この記事では「摘要」について解説する。

端的に言えば摘要の意味は「大切な箇所の抜き書き」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語担当の塾講師や豊富な文書作成業務の経験を持つ茶うさぎを呼んです。一緒に「摘要」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/茶うさぎ

国語担当の塾講師や豊富な文書作成業務の経験を生かして、いろいろな言葉の意味をわかりやすく広めたいライター。読書が癒しで、忙しくても週2冊程度は読む。

「摘要」の意味や語源・使い方まとめ

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「摘要」と「適用」、あなたは違いが説明できますか?スマホやパソコンなどでの変換ミスもされやすいこの「摘要」という言葉は、分かりやすい資料を作成するときのキーワードともいえます。ここで使い方をマスターしていきましょう!

それでは早速「摘要」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「摘要」の意味は?

「摘要」には、次のような意味があります。

大切な箇所を抜き書きすること。また、その抜き書き。

出典:大辞林(三省堂)「摘要」

例えば、ボリュームのある資料を読まなければならないとき、ただ読み進めていっても、言いたいことの全体像がなかなかつかめず、あっちをめくりこっちをめくりしたことはありませんか。

こんな状況を避けるために、資料の冒頭などに「摘要」の項目を置き、そこに資料の中の大切な箇所を取りまとめ、抜き書きすることがあります。読み手はまずそこを読むことで、資料が伝えたいことの全体像をつかむことができるというわけです。

また、会計業務の帳簿や伝票にも「摘要欄」があります。ここには、取引先やその内容などを書き込み、取引の具体的な内容を示す重要事項を記録するようになっているのです。公認会計士や税理士を目指している人は、こちらの意味のほうがなじみがあるかもしれませんね。

このように、分かりやすいようにまとめることも含めて、大切な箇所を書き抜くことを「摘要」といいます。

「摘要」の語源は?

次に「摘要」の語源を確認しておきましょう。

「摘」には、「つまむ」「選び取る」「あばき出す」という意味があります。「摘出」「指摘」「摘発」などという言葉に使われていますね。

また「要」には、「大切な部分」という意味があります。「要点」「重要」などという言葉がありますね。

「摘要」は、これらの字を組み合わせて、熟語になっています。「要を摘す」、つまり「大切な部分を選び取る」という意味になっているわけです。

「摘要」の使い方・例文

例文を使って、「摘要」の使い方を見ていきましょう。たとえば次のように用いられます。

\次のページで「「摘要」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.レポートの主旨が明確に伝わるように、摘要を記載した。
2.取引内容がよく分からないので、この摘要欄を書き直してください。
3.法律の内容を摘要する。

1は、「大切な箇所の書き抜き・まとめ」という意味で「摘要」を使っています。

2は、会計業務での使い方です。せっかく提出した経理書類について、経理部門からこのように言われたら、がっかりしてしまいそうですね。

3は、「する」を付けて動詞として使う場合です。「法律の内容の大切な部分を抜き書きする」という意味になりますが、かなりかたい表現となり、日常的にはあまりしない使い方かもしれませんね。

「摘要」の類義語は?違いは?

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それでは、「摘要」の類義語・同義語にはどのようなものがあるか、見ていきましょう。それぞれのニュアンスの違いや使い分けについても説明していきます。

その1「要旨」

「主な内容」という意味の言葉です。

厳密に言えば、大切な部分を「書き抜き」する「摘要」に比べ、「要旨」は「主な内容を取りまとめたもの」というニュアンスがあります。内容の主要な点を短くまとめたものという点で共通していますね。

その2「大意」

「大体の意味」という意味の言葉です。「要旨」と同様に、大切な部分を書き抜くという意味よりは、「全体のあらましをまとめたもの」という意味の言葉と言えるでしょう。

「適用」との混同に注意!

「摘要」とよく混同される言葉に、「適用」があります。これは、「当てはめて用いること」という意味の言葉であり、「摘要」とはまったく意味が違いますね。ところが、読み方が同じで字面が似ているからか、間違って使っている場合がとても多い言葉です。それぞれの言葉の意味の違いをしっかりとつかみ、意識して区別しましょう。

特に、「摘要」と「適用」を間違いやすいのは、上記の例文の3のような場合です。「適用」にも「法律を適用する」、つまり「法律を当てはめる」という使い方があり、とても混乱しやすいので注意してください。

\次のページで「「備考」とは意味が異なる」を解説!/

「備考」とは意味が異なる

「備考」は、「参考のために備えること」「本文を補うために、参考として付け加える事柄」を指します。「摘要」も「備考」も、本文の内容を分かりやすくするものという性質があることから、この二つを混同しがちなので、注意してください。

例えば資料を作るとき、参考として関連する情報を付け加える場合は「備考」、内容が分かりやすいように本文の重要な部分を書き抜く場合は「摘要」と、それぞれしっかり使い分けましょう。

「摘要」の対義語は?

