この記事では「配慮」について解説する。

端的に言えば配慮の意味は「心づかい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「配慮」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在はアメリカで子育て中につきさらに日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「配慮」の意味や語源・使い方まとめ

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「配慮」は「はいりょ」と読みます。日常生活やビジネスシーンでよく目にすることがありますね。どんな意味を持っているのでしょうか。

それでは早速「配慮」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「配慮」の意味は?

まず初めに「配慮」の意味を辞書で確認してみましょう。「配慮」には、次のような意味があります。

心をくばること。心づかい。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「配慮」

「配慮」とは、事情をふまえて、気づかいのこもった取り計らいをすることを意味する言葉です。主に文章や改まった会話で使われることの多い、少し硬い言葉ですね。相手をおもんぱかり、気づかいを行き渡らせるという意味を持っています。

「配慮」は、「配慮する」のように動詞として使うこともできますよ。この場合「~に」「~を」「~へ」を使って対象となる人物や物(例「環境に配慮する」)や、くむべき事情や観点(例「相手の立場を配慮する」)を指し示します。

「配慮が足りず」などと言えば自分のことに使うことができますし、頭に「ご」をつけて「ご配慮いただきありがとうございます」とすれば敬語として使えることも覚えておきましょう。「ご配慮ください」と相手に注意を促す時にも使える言葉です。

「配慮」の語源は?

次に「配慮」の語源を確認しておきましょう。

漢字の「」には「くばる」という意味、「」は「おもんぱかる、考えをめぐらせる」という意味があります。二つを合わせて「考えをめぐらせてくばる」、つまり「心をくばる」「気づかいを行き渡らせる」という意味の言葉となりました。

\次のページで「「配慮」の使い方・例文」を解説!/

「配慮」の使い方・例文

実際にはどんな風に使われるでしょうか。「配慮」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.サステナビリティは「持続可能性」を意味し、自然環境に配慮した社会活動について考えるときによく登場するキーワードです。
2.お取引先の状況にまでご配慮くださり、最適なご提案をいただきましたことに心より感謝申し上げます。
3.受講者のみなさまにおかれましては、配布資料の内容にご配慮いただきますようお願い申し上げます。

例文1は、「~に」で対象となるものを示す動詞の形で使った例です。「相手の気持ちに配慮して」「立場の違いを配慮して」など、いろいろな風に使うことができます。

例文2は、「ご」をつけて敬語として使われている例です。ビジネスシーンでよく登場する言い回しですね。目上の人やお世話になっている人へ、気づかいや心配りに対しての感謝の気持ちを伝えたいとき、こうして丁寧な表現ができるとさらにあなたの気持ちを具体的に伝えることができるでしょう。

例文3は、注意を促す場合の使い方です。「資料の内容に従ってください」といったような強い命令的な言い方ではなく、気を配って注意していただきたいと行動の抑制を謙虚にお願いしたい場合に最適な表現になります。

「配慮」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「配慮」の類義語について見ていきましょう。

「心配り」

「心配り」とは「あれこれと気をつかうこと」という意味です。「配慮」が深く考えて気を配ることであるのに対して、「心配り」は相手のためによいようにと思いやりの心を働かせることを言います。他人に対する優しさや思いやりのある配慮に対して使われる言葉です。「温かい心配り」などと使います。

\次のページで「その1「気づかい」」を解説!/

その1「気づかい」

「気づかい」は「気遣い」と漢字で書くこともできますよ。「あれこれと気をつかうこと」という意味とともに、「よくないことが起こるおそれ」というように「心配」や「懸念」の意味も持っています。「人に怪しまれる気づかいはない」というように使うこともあるのです。「どうぞお気づかいなく」といった使い方が一般的ですね。心を配る「配慮」と比べて、その場の状況に応じて相手のことを思いやって行動する場合に使われます。

その2「考慮」

「考慮」は「こうりょ」と読みます。「さまざまな物事に思いをめぐらせて考えること」という意味です。物事を色々な要素を含めて考えること、判断や行動に移す前に様々なことを考え合わせることを表します。他人への心配りを意味する「配慮」に対して、「考慮」は自分でしっかり考えることを指しており、意味合いに違いがあるのです。

「配慮」の対義語は?

