この記事では「ユーティリティ」について解説する。

端的に言えば、ユーティリティの意味は「役に立つこと」ですが、ゴルフ、パソコン、住宅など多様なシーンで使われている。それぞれの意味と使い方を覚えておくと、より幅広いシーンで使いこなせるようになるぞ。

日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。一緒に「ユーティリティ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「ユーティリティ」の意味はたくさんある!

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「ユーティリティ」という言葉をご存じでしょうか。ゴルフが趣味の人だったらご存じでしょうし、マイホームを計画中の人は聞いたことがあるかもしれません。実は「ユーティリティ」は、いろいろなところで使われているのです。

「ユーティリティ」の基本的な意味

まずは、辞書で「ユーティリティ」の意味を調べてみましょう。

1 役に立つこと。有益なもの。「ユーティリティーカー」
2 《「ユーティリティールーム」の略》住宅などで、洗濯機・乾燥機・アイロンなどの作業のための設備をまとめて設置した部屋。
3 「ユーティリティープログラム」の略。
4 《「ユーティリティークラブ」の略》ゴルフで、ヘッド(頭部)の形状やシャフト(柄)の長さが、フェアウエーウッドとアイアンの中間の形をしたクラブ。UT。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ユーティリティー」

「ユーティリティ」は、国語辞典によっては「ユーティリティー」と表記されている場合もあります。一番元になる意味は「役に立つこと」「有益なもの」。また「実用的なもの」という意味もあります。意味に変わりはないのですが、スポーツやパソコン、住宅など、ジャンルに特化して使われている場合があるので、それぞれを見ていきましょう。

スポーツの「ユーティリティ」

ゴルフには「ユーティリティ」という名前のゴルフクラブがあります。歴史はまだ浅く、1980年代に発明されました。形はフェアウエーウッドとアイアンの中間で、ロングアイアンより打ちやすいので、使うゴルファーが増えています。また、野球やサッカーなどで、どのポジションでも高いレベルでこなせる選手「ユーティリティプレイヤー」です。日本語で言うと「万能選手」といったところでしょう。

\次のページで「コンピューターの「ユーティリティ」」を解説!/

コンピューターの「ユーティリティ」

コンピューターの分野でも「ユーティリティ」という言葉は使われていますよ。コンピューターのOSの機能や操作性を改善するためのソフトウエア全般のことを「ユーティリティソフト」というのです。アプリケーションソフトが利用の直接の目的であるのに対し、「ユーティリティソフト」はコンピューターを使いやすくするための補助的な機能を持っています。

住宅の「ユーティリティ」

住宅にも「ユーティリティ」があるのをご存じですか?家事をする場所のことを「ユーティリティルーム」とか「ユーティリティスペース」と言います。日本語で言うと「家事室」です。

住宅展示場を見学すると、よくキッチンや洗面所の横に配置されていますね。洗濯機や乾燥機、アイロン台を置いてランドリースペースとして利用したり、食料品を貯蔵できるパントリーにしたり、家事全般について多目的に利用できる部屋のことを指します。

工場・プラントの「ユーティリティ」

工場の「ユーティリティ」は、「ユーティリティ設備」または「用役設備」と呼ばれています。「ユーティリティ設備」は、水、電気、空気、燃料などを供給する設備のことで、プラントが稼働するのに不可欠なライフラインです。

「ユーティリティ」の語源と使い方

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次に「ユーティリティ」の語源と例文を見てみましょう。

「ユーティリティ」の語源は?

「ユーティリティ」の語源は英語の「utility」です。辞書で意味を見てみましょう。

\次のページで「「ユーティリティ」の例文」を解説!/

名詞
1a  不可算名詞  効用,有用,有益,実利,功利(性).
b 可算名詞   [しばしば複数形で] 役に立つもの.
2 可算名詞   [しばしば複数形で] 公益事業[企業](体) 《鉄道・バス・ガス・電気・水道事業など》.
形容詞(限定用法の形容詞)
1 〈商品が〉実用的な,実用本位の.
2 種々の用途をもつ,いろいろに使える.
3 〈野球選手など〉いろいろなポジションをこなせる,万能の.

