この記事では「マッシュアップ」について解説する。

端的に言えばマッシュアップの意味は「混ぜ合わせ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「マッシュアップ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「マッシュアップ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「マッシュアップ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「マッシュアップ」の意味は?

「マッシュアップ」には、次のような意味があります。

1.音楽で、二つ以上の曲を合成して一つの曲にする技法。
2.インターネットを通じて提供される複数のウェブサービスやコンテンツを組み合わせて、新しいウェブサービスとして提供すること。具体例として、複数のオンラインショップが提供する価格情報を一元的に比較したり、地図検索サービスと店舗情報を組み合わせて提供したりするサービスなどが挙げられる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「マッシュアップ」

「マッシュアップ」には2つの意味があります。1つめは楽曲をつくるやり方のこと。2つ以上の楽曲を使って、重ねたりツギハギにしたりしながら一つの曲として完成させる技法を「マッシュアップ」といいます。でき上がった曲のことも「マッシュアップ」とよびますよ。

2つめはIT業界の言葉で、ウェブで公開されているシステムを借りて新たなサービスを作ること。企業が公開するAPI(アプリケーション プログラミング インターフェイス)を使えば、その部分については自力でプログラムする必要がなく、なにかを加えれば新しいサービスを作ることができます。例えば、Google Mapsが公開しているAPIの地図情報に自社で持つコンテンツを組み合わせて、特化したサービスを作るなど。

どちらも「混ぜ合わせて」いるのが特徴です。「マッシュアップ」は「混ぜ合わせる」イメージと覚えておけば、間違えた使い方をしないで済みますね。

「マッシュアップ」の語源は?

次に「マッシュアップ」の語源を確認しておきましょう。「マッシュアップ」の語源は英語の「mashup」。これでひとつの名詞です。意味は日本語と同じで、混ぜ合わせて作った音楽やウェブサービスのこと。「mash-up」でも同じ意味の名詞となります。

ところで、「mash」という動詞もあるのです。「マッシュポテト(mashed potatoes)」という言葉でも使いますね。この「mash」の意味は「つぶす」「すりつぶす」であり、「混ぜる」という意味はありません。しかし「mash」の語源をたどると印欧語根(ヨーロッパ・インドで使われる言葉の先祖)の「meik(広い意味で混ぜることを表す)」となり、「mix(混ぜる)」の語源と同じになるのだそう。興味深いですね。

\次のページで「「マッシュアップ」の使い方・例文」を解説!/

「マッシュアップ」の使い方・例文

「マッシュアップ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.ヒットソングのマッシュアップ動画は閲覧回数も多くて人気があるけど、この表現方法って著作権的には大丈夫なの?
2.私はマッシュアップを作成してサイトにアップしているけど、楽曲の雰囲気も全然変わるし、文化として認められてると感じているよ。
3.地図データに、土地にちなんだクイズとかグルメランキングとか方言用語辞典をマッシュアップするのどうかな、みんな意外と利用するんじゃない?

1と2の例文は、楽曲の「マッシュアップ」について話しているシーンです。もともとある曲をマッシュアップの設計に沿って実際に歌ったり演奏したりして作るものもあれば、商品として出回っているデジタル音源を編集して作るマッシュアップもあります。著作権の所有者にとって問題があるものは、削除される可能性もあるでしょう。

とはいえ、楽曲の雰囲気を変えて新しい曲にしあげる文化は、リミックスバージョンが正規に販売されていることからも世間に浸透しているといえます。動画サイトなどに投稿されるマッシュアップには、もともとの曲の人気を盛り上げる力があるものや、プロをもうならせる出来ばえのものもあるのでしょう。あえて削除しない場合もあるのかもしれません。

3の例文では、ウェブサービスでの「マッシュアップ」について話しています。この例文のように「マッシュアップする」と動詞的に使うことも可能です。

「マッシュアップ」の類義語は?違いは?

