この記事では「英気を養う」について解説する。

端的に言えば英気を養うの意味は「気力を蓄えること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「英気を養う」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在はアメリカで子育て中につきさらに日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「英気を養う」の意味や語源・使い方まとめ

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「英気を養う」は「えいきをやしなう」と読みます。「英気を養う」なのか「鋭気を養う」なのか迷ってしまったことはありませんか?正解は「英気」です。どんな違いがあるのでしょうか。それでは早速「英気を養う」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「英気を養う」の意味は?

「英気を養う」には、次のような意味があります。

何事かに取り組むための活力を蓄えること。元気付けること。休養や美食などを勧める際などに言うことが多い。

出典:実用日本語表現辞典「英気を養う」

「英気を養う」の「英気」とは「いきいきと働こうとする気力、元気」のことです。また「すぐれた気性、才気」のことも指します。「養う」は「育て蓄える、力や習慣をしだいにつくり上げる」という意味です。つまり、「英気を養う」とは「いきいきと働こうとする気力を蓄えること、元気をつくり上げること」を意味しています。

一方「鋭気」は「鋭い気性、気勢。」という意味の言葉です。「英気」はその人自身にある気力のことであるのに対し、「鋭気」は目標に対する強い意気込みのことを指します。その日の状態によって大きく変動してしまう気力は、十分な休養をとって蓄え、養うことができるので「英気を養う」となるのです。しかし意気込みは休養をとったり食事をとったりしたところでなかなか回復するものではありません。ですので、「鋭気を養う」という使い方は本来は間違いということになります。ただし、「やる気やモチベーションを上げる」という意味で使われる場合もあることも覚えておきましょう。

「英気」と「鋭気」の違いを端的に言うと「元気」と「やる気」なのです。

「英気を養う」の使い方・例文

「英気を養う」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「英気を養う」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.明日に備えて、今夜はたっぷり睡眠をとって英気を養いたい。
2.あなたは疲労がたまっているようですから、来週は旅行にでも行って十分な休息をとり、英気を養ってまた仕事に戻ってきてください。
3.会社の忘年会で「今日は来年に向けてたっぷりと英気を養うべく大いに楽しみましょう」と乾杯の挨拶をした。

日常生活の中でストレスや疲れがたまるとどんどん元気が失われてしまいます。そうなってしまったら、いきいきと活動するための気力を保つことは難しくなってしまうでしょう。何事かに取り組む活力を回復させるために、食事をとったり休養をとったり、気分をリフレッシュさせて気力を蓄える必要がありますね。そんな時「英気を養う」という言葉を使うのです。

例文1のように自分に対しても使えますし、例文2や3のように相手に呼びかけるために使うこともできます。

「英気を養う」の類義語は?違いは?

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それでは、「英気を養う」の類義語を見てみましょう。

その1「休養する」

休養」は「仕事などを休んで、気力や体力を養うこと」という意味の言葉です。元気や活力を回復させて蓄える意味の「英気を養う」に比べて、「休養」で回復させるのは主に「体力」。おいしいものを食べたり、気分をリフレッシュさせて活力を取り戻すことよりも、仕事などの日常生活をいったん休んで疲れた体を元に戻すという意味合いが強くなります。

その2「充電する」

充電」というと、携帯電話などの電化製品に電力を蓄える「電気エネルギーを蓄えること」という意味の方がなじみがあるかもしれませんね。しかし「人が次に行う物事に備えて、活力を蓄えること」という意味も持っています。人が休むことで活力や気力を蓄えるという場合にも使えるのです。この場合、「英気を養う」とほぼ同じように使うことができますよ。

\次のページで「その3「静養する」」を解説!/

その3「静養する」

静養」は「心身を静かに休めて健康の回復をはかること」という意味です。病気の人が健康を回復させることを目的として心と体を静かに休ませることを意味します。「英気を養う」と同じように心身を休めて力を蓄えることを指しますが、少しだけ意味合いが違っていますね。

「英気を養う」の対義語は?

