この記事では「天真爛漫」について解説する。

端的に言えば天真爛漫の意味は「明るく純真で無邪気なこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「天真爛漫」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「天真爛漫」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「天真爛漫」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「天真爛漫」の意味は?

「天真爛漫」には、次のような意味があります。

 

〔子供などが〕むじゃきな(で、憎めない)様子。

出典:新明解国語辞典第七版(三省堂)「天真爛漫」

自然のままの心を飾らず、そのままことばや行動に表すこと。また、自然のままがありありと表れるさま。

出典:上級漢和辞典漢字源改訂第六版(Gakken)「天真爛漫」

 

「天真爛漫」という言葉を聞くと、まず無邪気な子供を連想しますね。子供は思ったことをそのまま言葉にしたり、すぐに行動に移したりすることが多いですから、そのようなときに「天真爛漫」と表現するとぴったりです。

ただ「無知」の婉曲な表現として使われることもあります。ですから社会人のあなたが誰かに「天真爛漫だね」と言われても素直に褒め言葉とは受け取らないほうがいいでしょう。

 

 

「天真爛漫」の語源は?

次に「天真爛漫」の語源を確認しておきましょう。まず「天真」は「天から与えられた純粋な性質、また自然のままで飾り気のないこと」を意味します。「爛漫」は「花が美しく咲き乱れて、ぱっと明るい様子」を表す言葉です。つまり天から与えられた飾り気のない明るい様子と言えます。この2つの言葉が結合して「天真爛漫」という四字熟語になりました。

「天真爛漫」という言葉は、古代中国の元末の1366年に陶宗儀が書いた随筆『輟耕録』(てっこうろく)が初出のようです。ある絵を見た宗儀が「天真爛漫」と称賛したことから、この言葉が使われるようになったと言われています。

 

\次のページで「「天真爛漫」の使い方・例文」を解説!/

「天真爛漫」の使い方・例文

「天真爛漫」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.子供たちの天真爛漫な行動に思わず笑顔になる。

2.職場での彼女の天真爛漫な行動には時々ひやひやさせられる。

3.天真爛漫に遊ぶ動物たちを見て心を癒やされる。

「天真爛漫」という言葉は子供だけに使われるわけではありません。動物や成人にも使う表現です。しかし成人に対して使われる場合は往々にしてネガティブな意味であることがありますから、素直に喜ぶのはやめておいたほうがいいでしょう。とはいうものの率直な褒め言葉である場合も多いので普段の自分の言動を顧みて判断することをお勧めします。

「天真爛漫」の類義語は?違いは?

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「天真爛漫」はよく使う言葉ですね。それだけに意味の似た言葉もたくさんあります。ここでは代表的な類義語を紹介しましょう。

その1「無邪気」

性質や気持などに不純なところがなく、素直であどけなくかわいいことが「無邪気」の意味です。ですからほとんど「天真爛漫」と同じ意味ですが、子供に対して使われることが多い言葉でもあります。

成人に向かって使うと、子供っぽいと思われているととられかねませんから差し控えたほうがいいでしょう。なお動物に対してはほとんど使うことはありません。

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その2「純真」

「天真爛漫」に意味が似た言葉として「純真」も候補に挙げてもいいでしょう。「純真」とは心に汚れがなく、邪念や私利私欲がないことです。ですから成人に対して使ってもおかしくはありません。思春期に男性が女性に抱く淡い恋心は純真なものでしょうからね。このように「純真」は、見た目よりむしろ多分に精神性に重きを置いた言葉だと言えます。

「天真爛漫」の対義語は?

