埼玉県秩父市の前原の不整合
埼玉県秩父市の荒川沿いに国の天然記念物に指定されている前原の不整合があります。ここでは2~1.5億年前(ジュラ紀)に形成された秩父帯の上に約1600万年前の地層が重なっているんですよ。見ての通り1億年以上の年代的ギャップがありながら不整合面がはっきりとわかり、観察に適しています。
和歌山県和歌山市の篠尾の不整合
湯ノ口温泉から北西に向かったところに篠尾の不整合があります。ここは紀伊半島の土台となっている付加体(遠洋の堆積物がプレートの沈み込み帯に付加されたもの)である音無川付加体に熊野層群が堆積した不整合面です。この2つの堆積物には数千万年の時間的ギャップがある上に、活発なプレート運動の痕跡も残されています。かなり貴重な露頭なので見る価値は十分にありますよ。
6.世界で1番有名な不整合
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アメリカ合衆国アリゾナ州に分布するグランドキャニオンを知っているでしょうか。グランドキャニオンは「地球で最も完全な地層の積み重なりが見られる場所」と言われる通り、非常に美しい層状構造が見られます。グランドキャニオンでは約20億年前から2億3000万年前までの地層が連続的に積み重なっているのです。しかし、グランドキャニオンの地層は大きく2つに分けることができます。縞模様のない濃い茶色の下の層と、赤褐色の上の層です。この上下の地層の間には約10億年の年代的ギャップがあります。このような地層が広々と続いており、場所によって年代的ギャップは様々なんですよ。
断層や褶曲が含まれる複雑な不整合も読み解いてみよう
川や湖などに砂や泥が運搬され、層状に堆積したものが地層です。その場所が水中である限り、地層は時間の経過に伴って連続的に形成されます。これを整合といい、下部の地層ほど古く、上部の地層ほど新しいため地層累重の法則が成り立っているのです。水中だった場所が何らかの地殻変動を受けて地上にでると一時的に堆積活動はストップしますよね。その後、再び水中に沈むと堆積活動は再開されます。この時、地上に出ていた間は地層が形成されず、この前後で地層に年代的なギャップが生じてしまいますよね。これを不整合と呼びます。
不整合は高校入試でも頻出の分野です。しかもただの不整合ではなく、断層や褶曲、まれに火山活動によるマグマの貫入など様々な地質現象と絡めて出題されます。この場合は図を読み解く力が重要になるため、不整合面に惑わされず一つずつ地質現象をチェックしましょう。
イラスト引用:いらすとや