1.癌の治療に役立つ、アクチノイドAc
1899年にフランスの化学者によって発見された放射性元素の一種、アクチノイド。銀白色の金属であり、ギリシャ語の放射線(aktis)にちなんで名づけられました。ちなみに発見者のアンドレ=ルイ・ドビエルヌはあの有名な学者夫婦、キュリー夫妻と親交があったそうです。
アクチニウムの出すアルファ線が癌細胞を破壊するとして、難治性すい臓がんの研究に用いられています。
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2.神話にちなんだ名前、トリウムTh
スウェーデンの化学者がトール石から発見した天然放射性元素であるトリウム。トリウム、トール石という名前は北欧神話の雷神トールにちなんで付けられました。すべての同位体が放射性となっています。
トリウムは比較的豊富に存在する元素です。そのため核燃料として活用されている他、ガス灯や光電管、放電管、熱陰極材料、合金材料としても活用されています。
3.変わった名前のプロトアクチニウムPa
プロトアクチニウムは元素周期表を生み出したメンデレーエフが1871年に存在を予言し、1917年に発見されました。なぜこのような長く変わった名前を付けられたのかと言うと、プロトアクチニウムが崩壊するとアクチニウムになるからです。
プロトアクチニウムはウラン鉱に微量存在しています。毒性があり、希少なことからあまり活用されていない元素です。研究以外の活用としては海底沈積層の年代測定があげられます。
4.もっとも有名なアクチノイド、ウランU
もっとも有名なアクチノイド、といえばウランでしょう。地球上に天然で大量に存在する原子のうち、最も原子量が大きいのがこのウランです。地殻や海水中に存在し、その多くがオーストラリアに埋蔵されています。1789年に発見され、その数年前に発見された天王星(Uranus)にちなんでウランと名付けられました。
ウランには核分裂しやすいウラン235(0.7%)と核分裂しづらいウラン238(99.3%)があります。235、237とは質量数のことです。
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ウラン235の原子の中心にある原子核に、中性子があたると、原子核がふたつに分裂します。この時に熱エネルギーと中性子が発生するのです。この中性子が別のウラン235を、さらにそのウラン235から発生した中性子が、別のウラン235を核分裂させる、というように核分裂の連鎖反応が起こります。
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5.プルトニウムの製造に使用、ネプツニウムNp
海王星のNeptuneが由来のネプツニウムは1940年に発見されました。ネプツニウム以降の元素は人工的に合成されたもので、超ウラン元素と呼ばれています。
ネプツニウムは銀のような外見で、他の元素と化学反応を起こしやすい元素です。ウラン鉱からわずかに採取することができます。
6.核兵器にもなる、プルトニウムPu
ウラン同様に有名なアクチノイドと言えばプルトニウムです。プルトニウムといえば原子力発電の燃料を思い浮かべる人が多いでしょう。ウラン、ネプツニウムに続く惑星(準惑星)が名前の由来となった元素で、冥王星(Pluto)が由来となっています。
以前プルトニウムは人工的に作らなければ得られないと考えられていました。しかし実際にはウラン鉱石からもわずかながら採ることができます。他の多くのアクチノイドと同様に銀白色の金属です。
プルトニウムは原子力発電の燃料であるウランが燃焼した際に生成されます。核分裂を起こしやすいことから、核兵器にも使われている元素です。
核分裂についてはこちらを参考にしてください。
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7.大陸が名前の由来、アメリシウムAm
プルトニウムに中性子を照射して作られた人工放射性元素、アメリシウム。この名前は周期表でユウロピウムの下に来ることから名づけられました。1944年にカリフォルニア大学バークレー校のシーボーグが単離に成功した元素です。煙探知機やガスクロマトグラフィーの検知器に使われています。
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