この記事では「とんとん拍子」について解説する。

端的に言えば「とんとん拍子」の意味は「物事が早く具合よく進むこと」です。「とんとん」という擬音語が特徴的な言葉ですが、語源もおもしろいぞ。

小学校教諭として言葉の授業を何度もしてきた「こと」と一緒に、「とんとん拍子」の意味や使い方・語源・類語などを見ていこう。

ライター/こと

元小学校教諭のwebライター。先生や子どもたちから「授業が分かりやすい!」との定評があった教育のプロだ。豊富な経験を活かし、どんな言葉も分かりやすく解説していく。

「とんとん拍子(びょうし)」の意味と使い方

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では早速「とんとん拍子」の意味と使い方を見ていきましょう。

「とんとん拍子」の意味は「物事が早く具合よく進むこと」

「とんとん拍子」の意味を辞書で確認します。

物事が順調にはかどること。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「とんとん拍子」

「とんとん拍子」は物事が順調にはかどり、早く具合よく進むことを表しています。「とんとん」は物をたたく時の擬音、あるいは二つのものがほぼ同じであることや、損得がないことの意味があります。「拍子」は具合や調子の意味です。

「とんとん拍子」の使い方を例文で紹介

「とんとん拍子」の使い方を例文で紹介します。

1.営業成績が上がったので、とんとん拍子に昇進することができた。
2.彼女との交際はとんとん拍子に進み、ついに結婚することになった。
3.試合はとんとん拍子に勝ち進み、決勝戦までチーム一丸となって優勝ができた。

このようにいずれの例文も、物事が早く具合よく進むことを表しています。「とんとん」とリズミカルな表現も相まって、順調な様子を擬音的にも表現していますね。

「とんとん拍子」の語源は?

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「とんとん拍子」の語源を探っていきましょう。

「とんとん」は床を踏む音

「とんとん」は擬音語としてよく聞く言葉ですが、「とんとん拍子」の「とんとん」は、舞台で床を踏む音です。師匠の手拍子に合わせて踊る時に、調子よく床を踏む「とんとん」という音。練習を積めばだんだん上手になり、稽古が順調に進んでいくようになります。そこから「続けざまに進行する」「順調に進む」という意味を表すようになりました。 その「とんとん」に、具合や調子の意味を表す「拍子」がついて、「とんとん拍子」となったのです。

「とんとん拍子」は新しい言葉

「とんとん拍子」は比較的新しい言葉で、近世末期頃から見られるようになりました。ですから、江戸時代の終わりごろになりますね。言葉の歴史で考えると、そんなに古くないことが分かります。

「とんとん拍子」の類語

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「とんとん拍子」の類語を見ていきましょう。

「破竹(はちく)の勢い」:猛烈な勢いで進む

まずは「破竹の勢い」です。「猛烈な勢いで進むこと。 また、勢いが盛んで押さえがたいこと。」を意味しています。竹は一節割れ目を入れると、次々に割れて行きますよね。その竹の様子が由来となってできた言葉です。竹のイメージとともに覚えると、覚えやすいですね。

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「順風満帆(じゅんぷうまんぱん)」:物事がすべて順調に運ぶ

次は「順風満帆」です。「順風」は「追い風」の意味で、進む方向に吹く風のこと。「満帆」は帆をいっぱいに張ること、また帆いっぱいに風をはらむことを表しています。 転じて「順風満帆」は、「物事がすべて順調に運ぶこと。 ことが非常にうまく進むこと。」となります。これも、帆に風をいっぱい受けて進んでいく船の様子をイメージすると、物事が順調に進んでいる様子と実によく重なるので、映像とともに覚えるといいでしょう。

「すらすら」「するする」「すいすい」…

他にも「すらすら」「するする」「すいすい」などの繰り返し言葉によって、「とんとん拍子」と同じような意味を表すことができます。わざわざ難しい言葉を使わなくても、このような擬態語でも表現できるので、おもしろいですね。

「とんとん拍子」の対義語

「とんとん拍子」の対義語を見ていきましょう。

「弱り目に祟(たた)り目」:困ったことが重ねて起こる

まずは「弱り目に祟り目」ということわざです。困っている時に、さらに追い打ちをかけるように困ったことが重ねて起こることのたとえとして使われる言葉。 非常に困った状況で、さらに悪いことが起こると、まるで何かが祟ったかのように感じられます。 「弱り目」は弱った状態、 「祟り目」は災いに遭ったこと、それを語呂を合わせて言ったものです。

「泣きっ面に蜂」:悪いことが重なる

次に「泣きっ面に蜂」です。これも、ことわざですね。悪いことが重なること、不幸な上にさらに辛いことが加わることのたとえとして使われる言葉です。泣いている時に顔を蜂に刺されて、いっそう辛い思いをする状況を表しているところが由来になっています。

「とんとん拍子」の英語表現

「とんとん拍子」を英語で表すと「without a hitch」があります。「hitch」は名詞で「障害・支障」という意味。よって「障害がない」という意味になるのです。

