君は地層を見たことがあるか?最近はコンクリートできれいに舗装されているところが多くなって、もともとそこにあった地層を見ることが難しくなったな。だから、地層を見つけたらじっくり観察してみよう。その地層は水平に積層しているのか、ぐにゃぐにゃに曲がっているのか、亀裂が入っていないかなど、地層を観察するポイントはたくさんあるんだよ。地層を構成している層は小石でできた礫岩や砂でできた砂岩、泥でできた泥岩がメインで、よく観察するとそれらの岩石の境界が不自然に明確になっていることがあるんです。このような部分はもしかすると不整合と呼ばれる特殊な構造かもしれないぞ。今回は不整合について、地学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

大学院を地球科学専攻で卒業した地学大好き人間。岩石や好物を採取することが趣味で、時間があれば県内外問わず露頭観察に繰り出している。

1.地層とは

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湖や海などの水中は岩石が削られてできた砂や泥が川などから運搬されて集まりやすく、集まった砂などが堆積していくんです。この時、堆積物が層状になっていることから地層と呼ばれています。地層の中の1枚1枚は単層と呼ばれ、この中身は同じような物質で構成されているんですよ。単層と単層の境界は層理面と呼ばれ、この層理面の傾きなどを調べることで様々なことがわかります。地層は水中で形成されますが、地殻変動などにより地上で観察できる場所があることをご存じですか。このような場所は露頭と呼ばれ、山肌や採石場、崖などいろいろな場所にみられます。

地層累重の法則

地層累重の法則

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水中では堆積物が下から順にたまっていくため、一般的には地層の下部ほど昔に堆積しており、上部ほど最近堆積したことになりますよね。これを地層累重の法則といいます。しかし、プレートの運動などの地殻変動のせいでグニャグニャに曲がっていたり(褶曲:しゅうきょく)、途中で割れ目ができてずれていたりすることもあります(断層:だんそう)。このような場合は含まれている化石を調べたり、鍵相を使ってどちらが上部なのかを判断しているのです。

2.整合(せいごう)とは

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水中に運ばれてくる堆積物の量は天候などによって変化するため堆積速度はまちまちです。しかし、その場所が水中である限り堆積物は途切れなく運ばれてくるため連続的に地層ができていきます。このように連続的に途切れなくたまった地層同士の関係を整合と呼ぶんですよ。

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3.不整合(ふせいごう)とは

以前まで水中だった場所が地殻変動により地上に出てしまったり、整合してたまっていた地層が何かのきっかけで削られてしまったりして連続性が失われてしまった地層を不整合といいます。たとえば、もともと水中だった場所が隆起して地上にでると、風化や浸食で地層の一部が削られてなくなるんです。その後再び地層が堆積すると、地層のできた時期に大きなギャップが生じて不整合となるんですよ。

4.不整合の原因

地層が形成される時間的なギャップはどのようにして起こるのでしょうか。実は不整合が起こる原因にはいくつか挙げられます。不整合の原因について一つずつ解説しますね。

原因1.海水準変動

海面の高さが上がったり(海進)、海面の高さが下がったり(海退)することを海水準変動といいます。地球は海面の高さが高くなったり低くなったりを周期的に繰り返しており、この変化は地層の形成に大きく影響を与えるのです。海面が低くなると海底が地上から出てしまったり、堆積できる量に制限ができるために地層の形成が一時的に止まります。結果的に地層の形成に時間的なギャップが生じるのです。

原因2.地盤の隆起

隆起とは地盤の高さが上がる現象のことです。隆起の原因にはプレート運動による造山活動や海の海退などがあります。ヒマラヤ山脈や丹沢山地は造山運動による隆起で形成された山脈です。隆起すると今まで水中にあった場所が地上に出てくるため堆積が中断されます。

原因3.断層の活動

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断層とは地層が上下にずれる地質現象のことです。断層は地震を起こすため、断層の上や近くに建物を建てることは厳禁なんですよ。しかし、断層の活動は不整合ではありません。不整合は地層の形成にギャップが生じることであり、断層のようにただ上下に切られるだけでは不整合にならないのです。断層も不整合と勘違いする人が多いため注意しましょう。

5.不整合を見られる場所

日本は昔海の底だったところが付加体として地表に現れた場所です。つまり、不整合を観察できる露頭は多くあります。その中でも有名な不整合面について紹介しますね。

\次のページで「埼玉県秩父市の前原の不整合」を解説!/

埼玉県秩父市の前原の不整合

埼玉県秩父市の荒川沿いに国の天然記念物に指定されている前原の不整合があります。ここでは2~1.5億年前(ジュラ紀)に形成された秩父帯の上に約1600万年前の地層が重なっているんですよ。見ての通り1億年以上の年代的ギャップがありながら不整合面がはっきりとわかり、観察に適しています。