「摘要」の対義語にはどのようなものがあるでしょうか。

実は「摘要」に明確な対義語はありませんが、これまで見てきた「大切な箇所を抜き書きすること。また、その抜き書き」という意味においては、その対になる言葉として「全文」「本文」などが考えられます。

「摘要」の英訳は?

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最後に、「摘要」を英語で表現するとどうなるかを見ていきましょう。

その1「summary」

「summary」は、「摘要、要約」という意味の名詞です。「摘要する」という動詞として使う場合は、「summarize」となります。例文を見てみましょう。

She gives a brief summary of the book.

彼女はその本の簡単な要約を述べます。 

その2「outline」

他にも、「outline」という英語があります。これは、直訳すると「外の線」、つまり「大枠」「概要」という意味の名詞になるというわけです。「摘要」が持つ「重要部分の抜き書き」という意味合いよりは、「内容のとりまとめ」という意味合いの方に近い言葉と言えるかもしれません。

An outline of Japanese history.

日本史の概要

\次のページで「その3「digest」」を解説!/

その3「digest」

「digest」は、もともと「消化する」という意味を持つ言葉ですが、ここから「内容を消化して整理する」「要約」という意味が派生しています。日本語にも「ダイジェスト」として取り入れられていますね。

The digest of the newspaper headlines is very useful.

その新聞見出しの摘要(ダイジェスト)はとても役に立つ。

「摘要」を使いこなそう

この記事では「摘要」の意味・使い方・類語などを説明しました。「適用」との誤用がとても多い言葉で、読み方も同じことから誤変換もよくやってしまいがちです。それぞれの言葉の意味をしっかりと区別して、ミスのない文書を作成する力を磨いていきましょう!

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国語言葉の意味

「摘要」の意味や使い方は?例文や類語を元塾講師ライターがわかりやすく解説!

この記事では「摘要」について解説する。

端的に言えば摘要の意味は「大切な箇所の抜き書き」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語担当の塾講師や豊富な文書作成業務の経験を持つ茶うさぎを呼んです。一緒に「摘要」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/茶うさぎ

国語担当の塾講師や豊富な文書作成業務の経験を生かして、いろいろな言葉の意味をわかりやすく広めたいライター。読書が癒しで、忙しくても週2冊程度は読む。

「摘要」の意味や語源・使い方まとめ

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「摘要」と「適用」、あなたは違いが説明できますか?スマホやパソコンなどでの変換ミスもされやすいこの「摘要」という言葉は、分かりやすい資料を作成するときのキーワードともいえます。ここで使い方をマスターしていきましょう!

それでは早速「摘要」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「摘要」の意味は?

「摘要」には、次のような意味があります。

大切な箇所を抜き書きすること。また、その抜き書き。

出典:大辞林(三省堂)「摘要」

例えば、ボリュームのある資料を読まなければならないとき、ただ読み進めていっても、言いたいことの全体像がなかなかつかめず、あっちをめくりこっちをめくりしたことはありませんか。

こんな状況を避けるために、資料の冒頭などに「摘要」の項目を置き、そこに資料の中の大切な箇所を取りまとめ、抜き書きすることがあります。読み手はまずそこを読むことで、資料が伝えたいことの全体像をつかむことができるというわけです。

また、会計業務の帳簿や伝票にも「摘要欄」があります。ここには、取引先やその内容などを書き込み、取引の具体的な内容を示す重要事項を記録するようになっているのです。公認会計士や税理士を目指している人は、こちらの意味のほうがなじみがあるかもしれませんね。

このように、分かりやすいようにまとめることも含めて、大切な箇所を書き抜くことを「摘要」といいます。

「摘要」の語源は?

次に「摘要」の語源を確認しておきましょう。

「摘」には、「つまむ」「選び取る」「あばき出す」という意味があります。「摘出」「指摘」「摘発」などという言葉に使われていますね。

また「要」には、「大切な部分」という意味があります。「要点」「重要」などという言葉がありますね。

「摘要」は、これらの字を組み合わせて、熟語になっています。「要を摘す」、つまり「大切な部分を選び取る」という意味になっているわけです。

「摘要」の使い方・例文

例文を使って、「摘要」の使い方を見ていきましょう。たとえば次のように用いられます。

\次のページで「「摘要」の類義語は?違いは?」を解説!/

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