この記事では「確執」について解説する。

端的に言えば確執の意味は「対立」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は、ロシアで2年間日本語教師として働いた大学院生ライターの「むかいひろき」を呼んです。一緒に「確執」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間日本語教師として働いた経験を持つ大学院生。その経験を武器に、「言葉」について分かりやすく解説していく。

「確執」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「確執」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「確執」の意味は?

「確執」には、次のような意味があります。

互いに自分の意見を強く主張して譲らないこと。また、そのために生じる不和。かくしゅう。「兄弟の間の―」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「かく‐しつ【確執】」

確執」は「かくしつ」と読み、「お互いに意見を強く主張して譲らないこと。また、それが原因でお互いが不和になること」を意味する言葉です。簡潔にまとめると、「意見をめぐって強い対立がある。また、それが原因で両者の関係が悪いこと」という意味ですね。

「確執」は「かくしゅう」と読んでも間違いではありません。ただ、「かくしつ」の読み方の方が一般的に広がっているので、「かくしつ」と読んだ方がいいでしょう

「確執」の語源は?

次に「確執」の語源を確認しておきましょう。

「確執」の正確な語源は定かではありませんが、室町時代(14世紀後半)の『太平記』に「南都大乗院禅師房と六方の大衆と、確執(クヮクシツ)の事有て合戦に及ぶ」という記述があり「双方の間が不和になること」という意味での使用が確認できます。

かつては「かくしゅう」と読まれていましたが、徐々に「かくしつ」の読み方が広まっていったそうです。

\次のページで「「確執」の使い方・例文」を解説!/

「確執」の使い方・例文

「確執」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.田中さんと山田さんは借金をめぐって確執がある
2.今回の入札の件で、A社とB社には確執が生じた
3.日本と韓国の間には、戦後70年以上たつが確執が残っている
4.四国征伐をめぐり、織田信長と明智光秀の確執は深まっていった。

例文1では「確執がある」という表現を使い、「意見の食い違いやそれによる対立がある」ことを表しています。田中さんと山田さんは、借金についてお互い違う主張をしているということですね。

例文2では、「確執が生じた」という表現を使い、「意見の食い違いやそれによる対立が発生した」ことを表しています。A社とB社は入札の件で、はじめて対立が発生したということですね。

例文3では、「確執が残っている」という表現を使い、「意見の食い違いやそれによる対立が継続している」ことを表しています。「確執が残る」という表現は「現在は対立しているが、その対立を解消したい」というニュアンスが含まれる場合もありますね。

例文4では、「確執が深まる」という表現を使い、「意見の食い違いやそれによる対立が悪化した」ことを表しています。以前から対立があり、それがさらに悪化した場合に使う表現です。織田信長と明智光秀は以前から溝がありましたが、四国征伐の件でさらに悪化したということになりますね。

「確執」の類義語は?違いは?

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「確執」の類義語には「軋轢」「亀裂」があります。意味や違いを一緒に確認していきましょう。

その1「軋轢」

軋轢」の読み方は「あつれき」です。車輪が軋る(きしる)という意味が語源となり、「仲が悪くなること」「人間関係に摩擦が生じること」という意味を表します。

「確執」との違いは、「確執」は「意見をめぐって」対立が生じていますが、「軋轢」の場合は対立の原因が「意見」であるとは限らない点です。

たとえば、「島田さんは無断欠席が多いため、他の社員との間に___が生じてしまった」という文では、対立の原因が「無断欠席が多いこと」なので「軋轢」が適切な言葉になります。

\次のページで「その2「亀裂」」を解説!/

その2「亀裂」

亀裂」は「きれつ」と読みます。「亀の甲羅のようにヒビが入ること、そのヒビのこと」という意味です。「ボールをぶつけてガラスに亀裂が入った」のように物理的な意味でも使用可能ですが、「親子の関係に亀裂が入った」のように、両者の対立を表す場合にも使用することができます

対立を表す場合の「確執」との違いですが、「確執」は「意見をめぐって」対立が生じていますが、「亀裂」の場合は対立の原因が「意見」であるとは限らない点です。

また、「亀裂」は「亀裂が入った」「亀裂が生じた」などのように、「対立が発生した」という意味で使うことが多い表現ですね。

「確執」の対義語は?

「確執」の対義語は「譲歩」「協調」があります。意味や使い方を見ていきましょう。

その1「譲歩」

譲歩」は「じょうほ」と読み、「自分の意見や主張を押さえて相手の意向に従ったり妥協したりすること」という意味を表します。

「確執」は「意見をめぐって強い対立がある」ことを表すので、まさに反対の言葉ですね。「譲歩する」のように動詞の形で使われることが多いです。

その2「協調」

協調」は「互いに協力し合うこと、特に、利害や立場などの異なるものどうしが協力し合うこと」という意味の言葉です。

「確執」は「意見をめぐって強い対立がある」ことを表すので、まさに反対の言葉ですね。「協調」は「国際協調」のように名詞として使われることも、「協調する」のように動詞として使われることもあります。

「確執」の英訳は?

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「確執」に該当する英語には「discord」があります。意味や使い方を見ていきましょう。

「discord」

discord」は「不和」「仲たがい」という意味を持った言葉です。「お互いの意見に賛同できない、共有できない」というニュアンスがあるので、「確執」に該当する英単語と言えるでしょう。

例文を見てみましょう。

\次のページで「「確執」を使いこなそう」を解説!/

There seems to be some discord between a wife and her mother-in-law.

嫁と姑との間に確執があるみたいだ。

「確執」を使いこなそう

この記事では「確執」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「確執」は「意見をめぐって強い対立がある。また、それが原因で両者の関係が悪いこと」という意味の言葉です。

類義語である「軋轢」や「亀裂」との違いは、対立の原因が「意見」か、そうでないか…がポイントになります。「確執」の場合、対立の原因は「意見」です。

誰かと「確執」が生じてしまった時は、譲れる部分は「譲歩」するのが得策でしょう。

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国語言葉の意味

「確執」の意味や使い方は?例文や類語を日本語教師の大学院生がわかりやすく解説!

この記事では「確執」について解説する。

端的に言えば確執の意味は「対立」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は、ロシアで2年間日本語教師として働いた大学院生ライターの「むかいひろき」を呼んです。一緒に「確執」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間日本語教師として働いた経験を持つ大学院生。その経験を武器に、「言葉」について分かりやすく解説していく。

「確執」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「確執」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「確執」の意味は?

「確執」には、次のような意味があります。

互いに自分の意見を強く主張して譲らないこと。また、そのために生じる不和。かくしゅう。「兄弟の間の―」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「かく‐しつ【確執】」

確執」は「かくしつ」と読み、「お互いに意見を強く主張して譲らないこと。また、それが原因でお互いが不和になること」を意味する言葉です。簡潔にまとめると、「意見をめぐって強い対立がある。また、それが原因で両者の関係が悪いこと」という意味ですね。

「確執」は「かくしゅう」と読んでも間違いではありません。ただ、「かくしつ」の読み方の方が一般的に広がっているので、「かくしつ」と読んだ方がいいでしょう

「確執」の語源は?

次に「確執」の語源を確認しておきましょう。

「確執」の正確な語源は定かではありませんが、室町時代(14世紀後半)の『太平記』に「南都大乗院禅師房と六方の大衆と、確執(クヮクシツ)の事有て合戦に及ぶ」という記述があり「双方の間が不和になること」という意味での使用が確認できます。

かつては「かくしゅう」と読まれていましたが、徐々に「かくしつ」の読み方が広まっていったそうです。

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