この記事では「コミットメント」について解説する。

端的に言えばコミットメントの意味は「約束」「参加」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元高校国語科教員のminを呼んです。一緒に「コミットメント」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「コミットメント」の意味や構造・使い方まとめ

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それでは早速「コミットメント」の意味や構造を確認していきましょう。

「コミットメント」の意味は?

辞書によると、「コミットメント」は次のような意味を持っています。

コミットメント【commitment】

1 約束。誓約。公約。確約。

2 かかわり。かかわりあい。関与。介入。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

主にビジネスの現場で用いられやすい「コミットメント」。「約束」と「関与」の2つの意味があることから、文脈に応じて意味を使い分ける必要があります。会社内でいきなりこんな言葉が飛んできたときのために、しっかりと覚えておきたいですね。

「コミットメント」の構造は?

次に「コミットメント」の単語の構造を確認しておきましょう。

「コミットメント(commitment)」は「コミット(commit)」という動詞を名詞化したものです。有名な使用例としては「結果にコミットする」という企業のキャッチコピーがありますが、これは先ほど紹介した「コミットメント」の意味の中にあった「約束する」という意味で解釈できますね。

本来「commit」は幅広い意味で捉えることのできる単語で、日本語で用いられる「約束する」「関与する」の他に、「犯罪を犯す」「委託する」「裁判にかける」などの意味を持つこともあります。抽象的に捉えると「意見や態度を表明する」というニュアンスですので、様々な場面で柔軟に使用されるうちに、解釈の幅が広がっていったのでしょう。

\次のページで「「コミットメント」の使い方・例文」を解説!/

「コミットメント」の使い方・例文

日本で用いられる「コミットメント」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.苦労した末にやっと社長のコミットメントを得ることに成功した。
2.念願だった新規プロジェクトにコミットメントすることになった。
3.一国民として、政治へのコミットメントの意思を明確にする。

「コミットメント」には2つの意味があるため、文脈に応じて意味を判断する必要がありますが、スムーズに判別ができたでしょうか。それでは、1つ1つ確認していきましょう。

1の場合、こちらは「約束」と判断すると意味が理解できますね。会社で通したい企画について、社長からGOサインをもらった場合など、こんな表現を用いることもできます。

では、2のような文章であればどうでしょう。この場合は「関与」の意味で解釈できます。方針や目標に同意して参加していくという意味合いになりますので、この表現を使う以上はしっかりと集団に貢献していくことが求められますね。

最後に3です。こちらも「政治に積極的に参加していく」という意味で「関与」や「介入」という意味で捉えるとスムーズに理解できます。

このように、文脈による意味の使い分けが上手くできるようになれば、「コミットメント」という単語も難しくないはずです。

「コミットメント」の類義語は?違いは?

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コミットメント」から派生した言葉や、似た意味で用いられる言葉も存在しますので、紹介していきます。意味の違いや使う場面の違いに注目してみてください。

1.「コミット」

ほぼ同じ意味で用いられる言葉に「コミット」があります。

英単語の「commit」と「commitment」と同じように、「コミット」は動詞、「コミットメント」は名詞として用いられるのが一般的です。しかし、どちらも「コミットする」「コミットメントする」のように「〜する」と続ければ動詞的に用いることができ、この場合はどちらを使用しても問題ないでしょう。

ただし、名詞的に使用する場合は注意が必要です。例えば「社長の確約が得られた」という例文の場合で考えてみます。この場合の「確約」は名詞的に使われているため「コミット」ではなく「コミットメント」に置き換えるのがベストになりますね。

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2.「フルコミット」

「コミットメント」と同じ「commit」という動詞が元になった言葉です。「フル」という接頭語がついていますので、「コミット」と比べてより「全力で」「全身全霊で」という意味がプラスされます。

重要な場面や、大きな案件を契約する場合などに「フルコミットする」という表現を用いれば、コミットメントに比べて「全身全霊で取り組みます」という意思を表明することができるでしょう。

「コミットメント」の専門的な意味は?

