この記事では「粗相」について解説する。

端的に言えば「粗相」の意味は「あやまちをおかすこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「粗相」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文化系。読書量に比例する文章力で日本語をわかりやすく解説していく。

「粗相」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「粗相」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「粗相」の意味は?

「粗相」には、次のような意味があります。

1.不注意や軽率さから過ちを犯すこと。また、その過ち。
2.大便や小便を漏らすこと。
3.粗末なこと。粗略なこと。また、そのさま。
4.軽薄であること。そこつなこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「粗相」

注意不足で失敗をして人に迷惑をかけてしまった経験は、その規模に関わらず誰しも一度はしたことがあるのではないでしょうか。「粗相」はそのような自分の失敗や自分の管理不足によっておこる失敗を指す言葉です。子供や犬などが公的な場所でお漏らしをしてしまうのを防げなかった場面などでもよく耳にしますよね。

このように「粗相」は、自分の注意不足や失敗をへりくだって伝える表現です。反省や羞恥心、申し訳ないという気持ちも含んでいるということになります。自分の過失に対して「粗相してしまった」用いるのが一般的で、人に対して用いる場合には目上の人やお客さんなど社会的に上の立場の人には用いないので注意が必要です。

「粗相」の語源は?

次に「粗相」の語源を確認しておきましょう。

「粗相」の語源は仏教語の「麁相(そそう)」です。「麁相」とは、人間の生涯における「生」・「住」・「老」・「死」を意味するもの。この「麁相」には人間の弱い部分も沢山あることから、弱みの種となる軽率な行動や過ちという意味で用いられるようになりました。多少無理のある説ですが、このほかに「粗相」の語源の説はないので、この説が有力であるといっていいでしょう。

意味が変化していく過程で「麁」が粗っぽさや向け目を意味する「粗」という漢字に変化し、現在の「粗相」という言葉になったということですね。

\次のページで「「粗相」の使い方・例文」を解説!/

「粗相」の使い方・例文

「粗相」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.飲み会のゲームでミスを連発してコールで一気飲みを何度もした結果、通勤ラッシュの満員電車で粗相してしまった自分をトイレまで連れて行って看病してくれた相手には謝罪してもしきれない。


2.贔屓にしていただいている取引先からご紹介を受けたお客様なので、粗相のないように対応してください。


3.今回開催されたイベントで、大人数の前で失態を晒す粗相をしてしまったことが原因で今まで築き上げてきた信頼が簡単に消えてしまった。

「粗相」とは、人前で自分の醜態や失態をさらすということです。自分の失敗をへりくだって打ち明けるときや、上司、雇用主などの目上の人から指示を受ける場合などに用いられるということがわかります。

「粗相」は小さなことや親しい間柄で起これば大した問題ではないですが、公共の場や職場では一回でもしてしまえば信頼を失うという致命的なミスにつながるものです。経験不足から生じる失敗と、自分の確認不足や不注意から生じる「粗相」とではミスの重みが違いますよね。「粗相」で信頼を失わないように、仕事を丁寧に行い、公共の場ではマナーを守って気を引き締める必要があります。

また、例文のような自分の失敗だけでなく「犬は飼い主の留守中にわざと粗相をする」や「子供の粗相は仕方がない」など、自分の管理下における立場の弱いものがしてしまう失態に対しても用いることができる表現です。

「粗相」の類義語は?違いは?

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「粗相」は自分の注意不足から生じる失態のことを表現する言葉でした。

次は「粗相」の類義語とその使い分けを見ていきましょう。

「失態」

「粗相」の類義語はこれまで文中にも何度かでてきた「失態」です。

「失態」は、恥ずかしい失敗をすることを表現する言葉。確認不足や注意不足から生じる「粗相」も恥ずかしくみじめなものですよね。よって「粗相」と「失態」は失敗の中でも同じような部類のものを指すことがわかります。しかし言葉自体でお漏らしを表現できる「粗相」と違って「失態」は、人の笑いものになるような失敗をして面目を失うという大まかな枠組みの話なので、それ自体だけでお漏らしを表現することはありません。