出典:新英和中辞典(研究社)「utility」

「utility」「有益なもの」「役に立つもの」という意味以外に、鉄道、バス、ガス、電気などの「公益事業」の意味でも使われます。名詞として使われる場合もありますし、特定の名詞にかかる限定用法の形容詞としても使われていますよ。

「ユーティリティ」の例文

次に、例文を見てみましょう。

1.彼女は、住宅展示場のモデルハウスで見たユーティリティスペースがとても気に入ったようだ。家事の作業が楽になるから、新築するマイホームに絶対に取り入れたいと言っている。
2.わが社は、ロケットの発射に必要な燃料用の液体水素を製造している。液体水素プラントのユーティリティ設備の管理が私の仕事だ。
3.あの国は核弾頭を搭載したミサイルの開発に余念がない。電力供給という国民生活に欠かせないユーティリティが不安定だというのに、それでよいのだろうか。

1.は住宅用語の「ユーティリティ」を使った例文です。2.はプラントで使用する「ユーティリティ設備」の例文ですね。3.の例文では、公益事業、インフラと同じ意味合いで使われています。

\次のページで「「ユーティリティ」の類義語は?反対語は?」を解説!/

「ユーティリティ」の類義語は?反対語は?

次は、「ユーティリティ」の類義語と反対語を見てみましょう。

類義語「オールラウンド」「オールマイティ」

万能選手という意味の類義語として「オールラウンド」があります。「オールラウンド」は、どの技術でもまんべんなくこなせる万能な人のこと。「オールラウンドプレイヤー」という使い方をしますね。また、特定の分野だけでなく幅広い分野の知識を持っていることをいいます。また、「オールマイティ」「万能の」という意味です。

反対語「スペシャリスト」

「ユーティリティプレイヤー」が、どの技術もまんべんなくこなせる選手だとすると、反対語としては「スペシャリスト」があります。「スペシャリスト」は仕事の範囲や活動の領域を特定し、その分野についての専門性の高い知識と高度な技術を持った人のこと。例えば、体操競技では特定の種目に強い選手のことを「床のスペシャリスト」などと、表現されています。

大見出し「ユーティリティ」の英訳は?

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次に「ユーティリティ」の英訳を見てみましょう。「ユーティリティ」は英語で「utility」、複数では「utilities」です。「a utility car」実用車「a utility man」万能選手、「a thing of no utility」は役に立たないもの、無益なものという意味ですね。

英語の「utility」には、公共事業などの意味もあり、「public utility」公益事業、「the cost of utility」公共料金という意味になります。

多様な場面で「ユーティリティー」を使いこなそう!

この記事では、「ユーティリティ」についての意味、語源、類義語から英訳などを説明しました。

「ユーティリティ」の基本の意味は「役に立つこと」「有益なもの」です。それ以外にもスポーツ、コンピュータ―ソフト、住宅設備など多様な分野で特化して使われています。英語では公共事業などの意味もありましたね。

たくさんの使い方を知って、「ユーティリティ」を万能に使いこなせるようになってくださいね。

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国語言葉の意味

ゴルフだけじゃない!「ユーティリティ」の多様な意味・例文・類義語などを日本放送作家協会会員がわかりやすく解説

この記事では「ユーティリティ」について解説する。

端的に言えば、ユーティリティの意味は「役に立つこと」ですが、ゴルフ、パソコン、住宅など多様なシーンで使われている。それぞれの意味と使い方を覚えておくと、より幅広いシーンで使いこなせるようになるぞ。

日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。一緒に「ユーティリティ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「ユーティリティ」の意味はたくさんある!

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「ユーティリティ」という言葉をご存じでしょうか。ゴルフが趣味の人だったらご存じでしょうし、マイホームを計画中の人は聞いたことがあるかもしれません。実は「ユーティリティ」は、いろいろなところで使われているのです。

「ユーティリティ」の基本的な意味

まずは、辞書で「ユーティリティ」の意味を調べてみましょう。

1 役に立つこと。有益なもの。「ユーティリティーカー」
2 《「ユーティリティールーム」の略》住宅などで、洗濯機・乾燥機・アイロンなどの作業のための設備をまとめて設置した部屋。
3 「ユーティリティープログラム」の略。
4 《「ユーティリティークラブ」の略》ゴルフで、ヘッド(頭部)の形状やシャフト(柄)の長さが、フェアウエーウッドとアイアンの中間の形をしたクラブ。UT。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ユーティリティー」

「ユーティリティ」は、国語辞典によっては「ユーティリティー」と表記されている場合もあります。一番元になる意味は「役に立つこと」「有益なもの」。また「実用的なもの」という意味もあります。意味に変わりはないのですが、スポーツやパソコン、住宅など、ジャンルに特化して使われている場合があるので、それぞれを見ていきましょう。

スポーツの「ユーティリティ」

ゴルフには「ユーティリティ」という名前のゴルフクラブがあります。歴史はまだ浅く、1980年代に発明されました。形はフェアウエーウッドとアイアンの中間で、ロングアイアンより打ちやすいので、使うゴルファーが増えています。また、野球やサッカーなどで、どのポジションでも高いレベルでこなせる選手「ユーティリティプレイヤー」です。日本語で言うと「万能選手」といったところでしょう。

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