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ここまで確認してきた「コミットメント」の一般的な意味の他に、特定の分野で使用される場合のみに発生する意味なども存在するので、紹介します。

経済学における「コミットメント」

経済学の分野で用いられる場合は、「その行動しかとれないような、具体的な仕組みを作ること」と、これまで見てきた「約束」という一般的な意味を、より具体的に解釈して捉えられます。

よく例として挙げられるのが「価格競争」の事例です。家電量販店などでは、消費者を獲得するために「他社が自社よりも安く売っていたら、同じ価格まで値下げしますよ」というサービスをよく目にします。これは消費者が、「自社で製品を買う」という選択しかできないように、店側が仕組みを作り上げているのです。

こういった店側の行動を、経済学においては「コミットメント」と呼びます。

心理学における「コミットメント効果」

心理学の中でも「コミットメント効果」と呼ばれる用語が存在するので、確認してみましょう。

何か目標を立てて取り組んでいくとき、誰かと「誓約」を結んだり、周りに宣言をして「公約」とすることで、目標の達成率が高まる現象のことを「コミットメント効果」と呼びます。自分の目標を公言することで、行動に対する責任感や、周囲からの支援が生じやすくなり、自分のやる気に繋がるという仕組みだそうです。

経済学での意味と同様、一般的なコミットメントの「約束」の意味を専門的に解釈して用いられていますね。目標に向かってチャレンジする際は、この「コミットメント効果」にあやかってみるのもいいかもしれません。

「コミットメント」の対義語は?

「コミットメント」の動詞系である「コミット」と対になる表現を紹介します。

「コミット」の対義語は「オミット」

「参加する」「約束する」という意味を持つ「コミット」と対になる表現として「オミット」という言葉があります。英単語の「omit」が由来となった表現で、「無視する」「除外する」という意味をもった表現です。

こちらも同じくビジネスシーンでよく使用されます。「この案は企画書からオミットしよう」「こちらの手順はオミットしてもらって問題ありません」などの使用例が挙げられますので、「コミット」の対義語として覚えておきましょう。

\次のページで「「コミットメント」を使いこなそう」を解説!/

「コミットメント」を使いこなそう

この記事では「コミットメント」の意味・使い方・専門的な意味などについて説明しました。

「約束」「関与」という意味だけでなく、そこから派生して様々な分野において専門的な意味を持っているのが、この「コミットメント」の大きな特徴です。一般的な意味はもちろん、今回紹介した経済学、心理学においての意味も理解しておくと、より深い語彙を獲得することに繋がります。

今回紹介した様々な用法を是非覚えておいてくださいね。

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国語言葉の意味

「コミットメント」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「コミットメント」について解説する。

端的に言えばコミットメントの意味は「約束」「参加」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元高校国語科教員のminを呼んです。一緒に「コミットメント」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「コミットメント」の意味や構造・使い方まとめ

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それでは早速「コミットメント」の意味や構造を確認していきましょう。

「コミットメント」の意味は?

辞書によると、「コミットメント」は次のような意味を持っています。

コミットメント【commitment】

1 約束。誓約。公約。確約。

2 かかわり。かかわりあい。関与。介入。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

主にビジネスの現場で用いられやすい「コミットメント」。「約束」と「関与」の2つの意味があることから、文脈に応じて意味を使い分ける必要があります。会社内でいきなりこんな言葉が飛んできたときのために、しっかりと覚えておきたいですね。

「コミットメント」の構造は?

次に「コミットメント」の単語の構造を確認しておきましょう。

「コミットメント(commitment)」は「コミット(commit)」という動詞を名詞化したものです。有名な使用例としては「結果にコミットする」という企業のキャッチコピーがありますが、これは先ほど紹介した「コミットメント」の意味の中にあった「約束する」という意味で解釈できますね。

本来「commit」は幅広い意味で捉えることのできる単語で、日本語で用いられる「約束する」「関与する」の他に、「犯罪を犯す」「委託する」「裁判にかける」などの意味を持つこともあります。抽象的に捉えると「意見や態度を表明する」というニュアンスですので、様々な場面で柔軟に使用されるうちに、解釈の幅が広がっていったのでしょう。

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