「粗相」の重要な意味の一つであるお漏らしを表現する類義語はほかにあるので、見ていきましょう。

\次のページで「「失禁」」を解説!/

「失禁」

「粗相」の中でも特殊な意味の一つである「お漏らし」には、単体の類義語が存在します。

大小便を抑制できずに漏らすことを表現する、「失禁」です。「失禁」は排泄物を自分の意思でコントロール出来ずに予期せぬ場面で排泄してしまうことを意味するので、「粗相」で表現した子供やペットのお漏らしと意味が類似している事がわかりますね。子供やペットなどのヘマや失敗に対して日常的に用いられる「粗相」に対して「失禁」は医療用語として用いられる事が大半です。従って予期せぬ排泄が単なる失敗の場合は「粗相」病気が関与している場合は「失禁」というように使い分ける必要があります。

「粗相」の対義語は?

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「粗相」は自分の不注意は大雑把から生じる失敗を指す言葉でした。

では「粗相」の反対の意味を指す言葉はどのようなものなのでしょうか。早速「粗相」の対義語を見ていきましょう。

「慎重」

不注意や管理不足、大雑把が原因となり人前で恥をかくという「粗相」の対義語は、「慎重」です。

「慎重」は大事をとって、軽々しく行動したり重要な決断をしないことを表現します。行動を起こしたり何かを決断する際に、よく考えるという事ですね。人の失敗やヘマは、大体が焦りや注意不足から生じるものです。「慎重」な人というのは、常に物事を俯瞰して落ち着いて考えてから行動するので失敗して人に迷惑をかけることは少ないですよね。仕事での様子を思い出していただけるとわかりやすいと思います。仕事に慣れていない新人は焦って手一杯になりミスが多いですが、何年もいるベテランさんは相当な緊急事態がない限り焦りを見せることはないですよね。心に余裕が生まれて、大事な場面で慎重に行動する事ができるからです。

「粗相」をしないように、何事にも「慎重」に取り組む事ができるようになりたいものですね。

「粗相」を使いこなそう

この記事では「粗相」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「粗相」という言葉は、日常的にもビジネスシーンでもよく目にする言葉ですが、意味を深く理解する機会は少ないのではないでしょうか。なんとなく意味を理解しただけで相応しくない場面で用いてしまってはそれこそ「粗相」になってしまうので、この機会に意味をよく理解して、正しく使いこなしてみてくださいね。

「粗相」を繰り返して信頼を失わないように、慣れていない物事を最初にするときは「慎重」にすることを意識してみると良いですね。

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国語言葉の意味

「粗相」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「粗相」について解説する。

端的に言えば「粗相」の意味は「あやまちをおかすこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「粗相」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文化系。読書量に比例する文章力で日本語をわかりやすく解説していく。

「粗相」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「粗相」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「粗相」の意味は?

「粗相」には、次のような意味があります。

1.不注意や軽率さから過ちを犯すこと。また、その過ち。
2.大便や小便を漏らすこと。
3.粗末なこと。粗略なこと。また、そのさま。
4.軽薄であること。そこつなこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「粗相」

注意不足で失敗をして人に迷惑をかけてしまった経験は、その規模に関わらず誰しも一度はしたことがあるのではないでしょうか。「粗相」はそのような自分の失敗や自分の管理不足によっておこる失敗を指す言葉です。子供や犬などが公的な場所でお漏らしをしてしまうのを防げなかった場面などでもよく耳にしますよね。

このように「粗相」は、自分の注意不足や失敗をへりくだって伝える表現です。反省や羞恥心、申し訳ないという気持ちも含んでいるということになります。自分の過失に対して「粗相してしまった」用いるのが一般的で、人に対して用いる場合には目上の人やお客さんなど社会的に上の立場の人には用いないので注意が必要です。

「粗相」の語源は?

次に「粗相」の語源を確認しておきましょう。

「粗相」の語源は仏教語の「麁相(そそう)」です。「麁相」とは、人間の生涯における「生」・「住」・「老」・「死」を意味するもの。この「麁相」には人間の弱い部分も沢山あることから、弱みの種となる軽率な行動や過ちという意味で用いられるようになりました。多少無理のある説ですが、このほかに「粗相」の語源の説はないので、この説が有力であるといっていいでしょう。

意味が変化していく過程で「麁」が粗っぽさや向け目を意味する「粗」という漢字に変化し、現在の「粗相」という言葉になったということですね。

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