この記事では「ままならない」について解説する。

端的に言えば「ままならない」の意味は「うまくいかない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「ままならない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文化系。読書量に比例する文章力で日本語をわかりやすく解説していく。

「ままならない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ままならない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ままならない」の意味は?

「ままならない」には、次のような意味があります。

思い通りにならない。自由にならない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「儘ならぬ」

「ままならない」と聞くと、『桐島、部活やめるってよ』(2009)や直木賞を受賞した『何者』(2013年)の著者として有名な朝井リョウさんの『ままならないから私とあなた』(2016)という作品が浮かびます。自分が正しいと思っていたことは本当に正しいことなのか。「ままならない」からこそ、人によって価値観は違う。そんな作品でしたね。

そんな「ままならない」の意味は、思い通りにいかないことや自由にならないことです。人生において、理想として描いていたことや計画がそのまま思い通りにいくことなど、ほんの一握りしかないと思いませんか。いくら人生計画をして理想の未来を思い描いていても、予定外のことが必ず訪れるのが人生です。「運命」という見えない大きな渦の中から、完全に開放されることはできない。自由になれることはないのです。しかし、そんな「ままならない」人生だからこそできること、出会う物事もあります。「ままならない」そのままの自分を受け入れて身をゆだねることが大切ですね。

「ままならない」の語源は?

次に「ままならない」の語源を確認しておきましょう。

「ままならない」は、漢字で表記すると「儘ならない」です。「ままならない」の語源は、この「儘」という漢字にあります。「儘」は「成り行きに従うこと」を意味する言葉であり、「儘ならない」は「儘」を打ち消す否定形であるということがわかりますよね。つまり「成り行きに従うことができない」という意味です。「儘」という漢字は「我儘」という言葉を想像していただければわかりやすいかもしれません。「我儘」とはそのままの意味だと「自分の成り行きに従うこと」ですが、これが派生して「自分の思い通りにいかないと気が済まないこと」という現代の意味になりました。したがって「儘ならない」もそのままの意味だと「成り行きに従うことが出来ない」ということですが、これを派生させたると「思い通りにいかない」「自由にならない」という現代の意味になります。

\次のページで「「ままならない」の使い方・例文」を解説!/

「ままならない」の使い方・例文

「ままならない」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.経験不足で簡単な仕事をこなすこともままならない状況なので、あれだけ憧れていた職場に入れたのにも関わらず最近ではネガティブな気持ちに押しつぶされそうである。


2.食事制限やサプリ、運動などさまざまなダイエットを試みたのにも関わらず効果が全く表れないなんて、ままならない世の中だ。


3.敬語で会話することもままならない相手とビジネス関係を結ぶなんて、もってのほかだ。

1番と3番の例文は、「~することもままならない」という用い方です。「~することもままならない」というのは「思い通りに~することができない」ことや「自由に~することができない」という意味で、自分や他人の行動が自分の理想通りにいかないことを指します。

一方で2番目の例文は、「ままならない~」という用い方です。他人の行動やあらゆる物事、状況などが自分の思い通りに動かないときや自由にできない時の悔しさや歯がゆい気持ちを表現します。主に「ままならない世の中」や「ままならない関係」など、自分だけではどうすることもできないものを指す表現です。

「~することもままならない」はきっかけや原因がはっきりしている状態で自分がどうすることもできない状態を表し、「ままならない~」は原因がわからないので諦めるしかないというような規模の大きいものや複雑に絡み合った問題に対して用いるというように使い分けましょう。

「ままならない」の類義語は?違いは?

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「ままならない」とは、物事や他人の思考行動が思い通りにいかないことや自由にならないことを表現する言葉でした。そんな「ままならない」の類義語はどのようなものなのでしょうか。

早速見ていきましょう。

「不如意(ふにょい)」

「ままならない」の類義語といえば、「思い通りにならない」や「うまくいかない」などたくさんの表現が思い浮かびますが、今回はあえて日常的にあまり用いない表現を取り上げたいと思います。

今回「ままならない」の類義語として紹介するのは、思い通りにならないことやそのさまを表す「不如意(ふにょい)」です。「不如意」は日常的にまず聞く機会が少なくとても難しい表現ですが、主に経済面が苦しくなるさまや手元に金銭的余裕がないさまを表現します。現代ではあまり聞き慣れないというのもそのはずです。「不如意」は武士が使っていた武士語であり、時代劇のセリフなどで出てくる言葉。武士は当時、手元に持ち合わせがないときや懐が寂しいときは「手元不如意(てもとふにょい)」と言ってその場を切り抜けていたそうですよ。時代劇や平安~江戸時代が舞台の映画を鑑賞するときは、注意して聞いてみてくださいね。

\次のページで「「ままならない」の対義語は?」を解説!/

「ままならない」の対義語は?

