
「パラドクス」の使い方・例文
「パラドクス」は具体的な例を見ながら考えた方が分かりやすいですよ。いくつか例文を確認してみましょう。
1.パラドクスの代表的なものは「急がば回れ」「負けるが勝ち」ということわざだ。
2.今日の上司の話は、パラドクスのようで理解できなかった。
3.パラドクスの例は非常に興味深いが、すべて理解しようとするととても頭を使う。
例文1は「パラドクス」を用いたことわざに言及しています。「急がば回れ」とは、考えてみればおかしな話ですよね。急いでいるならば、走るなりした方が良いはずです。「負けるが勝ち」も同様、負けているのに勝っていると表現するとは、逆説的ですね。このように一見矛盾しているように見えても理屈が通っているストーリーのことを「パラドクス」といいます。
例文2は上司への皮肉が込められているかもしれません。上司の話が矛盾だらけだったり、筋道が通っていなかったりして実質的にわからなかったという意味です。「お話がよくわかりません」だと角が立ちますが、「パラドクスのようだった」というと柔らかい表現に感じられますね。
例文3は「パラドクス」の奥深さに感じ入っている表現です。確かに「パラドクス」には興味深い事例があります。「パラドクス」の例を2つご紹介しましょう。
パラドクスの例(1)「アキレスとカメ」
うさぎとカメの競争を思い浮かべてください。
まずカメが出発しました。うさぎも後から追いかけます。この場合、うさぎがどんなに必死に追いつこうと頑張っても、カメとの差は縮まりはしても決して追い越すことは不可能だというパラドクスです(もちろん、現実では追い抜かせますよ)。
なぜならば、うさぎが1秒前にカメがいた地点に到達しても、カメはすでに1秒分前進していることになるからです。0.5秒前にいた地点に到達しても、カメは0.5秒分前に進んでいます。このように両者の差は0に限りなく近づくけれども、決して0にはならないという話です。
おかしな話だとは思いますが、ではおかしな点を論理的に明らかにせよといわれると難しいですよね。
パラドクスの例(2)「タイムパラドックス」
ある人が、「自分がこの世に誕生する前に母親を殺すと、どうなるか?」と考えたとします。物騒な話ですが、お話なのでお付き合いください。過去において母親の存在がなくなるということは、子ども、つまり自分が産まれないということになります。
しかしそれでは、母親も殺されることはなくなりますよね。この矛盾が「タイムパラドックス」の一例です。
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