この記事では「瓦解」について解説する。

端的に言えば瓦解の意味は「壊れること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「瓦解」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「瓦解」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「瓦解(がかい)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「瓦解」の意味は?

「瓦解」には、次のような意味があります。

一部の瓦 (かわら) のくずれ落ちることが屋根全体に及ぶように、ある一部の乱れ・破れ目が広がって組織全体がこわれること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「瓦解」

「瓦(かわら)」とは、粘度を素焼きにしたもののこと。「瓦屋根」とも言うように、屋根の材料として使われるものです。その屋根の瓦が一部落ちてしまうと、ほかの部分も同じように崩れていってしまいます。強固な瓦であっても、たった少しの崩れが屋根全体の崩壊を招くのです。

「瓦解(がかい)」とはこの様子を比喩的に表現したもので、“一部の乱れから全体が崩れてしまう”ことを意味します。

文学においては、夏目漱石が著作『坊っちゃん』で「瓦解」という表現を使用しました。そこから有名になった言葉と言われています。

「瓦解」の使い方・例文

「瓦解」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「瓦解」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.ひとりの政治家の汚職をきっかけに、その政権は瓦解していった。
2.一つのミスであっても、企業が瓦解する恐れがある。危機管理は徹底した方が良いだろう。
3.今まで皆を引っ張ってくれた上司がプロジェクトから抜けてしまうが、このまま瓦解するのは防ぎたい。
4.監督の不用意な発言で、チームの結束が瓦解していくのがわかった。

小さな崩れが原因で組織の秩序や構造全体が崩れてしまうときに「瓦解」は使用します。組織に使うため、例文のようにビジネスやチーム、政治の場などで使われることが多いです。また、例文2や3のように戒めの意味で使うこともできます。

ただし「瓦解」は、あくまで“一部がダメになったところから”という意味。すべてが一度に崩れた場合などには使用できないので、状況や様子に合わせて使うようにしましょう。

「瓦解」の類義語は?違いは?

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次に「瓦解」と似た意味を持つ、類義語表現を紹介します。

その1「崩壊」

「崩壊(ほうかい)」とは文字通り、“くずれこわれる”こと。一般的にもよく用いられる言葉です。“こわれてしまう”という意味が「瓦解」と共通しており、類義語表現としてよく挙げられます。

ただし「瓦解」と「崩壊」は類似しているものの、使い方が微妙に異なる言葉です。「瓦解」とは、“一部が壊れて”から壊れる様子に対し、「崩壊」にはそのような意味は含みません。また「崩壊」は組織や秩序以外に建造物について用いることも可能です。そのため「瓦解」よりも「崩壊」の方が幅広く用いることができます。

それぞれの言葉の性質をおさえ、ニュアンスや状況に応じて使えるよう注意しましょう。

その2「破綻」

「破綻(はたん)」とは、“破れほころびる”ことです。そこから転じて、“物事が修復できないほど行き詰まる”様子を指し、「経営破綻」などの言葉でも用いられます。

「瓦解」の持つ、“組織が維持できなくなる”という点で同じ意味合いを持つ類義語です。“壊れる”という意味自体は「破綻」には含まれませんが、秩序や組織が機能しなくなる様子を表すのであれば、この言葉でも言い換えができます。

\次のページで「「瓦解」の対義語は?」を解説!/

「瓦解」の対義語は?

続いて「瓦解」の対義語について考えてみましょう。“一部から全体が壊れる”という意味を指すのが「瓦解」です。壊れることに対して、新しいものを“作りあげること”や“築きあげる”ことは反対の意味と言えるでしょう。

ここではそのような意味を持つ言葉を「瓦解」の対義語とし、紹介していきます。

その1「形成」

「形成(けいせい)」とは、“ひとつのまとまったものを作る”こと。ゼロから作るというよりは、既にあるものを整えていく様子を指します。とくに組織などなにか機能を持つものを作るときに使う言葉です。

「瓦解」の“組織が壊れていく”様子に対し、「形成」は“組織を整え形づくる”という反対の意味を持ちます。「瓦解」しそうな組織に対しては、組織を「形成」していくことが必要とも言えるでしょう。

その2「構築」

「構築(こうちく)」とは、“組み立てて築く”様子を指す言葉です。物事の基礎から作り上げる様子を指し、新しくなにかを作り上げる際に用いるのが一般的。この点で「形成」とは少しニュアンスが異なります。

ビジネスなどでもよく見られる「構築」ですが、この言葉も「瓦解」とは反対の意味と言えるでしょう。それぞれの言葉の持つイメージを正確に捉えておくことが必要です。

「瓦解」の英訳は?