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「マッシュアップ」の類義語には「リミックス」があります。

「リミックス」

「リミックス」は「マッシュアップ」と同じく、楽曲をつくるやり方のひとつです。「リミックス」にも元の曲があり、その曲を発展させて違う雰囲気の曲にしあげます。その点が「マッシュアップ」とよく似ている点です。

「マッシュアップ」との違いは、「リミックス」は複数の曲を「混ぜ合わせて」つくるものではないこと。メドレーのように次の曲へつながっていくことはあっても、一つの楽曲のボーカルともう一つの楽曲のボーカルがツギハギとなって全く別の新しい楽曲となっているようなものは、「リミックス」ではなく「マッシュアップ」の範疇にはいるでしょう。

多くの人にとって有名なフレーズ(例えばクラシックなど)を「素材」として混ぜて、もしくは重ねて使う場合には「リミックス」とよぶこともあります。

\次のページで「「マッシュアップ」の対義語は?」を解説!/

「マッシュアップ」の対義語は?

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「マッシュアップ」の対義語には「オリジナル」があげられます。

「オリジナル」

「オリジナル」は「原作」「原型」という意味です。もちろん「原曲」も含みますよ。「加工される前の、元となったもの」をさします。

「マッシュアップ」は「原曲」や「元となるサイトやデータ」があってこそ、できあがるものです。ゼロから作るものではないのですね。アレンジする前の「オリジナル」とアレンジした後の「マッシュアップ」は、対になる意味をもつといえます。

ただし「オリジナル」という言葉にはややこしい面があり、「A氏オリジナルのマッシュアップ!」という使い方がされてしまうのです。本来オリジナルとは「原曲」一点なので、このような使い方は間違いなのですが。この場合は「オリジナル」と「マッシュアップ」は反対の意味にはなりませんね。

「マッシュアップ」を使いこなそう

この記事では「マッシュアップ」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「マッシュアップ」は元となる楽曲を混ぜ合わせて作った曲、または元となるデータを組み合わせて作ったウェブサービス、という意味の言葉です。

楽曲やインターネットのサービスやアプリだけでなく、いろいろな業界で「マッシュアップ」という言葉が使われ始めています。「マッシュアップ」の「混ぜ合わせる」というイメージを忘れなければ、初出の場面でも意味を理解できるでしょう。ぜひ覚えておいてくださいね。

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国語言葉の意味

「マッシュアップ」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「マッシュアップ」について解説する。

端的に言えばマッシュアップの意味は「混ぜ合わせ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「マッシュアップ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「マッシュアップ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「マッシュアップ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「マッシュアップ」の意味は?

「マッシュアップ」には、次のような意味があります。

1.音楽で、二つ以上の曲を合成して一つの曲にする技法。
2.インターネットを通じて提供される複数のウェブサービスやコンテンツを組み合わせて、新しいウェブサービスとして提供すること。具体例として、複数のオンラインショップが提供する価格情報を一元的に比較したり、地図検索サービスと店舗情報を組み合わせて提供したりするサービスなどが挙げられる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「マッシュアップ」

「マッシュアップ」には2つの意味があります。1つめは楽曲をつくるやり方のこと。2つ以上の楽曲を使って、重ねたりツギハギにしたりしながら一つの曲として完成させる技法を「マッシュアップ」といいます。でき上がった曲のことも「マッシュアップ」とよびますよ。

2つめはIT業界の言葉で、ウェブで公開されているシステムを借りて新たなサービスを作ること。企業が公開するAPI(アプリケーション プログラミング インターフェイス)を使えば、その部分については自力でプログラムする必要がなく、なにかを加えれば新しいサービスを作ることができます。例えば、Google Mapsが公開しているAPIの地図情報に自社で持つコンテンツを組み合わせて、特化したサービスを作るなど。

どちらも「混ぜ合わせて」いるのが特徴です。「マッシュアップ」は「混ぜ合わせる」イメージと覚えておけば、間違えた使い方をしないで済みますね。

「マッシュアップ」の語源は?

次に「マッシュアップ」の語源を確認しておきましょう。「マッシュアップ」の語源は英語の「mashup」。これでひとつの名詞です。意味は日本語と同じで、混ぜ合わせて作った音楽やウェブサービスのこと。「mash-up」でも同じ意味の名詞となります。

ところで、「mash」という動詞もあるのです。「マッシュポテト(mashed potatoes)」という言葉でも使いますね。この「mash」の意味は「つぶす」「すりつぶす」であり、「混ぜる」という意味はありません。しかし「mash」の語源をたどると印欧語根(ヨーロッパ・インドで使われる言葉の先祖)の「meik(広い意味で混ぜることを表す)」となり、「mix(混ぜる)」の語源と同じになるのだそう。興味深いですね。

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