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「ままならない」に対義語は、どのようなものなのでしょうか。

次は「ままならない」の対義語とその意味を見ていきましょう。

「順調」

物事が思い通りにいかずにやきもきすることを表現する「ままならない」の対義語は、計画が予定通りに進んで期待通りの経過をたどっていることを表現する「順調」です。

物ごとが期待通りに進まずにどうしようもない様子や停滞していて歯痒い気持ち表現する「ままならない」とは、反対の意味を表現することがわかりますね。人生においてなんでも理想の通りにいくことはまずあまりないと前述しましたが、これは「順調」に対しても言うことができます。「順調」はあくまでも経過が期待通りにいっている状態を指す言葉なので、その結果まで思い通りに進むかどうかは問題にしていません。よって、いつ「順調」が「ままならない」に変化するかはわからないということになります。なのであくまでも「順調」と「ままならない」の意味が対義語というのは、その一瞬の間のみを指す場合ということですね。二つとも長く続く状態のことを指すのではなく、刹那の様子を指す言葉です。

「ままならない」を使いこなそう

この記事では「ままならない」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「ままならない」は絶妙なニュアンスを表現する言葉なので使いこなすのが難しいですが、自分の思い通りにいかない物事やうまく進まずに歯痒い気持ちを表現する際にはぜひ用いてみてくださいね。「不如意」という言葉は今回初めて知ったという人も多いかもしれませんが、意識してみると意外とセリフなどで使われているのも事実です。一度頭に入れた言葉はそのほかの場面で聞いても頭に引っ掛かりやすいといわれています。この機会にしっかりと頭に入れて、様々な場面で偶然この言葉を聞く機会を楽しんでみてくださいね。

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国語言葉の意味

「ままならない」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「ままならない」について解説する。

端的に言えば「ままならない」の意味は「うまくいかない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「ままならない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文化系。読書量に比例する文章力で日本語をわかりやすく解説していく。

「ままならない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ままならない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ままならない」の意味は?

「ままならない」には、次のような意味があります。

思い通りにならない。自由にならない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「儘ならぬ」

「ままならない」と聞くと、『桐島、部活やめるってよ』(2009)や直木賞を受賞した『何者』(2013年)の著者として有名な朝井リョウさんの『ままならないから私とあなた』(2016)という作品が浮かびます。自分が正しいと思っていたことは本当に正しいことなのか。「ままならない」からこそ、人によって価値観は違う。そんな作品でしたね。

そんな「ままならない」の意味は、思い通りにいかないことや自由にならないことです。人生において、理想として描いていたことや計画がそのまま思い通りにいくことなど、ほんの一握りしかないと思いませんか。いくら人生計画をして理想の未来を思い描いていても、予定外のことが必ず訪れるのが人生です。「運命」という見えない大きな渦の中から、完全に開放されることはできない。自由になれることはないのです。しかし、そんな「ままならない」人生だからこそできること、出会う物事もあります。「ままならない」そのままの自分を受け入れて身をゆだねることが大切ですね。

「ままならない」の語源は?

次に「ままならない」の語源を確認しておきましょう。

「ままならない」は、漢字で表記すると「儘ならない」です。「ままならない」の語源は、この「儘」という漢字にあります。「儘」は「成り行きに従うこと」を意味する言葉であり、「儘ならない」は「儘」を打ち消す否定形であるということがわかりますよね。つまり「成り行きに従うことができない」という意味です。「儘」という漢字は「我儘」という言葉を想像していただければわかりやすいかもしれません。「我儘」とはそのままの意味だと「自分の成り行きに従うこと」ですが、これが派生して「自分の思い通りにいかないと気が済まないこと」という現代の意味になりました。したがって「儘ならない」もそのままの意味だと「成り行きに従うことが出来ない」ということですが、これを派生させたると「思い通りにいかない」「自由にならない」という現代の意味になります。

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