この記事では「言質」について解説する。

端的に言えば言質の意味は「後々証拠になる言葉」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国文学専攻の大学を卒業し、日本語教師の資格を持つasukaを呼んです。一緒に「言質」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/asuka

国文学専攻の大学を卒業。日本文学や日本語学を学ぶうちに、言葉が持つ意味の奥深さに魅了され、在学中に日本語教師の養成講座を修了する。これまで学んだこと、経験を活かし丁寧に解説していく。

「言質」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは「言質」という言葉を知っていますか。「言質」と書いて「げんち」と読みます。日常生活を送る上で、なかなか聞くことも書くことも少ない言葉なのではないでしょうか。この記事では「言質」について解説しますので、一緒に「言質」という言葉について理解を深めましょう。

「言質」の意味は?

それでは早速「言質」という言葉の意味について確認しましょう。「言質」と辞書を使用して調べると次のような表記がありました。

《「ち」は人質や抵当の意》のちの証拠となる言葉。ことばじち。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「言質」

ここで辞書に表記があった内容について、もう少し細かく見ていきましょう。「ことばじち」とは漢字で表記すると「言葉質」となり「人の言ったことを後の証拠として取っておくこと」を意味します。これだけでは、なかなか言葉の意味をイメージすることが難しいかもしれませんね。更に解説を進めます。

「言質」の語源は?

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次に「言質」の語源を確認しておきましょう。「言質」という言葉を見てみると「言」と「質」という語に分けられますね。それぞれの語に分けて意味を確認していきます。

「言」とは「げん」の他に「ごん」「こと」「いう」という読み方もできますね。「言」は読み方によって意味が異なる言葉ですのでこの記事では「言(げん)」の意味について記します。「言(げん)」とは「ものを言うこと」や「言った言葉」という意味です。つまり「言」という漢字一文字で「言った言葉」という意味があるということですね。

続いて「質」という漢字について見ていきましょう。「質」とは「しつ」「しち」「ち」という読み方や「たち」という読み方もできますね。「質」は「ものを成り立たせている中身」という意味や「生まれつき」という意味など「言」と同様に様々な意味があります。しかしここで言う「言質」の「質(ち)」は「約束のしるしとして相手に預けておくもの」という意味です。このような「言」と「質」という漢字が合わさって「証拠となる言葉」と言う意味の「言質」が成り立ったと考えられます。

\次のページで「「言質」の使い方・例文」を解説!/

「言質」の使い方・例文

ここまで「言質」という言葉について意味や語源を説明してきました。続いて「言質」について例文を用いながら使い方を解説しますので一緒に見ていきましょう。例えば「言質」は以下のように使用できます。

1.今回のプロジェクトについて先方が了承したという言質を取った。
2.新しいコンセプトの事業を進めるにあたって、取引先と交渉する時は相手の言質を取るように上司に言われている。
3.交渉が難航していた取引に言質を取ろうと思って臨んだが、かえって相手に言質を与えてしまった。

上記の例文1から3は全てビジネスシーンで「言質」という言葉が使用されていますね。「言質」とは日常会話ではあまり使用しません。ビジネスや政治など公的な場面で使用されることがほとんどでしょう。これを踏まえた上で、上記の例文についてひとつずつ見ていきましょう。

例文1では「言質を取る」という表現が使用されています「言質を取る」とは取引や交渉事で相手から後に証拠となる言葉を引き出すという意味です。例文1の内容を見るに相手から後々証拠となる言葉を引き出せた様子を伺うことができます。

例文2でも例文1と同じく「言質を取る」という表現が使用されていますね。取引相手から後に証拠となる言葉を引き出して欲しいと上司に指示された様子が伺えます。ビジネスシーンに限らず会話で取引や交渉をしている場合、証拠が残りにくいです。相手から言質を取ることは重要ですと言えるでしょう。

例文3では「言質を与える」という表現が使用されています。「言質を与える」とは後に証拠となってしまう言葉を相手に与えてしまうということです。この意味を頭に置きながら例文3の内容を見ていくと「なかなか交渉成立にならない取引で言質を取ろうとしたが、かえって相手に後に証拠となる言葉を与えてしまった」という意味になります。

「言質」の類義語は?違いは?

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続いて「言質」の類義語について説明します。「言質」の類義語には一体どのような言葉があるのでしょうか。一緒に確認しましょう。

その1「証言(しょうげん)」

「証言」とは「ある事柄の証明となるように、体験した事実を話すこと」「法廷などで証人が供述すること」という二つの意味がある言葉です。例えば「友人の汚名を晴らすために全て証言する」「夕方一緒にいたことを証言して欲しいと友人から頼まれた」というように使用することができます。

\次のページで「その2「口約束(くちやくそく)」」を解説!/

その2「口約束(くちやくそく)」

「口約束」とは「言葉で約束をすること」を意味する言葉です。例えば「口約束で契約が成立となってしまったが、文書を作ってないからこのまま契約破棄にならないか不安だ」というように使用できます。

「言質」の対義語は?

最後に「言質」の対義語について解説したいところですが、残念ながら「言質」に明確な対義語はありませんしかし「後に証拠となる言葉」と意味から「証拠とならない発言」が対義語として連想できるのではないでしょうか。これは言葉そのものという意味ではありません。例えばビジネスシーンにおいて、アルバイトやパート、派遣社員や平社員など「その取引において契約を結ぶ権利がない人の発言」が「証拠とならない発言」に価するのではないかと考えられます。つまり、その人の「立場」の問題ということですね。

「言質」を使いこなそう

この記事では「言質」の意味・使い方・類語などを説明しました。「言質」という言葉について理解を深めることはできましたか。簡単におさらいすると「言質」とは「げんち」と読み「後に証拠となる言葉」という意味を持つ言葉でしたね。特にビジネスや政治などフォーマルな場面で使用することが多い言葉でした。ここまでお読みいただきありがとうございました。この記事を通して、皆さんの学習のお手伝いができれば幸いに思います。

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「言質」の意味や使い方は?例文や類語を国文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

その2「口約束(くちやくそく)」

「口約束」とは「言葉で約束をすること」を意味する言葉です。例えば「口約束で契約が成立となってしまったが、文書を作ってないからこのまま契約破棄にならないか不安だ」というように使用できます。

「言質」の対義語は?

最後に「言質」の対義語について解説したいところですが、残念ながら「言質」に明確な対義語はありませんしかし「後に証拠となる言葉」と意味から「証拠とならない発言」が対義語として連想できるのではないでしょうか。これは言葉そのものという意味ではありません。例えばビジネスシーンにおいて、アルバイトやパート、派遣社員や平社員など「その取引において契約を結ぶ権利がない人の発言」が「証拠とならない発言」に価するのではないかと考えられます。つまり、その人の「立場」の問題ということですね。

「言質」を使いこなそう

この記事では「言質」の意味・使い方・類語などを説明しました。「言質」という言葉について理解を深めることはできましたか。簡単におさらいすると「言質」とは「げんち」と読み「後に証拠となる言葉」という意味を持つ言葉でしたね。特にビジネスや政治などフォーマルな場面で使用することが多い言葉でした。ここまでお読みいただきありがとうございました。この記事を通して、皆さんの学習のお手伝いができれば幸いに思います。

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