この記事では「台頭」について解説する。

端的に言えば「台頭」の意味は「台頭」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「台頭」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文化系。読書量に比例する文章力で日本語をわかりやすく解説していく。

「台頭」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「台頭」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「台頭」の意味は?

「台頭」には、次のような意味があります。

1.頭をもたげること。勢いを増してくること。「改革派がーする」
2.上奏文などで、貴人の名やそれに関する語の出てくるとき、敬意を表して改行し、一段高く書くこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「台頭」

「台頭」の読み方は「たいとう」です。漢字をそのまま読むと「だいとう」と読んでしまいがちですが、正しい読み方は「たいとう」なので気をつけましょう。

「台頭」は、今までノーマークだった人や物事が勢力を伸ばして存在感を表してくることを表現する言葉です。ベテランの多い環境の中で若手の新人が勢いを伸ばしてきたときや、芸術や文化において、古い流れの中で新しい流れが起こり始めた時などに用いられます。よって「台頭」は初めから期待されていたものというよりも、全く注目されていなかったものが無視できないほど存在感をだしてくるというニュアンスが強いです。最初から成長を期待されているものや成功までのレールが用意されている物事に対しては用いないということですね。

「台頭」の語源は?

次に「台頭」の語源を確認しておきましょう。

「台頭」は「台」と「頭」という二つの漢字で成り立っています。「頭」という漢字が使われているのはなんとなく理解できますが、もう一つの漢字がなぜ「台」なのか気になったことはありませんか?「台頭」の語源はこの二つの漢字の意味を紐解いていくと、理解することができますよ。

まず問題の「台」です。「台」は一般的に、物を乗せるものや辺りを見渡すためのものというイメージの強いですが、ここでは意味が違います。これは「台頭」の旧字体である「擡頭」に所以があるのです。この旧字体の「擡(タイ/も・たげる)」には「持ち上げる」という意味があります。代用字である「台」もこの持ち上げるという意味を引き継いで、「台頭」は頭を持ち上げる、つまり寝ていたものが頭を持ち上げるときの勢力をイメージする言葉になったということですね。

\次のページで「「台頭」の使い方・例文」を解説!/

「台頭」の使い方・例文

「台頭」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.達人の技術は世界に進出してもなお、未開拓の地で台頭しつつある。


2.未経験の新人の若者が作り上げたアニメはマンネリ化しつつある業界に衝撃を与え、ネットでの人気上昇によって台頭が目覚ましくなっている。


3.デビューしてすぐにこの業界でも台頭したあなたは、才能があるに違いない。

「台頭」は、頭を持ち上げるという意味の語源から勢力を上げることや存在感を出すという意味に派生したと言う事が分かりました。

例文からもわかるように「台頭」は、未開拓の地で勢いを広げることや、存在感のなかった若者や新人がいきなり存在感を出すこと未経験だった物事を始めて成果を出すことなどを表現するときに用います。「〇〇の台頭」「〇〇の台頭が目覚ましい」「〇〇が台頭する」、などと組み合わせて使い、その勢いの強さを表現したり今後への期待を込めて用いるということですね。

「台頭」の類義語は?違いは?

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「台頭」は今まで存在感のなかった物事が目立つようになったり、注目されていなかったことが急に勢力を増して無視せざるを得なくなるということを表現する言葉でした。

そんな「台頭」の類義語とはどのようなものなのでしょうか。早速見ていきましょう。

「頭角を現す(とうかくをあらわす)」

「台頭」の類義語は、「頭角を現す」ということわざです。「頭角を現す」とは才能や技術が他人より抜きん出ていることや、他人を差し押さえて目立っている様子を指す言葉。この言葉自体、「台頭」よりもよく耳にする言葉なのではないでしょうか。

「頭角」は頭の先を意味する言葉です。同じような身長の人が縦一列に並んでいる中で一人だけ身長が抜きんでている人が紛れていたら、その人の頭の先はとても目立ちますよね。このような状況を比喩として、他人を差し押さえて目立っているときや、才能や技量が他と比べ物にならないほど抜きんでている様子を「頭角を現す」と表現するようになりました。

もともと注目されていなかった人が注目されるようになったり、存在感のなかった物事が勢力を増すなどもともとは期待されていなかったものを対象とする「台頭」に対して、「頭角を現す」はすでに内在する大きな才能や技量の可能性を把握したうえでその一部である頭の先が見えたということを表現しています。したがってすでに才能が認められていて期待されている人や物事が、その才能の一部を現したときは「頭角を現す」、」全くノーマークで存在感のなかったものがいきなり勢力を増してきたということを表現するときは「台頭」というように使い分けましょう。

\次のページで「「台頭」の対義語は?」を解説!/

「台頭」の対義語は?

