この記事では「猜疑心」について解説する。

端的に言えば猜疑心の意味は「疑うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「猜疑心」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「猜疑心」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「猜疑心(さいぎしん)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「猜疑心」の意味は?

「猜疑心」には、次のような意味があります。

人を猜疑する心。人を疑う気持。

出典:精選版 日本国語大辞典 第二版(小学館)「猜疑心」

人の言動をすなおに受け取らないで、何かたくらんでいるのではないかと疑うこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「猜疑」

「猜疑(さいぎ)」とは、人を疑い不信感を持つこと。「猜疑心(さいぎしん)」とはそのような“人の言動を疑う心”のことです。

「猜」とは、“疑ったり妬んだりする気持ち”という意味があります。その文字に「疑」の“うたがう”の漢字が組み合わさってできたのが「猜疑心」。褒めたつもりで言った言葉に、なにか裏があるのではと素直に受け取らないなど、相手の言動で自分に不利益が生じているのではないかと考えてしまう気持ちを指します。

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「猜疑心」の使い方・例文

「猜疑心」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.日ごろの態度や行動から、僕は彼女に猜疑心を抱くようになった。
2.仕事上の取引相手の言動や仕草に、猜疑心が強い人だと感じた。
3.周囲の意見もすべて受け入れず、彼は今まさに猜疑心の塊の状態だ。落ち着くまでは適度に距離を置こう。
4.恋愛になるといつも不安な感情が大きくなり、猜疑心に苛まれてしまう性格をどうにか克服したい。
5.あの人の猜疑心に満ちた目が忘れられない。

「猜疑心」とは相手を過度に疑ってしまう心のことです。周囲に疑惑を持つ心理状況や行為において用いられます。

例文のように「猜疑心を抱く」「猜疑心が強い」「猜疑心の塊」「猜疑心に苛まれる」「猜疑心に満ちる」などといった使い方が一般的です。状況に応じて使えるように覚えておきましょう。

「猜疑心」の類義語は?違いは?

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続いて「猜疑心」の類義語について解説します。

「疑心暗鬼」

「疑心暗鬼(ぎしんあんき)」とは、“何でもないことにまで恐ろしく感じたり疑ったりする”という意味の四字熟語。「暗鬼(あんき)」は“暗闇のなかの亡霊”という意味を持ちます。疑いの心があると、暗闇にいもしない亡霊が目に浮かぶ様子をたとえた言葉です。

過度に疑いの目をもってしまうという様子が共通しており、「疑心暗鬼」は「猜疑心」の類義語表現のひとつと言えるでしょう。

周りの全部が怪しく見えてしまう、すべて疑ってしまうような時に「疑心暗鬼になる」「疑心暗鬼に陥る」といった使い方をするのが一般的です。

\次のページで「「懐疑心」」を解説!/

「懐疑心」

「懐疑心(かいぎしん)」とは、“なにかを疑う気持ちや信頼できないと思う心”を指す言葉。信用できない気持ちなどを表現するときに用います。

“なにかを疑う気持ち”という意味において、「懐疑心」も「猜疑心」と似た意味の言葉です。

ただし「懐疑心」と「猜疑心」は似ている言葉ではありますが、使い方が異なります。「猜疑心」は何か裏があるのでは、と相手を疑う気持ちですが、「懐疑心」は単純な疑問など純粋に疑ってしまう気持ちです。「猜疑心」のような妬む意味合いは含まれません。

「猜疑心」と「懐疑心」は読み方も似ており、混同されがちです。それぞれ言葉の意味を正しく覚えて用いるようにしましょう。

「猜疑心」の対義語は?

「猜疑心」とは“相手を信じずに強い疑念を持つ気持ち”のことです。これに対して“相手を疑わずに信じる気持ち”は反対の意味と言えるでしょう。

ここではそのような意味を持つ言葉を「猜疑心」の対義語とし、紹介します。

「信用」

「信用(しんよう)」とは、“信じて受け入れる”こと。人を信じるというだけでなく、物事や評判に対して使用することも可能です。

相手を信じられない「猜疑心」に対し、相手を確かなものと受け入れる「信用」は反対の意味と言えるでしょう。

なお似た言葉に「信頼(しんらい)」があります。過去の事柄や物理的な「信用」に対し、“信じて頼りにする”「信頼」は、未来や精神的な意味合いで用いることが多いです。ニュアンスが微妙に異なるので、それぞれ状況に応じて使い分けましょう。

「親愛」

「親愛(しんあい)」とは、“人に対して親しみや愛情を持っている”様子のこと。感情を表現するほか、一般的には「親愛なる○○」といった使い方をします。

親しみや愛情は、相手に対して非常にポジティブな感情です。疑ったり下心があると考える「猜疑心」とは正反対な意味と言えるでしょう。

「猜疑心」の英訳は?

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最後に「猜疑心」の英語表現についても紹介します。

「suspicion」

「suspicion」とは“疑念”“疑惑”を意味する名詞。“悪いことにうすうす気づく”という意味合いも持った英単語です。

「猜疑心」を英語訳するのであれば、一般的に「suspicion」を多く用います。基本的にはこの単語で表現できれば問題ありません。

なお「猜疑心が強い」などと言いたい時は、形容詞の「suspicious」という表現になります。どちらの形でも使えるようにしておくといいでしょう。

\次のページで「「猜疑心」を使いこなそう」を解説!/

「猜疑心」を使いこなそう

この記事では「猜疑心」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「猜疑心」が強く克服したい人や、対応に悩んでいる人もいるかもしれません。過度な「猜疑心」は確かに、周囲も自分自身も振り回してしまい、信頼関係にも影響を与えてしまいます。ですが騙されないよう、用心のためにもある程度の「猜疑心」は必要な感情です。そして誰しもが持つ感情でもあります。うまく向き合ったうえでコントロールしていけるようにしたいものですね。

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「猜疑心」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「猜疑心」について解説する。

端的に言えば猜疑心の意味は「疑うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「猜疑心」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「猜疑心」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「猜疑心(さいぎしん)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「猜疑心」の意味は?

「猜疑心」には、次のような意味があります。

人を猜疑する心。人を疑う気持。

出典:精選版 日本国語大辞典 第二版(小学館)「猜疑心」

人の言動をすなおに受け取らないで、何かたくらんでいるのではないかと疑うこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「猜疑」

「猜疑(さいぎ)」とは、人を疑い不信感を持つこと。「猜疑心(さいぎしん)」とはそのような“人の言動を疑う心”のことです。

「猜」とは、“疑ったり妬んだりする気持ち”という意味があります。その文字に「疑」の“うたがう”の漢字が組み合わさってできたのが「猜疑心」。褒めたつもりで言った言葉に、なにか裏があるのではと素直に受け取らないなど、相手の言動で自分に不利益が生じているのではないかと考えてしまう気持ちを指します。

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