この記事では「労い」について解説する。

端的に言えば労いの意味は「相手の労苦をいたわること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「労い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「労い」の意味や語源・使い方まとめ

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「労いの言葉をかける」「労をねぎらう」など、「労い」という言葉は社会人生活を送るうえで、よく耳にする言葉です。ビジネスシーンでもよく見聞きする言葉ではありますが、正しい意味を説明できる人は少ないのではないでしょうか。使い方を誤ってしまうと、思わぬ誤解を与えたり、失礼な意味になったりすることもあるのです。正しい意味と使い方を知る事で、安心して使う事が出来ます。それでは早速「労い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「労い」の意味は?

「労い」には、次のような意味があります。

相手の労苦をいたわること。「―の言葉をかける」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「労い」

「労い」とは「相手の苦労をいたわること」という意味です。この場合の「相手の苦労」とは、相手の「努力」や「骨折り」に対してになります。例えば、「すぐ近くの自動販売機でコーヒーを買ってきてくれた部下を労う」というのは、少し大げさな表現だと分かるでしょう。つまり、「労い」という言葉は基本的に「その人物が何かを犠牲(時間やお金、労力)にして努力したり骨折りにした場合」に使います。

「労い」の語源は?

次に「労い」の語源について見ていきましょう。「労い」の語源は、奈良時代の古語である「労ぐ(ねぐ)」だと言い伝えられています。「労ぐ」は、「神の心を鎮め御加護を祈念する」という意味で使われていました。また、相手が行ってくれたことに対する労わりの意を示す場合の言葉としても用いられていたそうです。

\次のページで「「労い」の使い方・例文」を解説!/

「労い」の使い方・例文

「労い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.商談を初めて成功させた部下への労いのために、みんなでランチに招待した。
2.今月の会議で補佐をしてくれた後輩に対し、労いの意を込めて夕食を御馳走した。
3.プレゼンテーションの発表が控えており、毎日のように努力していた部下に対して、労いの一言をかけた。

例文1の「部下への労い」という使い方は、ビジネス上での使い方になります。初めて商談を成功させることはとても喜ばしい事でもあり、成功させるまでの過程には相当な努力があった事でしょう。その努力に対する労いのために、ランチに招待したことが分かります。

例文2では、補佐をしてくれた後輩に対する労いです。自分をサポートしたり、手助けをしてくれた後輩の努力や骨折りに対して、お返しをしています。夕食を御馳走する事で、感謝の気持ちを伝えた事が分かるでしょう。例文3ですが、プレゼンテーションの発表を控えた部下が、毎日のように努力していたことに対し、労いの一言をかけてあげた場面になります。

「労い」の類義語は?違いは?

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「労い」とは、相手の労苦をいたわることを表現する言葉で、主に目上の人に対して使う言葉でした。そんな「労い」の類義語はどのようなものなのでしょうか。

その1「労る」

類義語の1つに「労わる」があります。読み方は「労わる」と書いて「いたわる」で、「老人や子供や弱い人などに同情し、親切・大事にあつかうこと」という意味です。「相手の苦労をいたわる」と「労い」の意味にあるように、「労わる」は類義語の1つと言えます。

\次のページで「その2「労り」」を解説!/

その2「労り」

類義語の1つに「労り」が挙げられます。「労り」と書いて「いたわり」と読み、労わるの連用形です。意味は「いたわること。その気持ち」となり、「労い」の類義語といえます。一般的に、弱い立場にある人に対して、思いやりの気持ちを表す際に使われる言葉という認識が強いでしょう。人に対し用いる際には、さりげない優しさを感じさせる表現方法になります。物の場合には、どれだけ大切に扱っているかを読み手に訴える形です。では、実際に例文も見ていきましょう。

1.妻は、長期間にわたって闘病生活を送る夫を労っています。
2.受験に失敗して落ち込む子どもを家族はそっと労りました。
3.彼は大病を患ってからというもの肝臓を労っています

その3「感謝」

「感謝」とは「ありがたく思って礼をいうこと。心にありがたく感ずること」という意味です。「感謝」を示す対象は、人間だけではありません。日々の小さな出来事から愛らしいペット、自身の運命など、小さなことから大きなことまで、ありがたさを感じるものならすべて対象です。「労い」と意味はかなり近いですが、「労い」と比較して「感謝」は目上の人に対しても使われる事があります。

「労い」の英訳は?

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「労い」を英語で表現する場合、「appreciation」がイメージしやすいでしょう。

「appreciation」

「appreciation」とは「感謝する」という意味がある「appreciate」を名詞化したものになります。「I wish to express my appreciation.(感謝申し上げます)」のように、何かしら感謝するような事をしてもらった際に、使う事がある表現です。こういったフレーズは使い道が多いため、覚えておいて損はありません。実際に例文も見ていきましょう。

1.I cannot express enough my feelings of appreciation.(感謝の気持ちを表しきれない)
2.I cannot express enough my feelings of appreciation.(感謝の気持ちを言葉に表す)
3.I'd like you to have this as a symbol of my appreciation. ; Please take this as a symbol of my appreciation.(感謝の気持ちにあなたにこれを差し上げたいのですが)

\次のページで「「労い」を使いこなそう」を解説!/

「労い」を使いこなそう

この記事では「労い」の意味・使い方・類語などを説明しました。「労い」は「ねぎらい」と読み、「相手の労苦をいたわること」という意味があります。注意点としては、この際の「相手の苦労」とは、相手の「努力」や「骨折り」に対してです。便利な言葉ではありますが、「労い」を目上の人に使う際には、失礼になってしまう場合が多いので注意しましょう。類義語には「労わる」「労り」「感謝」の3つと少し多いですが、きっちり覚えておくことで表現の幅が広がるためおすすめです。

ビジネスシーンでも普段の生活でも、相手の苦労に対してきちんと感謝の気持ちを伝える事は大切になります。「労い」の適切な使用方法をマスターし、仕事などでの活力を与えてあげてください。

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国語言葉の意味

「労い」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「労い」について解説する。

端的に言えば労いの意味は「相手の労苦をいたわること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「労い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「労い」の意味や語源・使い方まとめ

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「労いの言葉をかける」「労をねぎらう」など、「労い」という言葉は社会人生活を送るうえで、よく耳にする言葉です。ビジネスシーンでもよく見聞きする言葉ではありますが、正しい意味を説明できる人は少ないのではないでしょうか。使い方を誤ってしまうと、思わぬ誤解を与えたり、失礼な意味になったりすることもあるのです。正しい意味と使い方を知る事で、安心して使う事が出来ます。それでは早速「労い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「労い」の意味は?

「労い」には、次のような意味があります。

相手の労苦をいたわること。「―の言葉をかける」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「労い」

「労い」とは「相手の苦労をいたわること」という意味です。この場合の「相手の苦労」とは、相手の「努力」や「骨折り」に対してになります。例えば、「すぐ近くの自動販売機でコーヒーを買ってきてくれた部下を労う」というのは、少し大げさな表現だと分かるでしょう。つまり、「労い」という言葉は基本的に「その人物が何かを犠牲(時間やお金、労力)にして努力したり骨折りにした場合」に使います。

「労い」の語源は?

次に「労い」の語源について見ていきましょう。「労い」の語源は、奈良時代の古語である「労ぐ(ねぐ)」だと言い伝えられています。「労ぐ」は、「神の心を鎮め御加護を祈念する」という意味で使われていました。また、相手が行ってくれたことに対する労わりの意を示す場合の言葉としても用いられていたそうです。

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