいはビジネスシーンでも登場する言葉です。
「多領域に有能な人、万能選手」という意味を表します。どんなことをやらせても何でも優れている、よくできるさまを指すため、褒め表現になる言葉です。「器用貧乏」は「何をやっても大成しない」という意味でしたら、「何をやってもよくできる」という意味の「オールラウンダー」は反対表現になるといえます。
その3「八面六臂」
「八面六臂」は「はちめんろっぴ」と読みます。元々は仏教で「仏像などが八つの顔と六つの腕をもつこと」を指す言葉でしたが、転じてあらゆる方面にめざましい働きを示すことを指すようになりました。「器用貧乏」はいろいろできるけれど、秀でたものはないという意味ですが「八面六臂」は多方面で活躍してくれる、何人分もの役に立ってくれるのでとても助かるという意味になります。
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