「英気を養う」と反対の意味を持つ言葉にはどんものがあるでしょうか。

その1「精気を奪う」

「精気」とは「人の生命を活動させるもとになる力」のことです。つまりは元気や精力のこと。つまり「精気を奪う」というのは「元気を奪う」という意味になることから、「英気を養う」とは反対の意味を持つことがわかります。

その2「気力をくじく」

「気力をくじく」とは「意気ごみを失わせる。 意気消沈させる」という意味です。「気力」とは「何かを行おうとする精神力。気持ちの張り」のことを指しますから、いきいきと何かを行おうとする気持ちを折ってしまうことを言います。

「英気を養う」の英訳は?

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「英気を養う」の英訳を見てみましょう。

「restore one's energy」

「英気を養う」は英語で「restore one's energy」と表現することができます。「restore」は「元の状態に戻す」という意味があり、人に元気を取り戻させる時にも使われる言葉です。「energy」はご存知の通り「エネルギー」。活力や元気のことですから、「restore one's energy」で「元気を取り戻す」つまり「英気を養う」という意味になることがわかりますね。

他にも、「build up one's energy」「nourish one's spirits」「recharge one's batteries」などと表現することもできます。

\次のページで「「英気を養う」を使いこなそう」を解説!/

I took a hot spring bath to restore my energy.(温泉に入って英気を養いました。)

Looking at beautiful works of art can nourish one's spirits.(美しい作品を見ることで英気を養うことができます。)

Reading that novel helped me recharge my batteries.(その小説を読んで英気を養うことができました。)

「英気を養う」を使いこなそう

この記事では「英気を養う」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「英気を養う」とは「いきいきと働こうとする気力を蓄えること、元気をつくり上げること」という意味でしたね。日常生活でもビジネスシーンでも使える言葉です。休養をとったり気分転換をしたりなどして、体力も気力も回復させることを表すときに使ってみましょう。「鋭気を養う」は間違いではありませんが、意味が違っていることにも注意が必要です。

みなさんも英気を養うことができますように。

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国語言葉の意味

「英気を養う」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「英気を養う」について解説する。

端的に言えば英気を養うの意味は「気力を蓄えること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「英気を養う」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在はアメリカで子育て中につきさらに日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「英気を養う」の意味や語源・使い方まとめ

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「英気を養う」は「えいきをやしなう」と読みます。「英気を養う」なのか「鋭気を養う」なのか迷ってしまったことはありませんか?正解は「英気」です。どんな違いがあるのでしょうか。それでは早速「英気を養う」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「英気を養う」の意味は?

「英気を養う」には、次のような意味があります。

何事かに取り組むための活力を蓄えること。元気付けること。休養や美食などを勧める際などに言うことが多い。

出典:実用日本語表現辞典「英気を養う」

「英気を養う」の「英気」とは「いきいきと働こうとする気力、元気」のことです。また「すぐれた気性、才気」のことも指します。「養う」は「育て蓄える、力や習慣をしだいにつくり上げる」という意味です。つまり、「英気を養う」とは「いきいきと働こうとする気力を蓄えること、元気をつくり上げること」を意味しています。

一方「鋭気」は「鋭い気性、気勢。」という意味の言葉です。「英気」はその人自身にある気力のことであるのに対し、「鋭気」は目標に対する強い意気込みのことを指します。その日の状態によって大きく変動してしまう気力は、十分な休養をとって蓄え、養うことができるので「英気を養う」となるのです。しかし意気込みは休養をとったり食事をとったりしたところでなかなか回復するものではありません。ですので、「鋭気を養う」という使い方は本来は間違いということになります。ただし、「やる気やモチベーションを上げる」という意味で使われる場合もあることも覚えておきましょう。

「英気」と「鋭気」の違いを端的に言うと「元気」と「やる気」なのです。

「英気を養う」の使い方・例文

「英気を養う」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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