和歌山県和歌山市の篠尾の不整合

湯ノ口温泉から北西に向かったところに篠尾の不整合があります。ここは紀伊半島の土台となっている付加体(遠洋の堆積物がプレートの沈み込み帯に付加されたもの)である音無川付加体に熊野層群が堆積した不整合面です。この2つの堆積物には数千万年の時間的ギャップがある上に、活発なプレート運動の痕跡も残されています。かなり貴重な露頭なので見る価値は十分にありますよ。

6.世界で1番有名な不整合

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アメリカ合衆国アリゾナ州に分布するグランドキャニオンを知っているでしょうか。グランドキャニオンは「地球で最も完全な地層の積み重なりが見られる場所」と言われる通り、非常に美しい層状構造が見られます。グランドキャニオンでは約20億年前から2億3000万年前までの地層が連続的に積み重なっているのです。しかし、グランドキャニオンの地層は大きく2つに分けることができます。縞模様のない濃い茶色の下の層と、赤褐色の上の層です。この上下の地層の間には約10億年の年代的ギャップがあります。このような地層が広々と続いており、場所によって年代的ギャップは様々なんですよ。

断層や褶曲が含まれる複雑な不整合も読み解いてみよう

川や湖などに砂や泥が運搬され、層状に堆積したものが地層です。その場所が水中である限り、地層は時間の経過に伴って連続的に形成されます。これを整合といい、下部の地層ほど古く、上部の地層ほど新しいため地層累重の法則が成り立っているのです。水中だった場所が何らかの地殻変動を受けて地上にでると一時的に堆積活動はストップしますよね。その後、再び水中に沈むと堆積活動は再開されます。この時、地上に出ていた間は地層が形成されず、この前後で地層に年代的なギャップが生じてしまいますよね。これを不整合と呼びます。

不整合は高校入試でも頻出の分野です。しかもただの不整合ではなく、断層や褶曲、まれに火山活動によるマグマの貫入など様々な地質現象と絡めて出題されます。この場合は図を読み解く力が重要になるため、不整合面に惑わされず一つずつ地質現象をチェックしましょう。

イラスト引用:いらすとや

" /> 地層の整合と不整合はなぜ起こる?岩石の境界が曖昧?地球科学専攻卒が5分でわかりやすく解説 – ページ 2 – Study-Z
地学地球地質・歴史理科

地層の整合と不整合はなぜ起こる?岩石の境界が曖昧?地球科学専攻卒が5分でわかりやすく解説

3.不整合(ふせいごう)とは

以前まで水中だった場所が地殻変動により地上に出てしまったり、整合してたまっていた地層が何かのきっかけで削られてしまったりして連続性が失われてしまった地層を不整合といいます。たとえば、もともと水中だった場所が隆起して地上にでると、風化や浸食で地層の一部が削られてなくなるんです。その後再び地層が堆積すると、地層のできた時期に大きなギャップが生じて不整合となるんですよ。

4.不整合の原因

地層が形成される時間的なギャップはどのようにして起こるのでしょうか。実は不整合が起こる原因にはいくつか挙げられます。不整合の原因について一つずつ解説しますね。

原因1.海水準変動

海面の高さが上がったり(海進)、海面の高さが下がったり(海退)することを海水準変動といいます。地球は海面の高さが高くなったり低くなったりを周期的に繰り返しており、この変化は地層の形成に大きく影響を与えるのです。海面が低くなると海底が地上から出てしまったり、堆積できる量に制限ができるために地層の形成が一時的に止まります。結果的に地層の形成に時間的なギャップが生じるのです。

原因2.地盤の隆起

隆起とは地盤の高さが上がる現象のことです。隆起の原因にはプレート運動による造山活動や海の海退などがあります。ヒマラヤ山脈や丹沢山地は造山運動による隆起で形成された山脈です。隆起すると今まで水中にあった場所が地上に出てくるため堆積が中断されます。

原因3.断層の活動

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断層とは地層が上下にずれる地質現象のことです。断層は地震を起こすため、断層の上や近くに建物を建てることは厳禁なんですよ。しかし、断層の活動は不整合ではありません。不整合は地層の形成にギャップが生じることであり、断層のようにただ上下に切られるだけでは不整合にならないのです。断層も不整合と勘違いする人が多いため注意しましょう。

5.不整合を見られる場所

日本は昔海の底だったところが付加体として地表に現れた場所です。つまり、不整合を観察できる露頭は多くあります。その中でも有名な不整合面について紹介しますね。

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