続いて、「配慮」の対義語にはどんなものがあるか見てみましょう。

その1「無神経」

「無神経」は「感覚が鈍いこと」という意味とともに、「恥や外聞、他人の気持ちなどを気にしないこと」という意味を持っています。相手の気持ちを考えずに行動することを表しており、まさに「配慮」とは逆の意味をもつことがわかりますね。

その2「辛辣」

「辛辣」は「しんらつ」と読みます。「言うことや他に与える批評の、きわめて手きびしいさま」を表す言葉です。「舌をひりひりさせるほどからい」からこの言葉が生まれました。相手をおもんぱかる温かい言葉である「配慮」とは正反対のひりひりと厳しい言葉ですね。

「配慮」の英訳は?

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「配慮」の英訳を見てみましょう。

\次のページで「その1「consideration」」を解説!/

その1「consideration」

「consideration」は「よく考えること、熟慮」という意味です。「じっくり考えること」とともに、「思いやり、心づかい」という意味も持っているので、「配慮」を訳すのにぴったりの言葉といえます。

その2「care」

「care」というと「心配」や「世話」といった意味を思い浮かべるかもしれません。それらの意味とともに「気にかける、心配する、気づかう」という意味も持っていますので、「配慮」の英訳として使うことができます。

Thank you very much for your kind consideration.

(丁寧なご配慮に感謝しております。)

This book is my daughter's precious treasure, so please take special care when handling it.

(この絵本は娘の大切な宝物ですので、取り扱いには特別なご配慮をお願いいたします。)

 

「配慮」を使いこなそう

この記事では「配慮」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「配慮」とは、相手をおもんぱかって心を配るという意味の言葉でしたね。「配慮する」というように使えば、何か対象となるものに対して気づかいのこもった心配りをするという意味になります。「ご配慮」と「ご」をつけて尊敬語とした場合には、相手への敬意と感謝の気持ちを伝える場合に使える丁寧な表現となり、また、相手に対して注意を促したいことを謙虚に伝える表現としても使うことができると覚えておきましょう。

使う場面や相手に配慮しながら、上手に使っていきたい言葉ですね。

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国語言葉の意味

「配慮」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「配慮」について解説する。

端的に言えば配慮の意味は「心づかい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「配慮」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在はアメリカで子育て中につきさらに日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「配慮」の意味や語源・使い方まとめ

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「配慮」は「はいりょ」と読みます。日常生活やビジネスシーンでよく目にすることがありますね。どんな意味を持っているのでしょうか。

それでは早速「配慮」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「配慮」の意味は?

まず初めに「配慮」の意味を辞書で確認してみましょう。「配慮」には、次のような意味があります。

心をくばること。心づかい。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「配慮」

「配慮」とは、事情をふまえて、気づかいのこもった取り計らいをすることを意味する言葉です。主に文章や改まった会話で使われることの多い、少し硬い言葉ですね。相手をおもんぱかり、気づかいを行き渡らせるという意味を持っています。

「配慮」は、「配慮する」のように動詞として使うこともできますよ。この場合「~に」「~を」「~へ」を使って対象となる人物や物(例「環境に配慮する」)や、くむべき事情や観点(例「相手の立場を配慮する」)を指し示します。

「配慮が足りず」などと言えば自分のことに使うことができますし、頭に「ご」をつけて「ご配慮いただきありがとうございます」とすれば敬語として使えることも覚えておきましょう。「ご配慮ください」と相手に注意を促す時にも使える言葉です。

「配慮」の語源は?

次に「配慮」の語源を確認しておきましょう。

漢字の「」には「くばる」という意味、「」は「おもんぱかる、考えをめぐらせる」という意味があります。二つを合わせて「考えをめぐらせてくばる」、つまり「心をくばる」「気づかいを行き渡らせる」という意味の言葉となりました。

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