また、副詞で「smoothly」「swimmingly」もあります。「スムーズに」や「すらすらと」という意味なので、「とんとん拍子」を表現することができますね。

\次のページで「「とんとん拍子」な時ほど気を付けたいこと」を解説!/

「とんとん拍子」な時ほど気を付けたいこと

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これまで「とんとん拍子」という言葉について解説してきました。ここで少し、物事が「とんとん拍子」に進んでいる時ほど気を付けたいことを考えてみたいと思います。いい状態ばかりが続くことは、正直言ってあり得ません。良い時ほど、気持ちを引き締めたいものです。

うまくいった理由を考える

まずは、うまくいった理由を考えることです。人は、失敗した時には「どうしてこうなってしまったんだろう。」と振り返ることが自然とできます。しかし、うまくいった時はなかなかそれをしません。うまくいけば、それでオッケーになってしまうんですね。そんな時ほど、うまくいった理由をきちんと考えおく。そうすると、今回の成功がまぐれだったのか、何か裏付けがあるのか、多少なりとも知ることができます。きっとそれは、次の成功にもつながるでしょう。

信用と健康を大切にする

もう一つ気を付けてほしいのは、信用と健康を大切にすることです。「とんとん拍子」な時でも調子に乗らず、人の信用を裏切らないこと。信用を失うのは一瞬ですから、うまく物事が進んでいる時ほど気を付けたいものです。また、調子がいい時はつい「もっともっと」という気持ちになって、無理をしがち。何事も健康あってのことですから、気を付けてくださいね。

「とんとん拍子」でなくてもラッキー?

この記事では「とんとん拍子」の意味や使い方・類語・対義語などを説明しました。「とんとん拍子」には「物事が早く具合よく進むこと」という意味がありましたね。おもしろい響きの言葉ですが、その音の語源もはっきりしていて納得できました。

さて、人生にはさまざまことが起こります。何事も「とんとん拍子」に進めばうれしい気もしますが、実際はどうでしょうか。「とんとん拍子」だけの人生では、もしかしたら学ぶことや成長できる機会も少ないかもしれません。人は何か困難にぶつかり、悩み、それを乗り越えた時に大きくステップアップできると思います。「とんとん拍子」でなくでも、それは逆にラッキーなことかもしれませんね。また傍から見れば「とんとん拍子」な人でも、実は陰で途方もない努力をしていることもあります。

何をもって「とんとん拍子」と言えるかは、実際のところ非常に難しいのかもしれません。

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国語言葉の意味

「とんとん拍子」の「とんとん」って?意味や使い方・語源・類語・対義語などを元小学校教諭がわかりやすく解説

「順風満帆(じゅんぷうまんぱん)」:物事がすべて順調に運ぶ

次は「順風満帆」です。「順風」は「追い風」の意味で、進む方向に吹く風のこと。「満帆」は帆をいっぱいに張ること、また帆いっぱいに風をはらむことを表しています。 転じて「順風満帆」は、「物事がすべて順調に運ぶこと。 ことが非常にうまく進むこと。」となります。これも、帆に風をいっぱい受けて進んでいく船の様子をイメージすると、物事が順調に進んでいる様子と実によく重なるので、映像とともに覚えるといいでしょう。

「すらすら」「するする」「すいすい」…

他にも「すらすら」「するする」「すいすい」などの繰り返し言葉によって、「とんとん拍子」と同じような意味を表すことができます。わざわざ難しい言葉を使わなくても、このような擬態語でも表現できるので、おもしろいですね。

「とんとん拍子」の対義語

「とんとん拍子」の対義語を見ていきましょう。

「弱り目に祟(たた)り目」:困ったことが重ねて起こる

まずは「弱り目に祟り目」ということわざです。困っている時に、さらに追い打ちをかけるように困ったことが重ねて起こることのたとえとして使われる言葉。 非常に困った状況で、さらに悪いことが起こると、まるで何かが祟ったかのように感じられます。 「弱り目」は弱った状態、 「祟り目」は災いに遭ったこと、それを語呂を合わせて言ったものです。

「泣きっ面に蜂」:悪いことが重なる

次に「泣きっ面に蜂」です。これも、ことわざですね。悪いことが重なること、不幸な上にさらに辛いことが加わることのたとえとして使われる言葉です。泣いている時に顔を蜂に刺されて、いっそう辛い思いをする状況を表しているところが由来になっています。

「とんとん拍子」の英語表現

「とんとん拍子」を英語で表すと「without a hitch」があります。「hitch」は名詞で「障害・支障」という意味。よって「障害がない」という意味になるのです。

また、副詞で「smoothly」「swimmingly」もあります。「スムーズに」や「すらすらと」という意味なので、「とんとん拍子」を表現することができますね。

\次のページで「「とんとん拍子」な時ほど気を付けたいこと」を解説!/

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