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最後に「瓦解」の英語表現についても確認しておきましょう。

その1「collapse」

「collapse」“つぶれて崩れていく”様子を指す英単語。組織や秩序以外に建造物に対して使うことも可能です。

どちらかと言えば「崩壊」に近く、「瓦解」のような“一部の崩れが全体の崩壊を引き起こす”という細かいニュアンスは含んでいません。ただ「collapse」は一般的にもよく用いられる英語であり、シンプルにこの表現を使うのがおすすめです。

その2「fall down」

「fall down」“崩れ落ちる”という意味で使われる熟語。英語でも日常的に使われる表現です。

この表現で「瓦解」を表すこともできます。ただし日常的な表現のため、言葉の重みやニュアンス、状況に応じて使い分けるのが良いでしょう。

\次のページで「「瓦解」を使いこなそう」を解説!/

「瓦解」を使いこなそう

この記事では「瓦解」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「瓦解」とは、たった少しの乱れが思わぬ影響を全体に与えてしまうこと。いつでも誰にでも起りうることでしょう。自分のせいで「瓦解」させてしまうことのないよう、物事には責任をもって臨むようにしたいものですね。

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国語言葉の意味

「瓦解」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

1.ひとりの政治家の汚職をきっかけに、その政権は瓦解していった。
2.一つのミスであっても、企業が瓦解する恐れがある。危機管理は徹底した方が良いだろう。
3.今まで皆を引っ張ってくれた上司がプロジェクトから抜けてしまうが、このまま瓦解するのは防ぎたい。
4.監督の不用意な発言で、チームの結束が瓦解していくのがわかった。

小さな崩れが原因で組織の秩序や構造全体が崩れてしまうときに「瓦解」は使用します。組織に使うため、例文のようにビジネスやチーム、政治の場などで使われることが多いです。また、例文2や3のように戒めの意味で使うこともできます。

ただし「瓦解」は、あくまで“一部がダメになったところから”という意味。すべてが一度に崩れた場合などには使用できないので、状況や様子に合わせて使うようにしましょう。

「瓦解」の類義語は?違いは?

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次に「瓦解」と似た意味を持つ、類義語表現を紹介します。

その1「崩壊」

「崩壊(ほうかい)」とは文字通り、“くずれこわれる”こと。一般的にもよく用いられる言葉です。“こわれてしまう”という意味が「瓦解」と共通しており、類義語表現としてよく挙げられます。

ただし「瓦解」と「崩壊」は類似しているものの、使い方が微妙に異なる言葉です。「瓦解」とは、“一部が壊れて”から壊れる様子に対し、「崩壊」にはそのような意味は含みません。また「崩壊」は組織や秩序以外に建造物について用いることも可能です。そのため「瓦解」よりも「崩壊」の方が幅広く用いることができます。

それぞれの言葉の性質をおさえ、ニュアンスや状況に応じて使えるよう注意しましょう。

その2「破綻」

「破綻(はたん)」とは、“破れほころびる”ことです。そこから転じて、“物事が修復できないほど行き詰まる”様子を指し、「経営破綻」などの言葉でも用いられます。

「瓦解」の持つ、“組織が維持できなくなる”という点で同じ意味合いを持つ類義語です。“壊れる”という意味自体は「破綻」には含まれませんが、秩序や組織が機能しなくなる様子を表すのであれば、この言葉でも言い換えができます。

\次のページで「「瓦解」の対義語は?」を解説!/

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