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「台頭」は若者や新人が勢力を増して新しい波を起こしたり、存在感のなかったものが急に目立つようになることを表現する言葉でした。

「目立たなかったものが目立つようになる」という意味の反対は単純に考えると、「目立っていたものが目立たなくなる」ですよね。そんな意味を表す対義語を見ていきましょう。

「衰退(すいたい)」「凋落(ちょうらく)」

「台頭」の対義語は、勢力が落ちることや衰えることを表現する「衰退」と「凋落」です。

「衰退」も「凋落」も基本的に意味は同じで今まで勢いに乗ってきたものの力が弱まっていくことを表現します。力のなかったものが力を持ち始めるという意味の「台頭」とは反対の意味を持つことがわかりますね。「衰退」と「凋落」は前述したように基本的に意味は同じですが、「衰退」は自然発生的に段々力が弱まっていくことや衰えるべくして衰えたというような場合に対しても用いるので、一概に悪い意味であるとは言い切れません。一方で「凋落」は力が弱まることや衰えていくことにプラスで「落ちぶれる」というニュアンスも含むので、「衰退」よりも酷な状況を表現しているといっていいでしょう。

したがって成り行き上仕方がなく力が衰えてしまったという状況などには「衰退」を、自らの落ち度によって悪い方向へ転がり落ちる様子などのより救いようのない状況には「凋落」を用いるというように使い分けることができます。

「台頭」を使いこなそう

この記事では「台頭」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「台頭」とはよく耳にする言葉ですが、改めて考えてみると不思議で意味はよく分からないというような言葉だと思いませんか。今回語源までしっかりと読み解くことによって、なぜ「台」という漢字を用いているのかということがわかって、少し意味が分かりやすくなったと思います。「台頭」も「頭角」も、人より目立つことや勢いのあることを表現する言葉は「頭」という漢字が用いられているということがわかりましたね。自分の存在感を示すために頭を持ち上げたり頭の先を表したりするなど、頭から派生する比喩がたくさんあって面白かったですね。この機会に、ほかにも頭を用いた表現がないのかということも一緒に調べてみてくださいね。

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国語言葉の意味

「台頭」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「台頭」について解説する。

端的に言えば「台頭」の意味は「台頭」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「台頭」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文化系。読書量に比例する文章力で日本語をわかりやすく解説していく。

「台頭」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「台頭」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「台頭」の意味は?

「台頭」には、次のような意味があります。

1.頭をもたげること。勢いを増してくること。「改革派がーする」
2.上奏文などで、貴人の名やそれに関する語の出てくるとき、敬意を表して改行し、一段高く書くこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「台頭」

「台頭」の読み方は「たいとう」です。漢字をそのまま読むと「だいとう」と読んでしまいがちですが、正しい読み方は「たいとう」なので気をつけましょう。

「台頭」は、今までノーマークだった人や物事が勢力を伸ばして存在感を表してくることを表現する言葉です。ベテランの多い環境の中で若手の新人が勢いを伸ばしてきたときや、芸術や文化において、古い流れの中で新しい流れが起こり始めた時などに用いられます。よって「台頭」は初めから期待されていたものというよりも、全く注目されていなかったものが無視できないほど存在感をだしてくるというニュアンスが強いです。最初から成長を期待されているものや成功までのレールが用意されている物事に対しては用いないということですね。

「台頭」の語源は?

次に「台頭」の語源を確認しておきましょう。

「台頭」は「台」と「頭」という二つの漢字で成り立っています。「頭」という漢字が使われているのはなんとなく理解できますが、もう一つの漢字がなぜ「台」なのか気になったことはありませんか?「台頭」の語源はこの二つの漢字の意味を紐解いていくと、理解することができますよ。

まず問題の「台」です。「台」は一般的に、物を乗せるものや辺りを見渡すためのものというイメージの強いですが、ここでは意味が違います。これは「台頭」の旧字体である「擡頭」に所以があるのです。この旧字体の「擡(タイ/も・たげる)」には「持ち上げる」という意味があります。代用字である「台」もこの持ち上げるという意味を引き継いで、「台頭」は頭を持ち上げる、つまり寝ていたものが頭を持ち上げるときの勢力をイメージする言葉になったということですね。

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