「天真爛漫」の対義語を見ていきましょう。「天真爛漫」が明るくて朗らかな印象をあたえる言葉ですから、対義語はおのずと暗く陰湿なイメージを持つ言葉になります。

その1「奸佞」

「奸佞(かんねい)」とは心の底まで悪で染まっていることです。「奸」には「よこしまな」という意味があり、「佞」は口先うまく人におもねることを言います。ですからよこしまな思いを持って権力者に近づき、おもねる場合に使う言葉です。でも、こんなむずかしい言葉はまず使う機会はないでしょう。

またよく似た言葉に「奸佞邪智」があります。これは「奸佞」に悪知恵を意味する「邪智」がつきますから、さらに否定的な言葉です。

その2「老獪」

「老獪(ろうかい)」は、長年の経験で悪い方面に知恵がよく回ることです。言い換えれば悪賢いとも言えます。自然のままの素朴な心や無邪気とは正反対の言葉で、人生経験の少ない子供にはまず使いません。子供に使うなら「ずる賢い」が適当でしょう。いずれにしてもあまりいい言葉ではありません。

「天真爛漫」の英訳は?

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最後に「天真爛漫」の英訳を見ていきましょう。

その1「innocent」

innocent」が「天真爛漫」に似た英単語です。「innocent」には無邪気な」とか「純真な」という意味があります。また法律用語では「無実」を指すときに使うこともありますから知っておきたいものです。「天真爛漫」が意味する言葉が、英語では「無実」を意味する場合があることはおもしろいですね。

注意しなければならないのは「天真爛漫」と同じく「無知」「世間知らず」を指す表現としても使われますからよく考えて使うようにしましょう。

\次のページで「その2「artlessness」」を解説!/

1.After all children are innocent and cute.
「やっぱり子供は天真爛漫でかわいいね」

2.The trial proved that he was innocent.
「彼が無実であることが裁判で証明された」

その2「artlessness」

「artlessness」は「artless」という形容詞の名詞への変化形です。意味は「天真爛漫」「無邪気」ですから、ほぼ「innocent」と同じようなかたちで使えます。こちらには「無知」とか「世間知らず」といった悪い意味での使い方はないようです。

「天真爛漫」を使いこなそう

この記事では「天真爛漫」の意味・使い方・類語などを説明しました。明朗快活な意味で用いられることが多い言葉ですが、会社の取引先や上司に向かっては、誤解を招きやすい言葉ですから軽はずみに使わないほうがいいでしょう。そのような場合は「度量が大きい」という便利な言葉がありますから、そちらに言い換えたほうが無難です。

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「天真爛漫」の意味や使い方は?例文や類語を元広報紙編集者がわかりやすく解説!

この記事では「天真爛漫」について解説する。

端的に言えば天真爛漫の意味は「明るく純真で無邪気なこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「天真爛漫」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「天真爛漫」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「天真爛漫」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「天真爛漫」の意味は?

「天真爛漫」には、次のような意味があります。

 

〔子供などが〕むじゃきな(で、憎めない)様子。

出典:新明解国語辞典第七版(三省堂)「天真爛漫」

自然のままの心を飾らず、そのままことばや行動に表すこと。また、自然のままがありありと表れるさま。

出典:上級漢和辞典漢字源改訂第六版(Gakken)「天真爛漫」

 

「天真爛漫」という言葉を聞くと、まず無邪気な子供を連想しますね。子供は思ったことをそのまま言葉にしたり、すぐに行動に移したりすることが多いですから、そのようなときに「天真爛漫」と表現するとぴったりです。

ただ「無知」の婉曲な表現として使われることもあります。ですから社会人のあなたが誰かに「天真爛漫だね」と言われても素直に褒め言葉とは受け取らないほうがいいでしょう。

 

 

「天真爛漫」の語源は?

次に「天真爛漫」の語源を確認しておきましょう。まず「天真」は「天から与えられた純粋な性質、また自然のままで飾り気のないこと」を意味します。「爛漫」は「花が美しく咲き乱れて、ぱっと明るい様子」を表す言葉です。つまり天から与えられた飾り気のない明るい様子と言えます。この2つの言葉が結合して「天真爛漫」という四字熟語になりました。

「天真爛漫」という言葉は、古代中国の元末の1366年に陶宗儀が書いた随筆『輟耕録』(てっこうろく)が初出のようです。ある絵を見た宗儀が「天真爛漫」と称賛したことから、この言葉が使われるようになったと言われています。

 

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