端的に言えば不毛の意味は「意味のないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は法学部卒でWEBメディアのライターをしている野島を呼んです。一緒に「不毛」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/野島レミ
WEBメディアのライターとして活動しており、要点を絞った分かりやすい解説が得意。楽しみながら、知識が身に付くような情報を発信する。
「不毛」の意味や語源・使い方まとめ
「不毛」という言葉は、さまざまな場面で使われるため、なんとなく聞いたことがあるという方もいるのではないでしょうか。しかし、何となく使っていて、正確に意味を把握している人はそう多くありません。この記事を読んで、「不毛」の持つ意味をしっかり理解していきましょう。
それでは「不毛」の意味や語源・使い方を見ていきます。
「不毛」の意味は?
「不毛」とは一体どのような意味を持つ言葉なのでしょうか。「不毛」を辞書で引くと、次のように意味が書かれています。
1.土地がやせていて草木や作物が育たないこと。「—の地」
2.転じて、一般に、成果の実らないこと。「—な議論」「—の年月」
出典:広辞苑 第七版(岩波書店)「不毛」
「不毛」は「ふもう」と読みます。打消し・否定の意味を持つ「不」と、作物を表す「毛」からできた熟語です。
そのため「不毛」は「土地がやせており、草木や作物が育たないこと」という意味になります。またその意味から転じて「結果や成果が得られないこと」を指す言葉として、使用されるようになりました。
「不毛」には今紹介した、2つの意味があることを押さえておきましょう。
「不毛」の語源は?
「毛」というと体から生える毛をイメージするかと思います。しかし、それだけでなく、「毛」には土地から育った草木・作物という意味もあるのです。そのため「不毛」で、「土地がやせており、草木や作物が育たないこと」を表します。
「一毛作」や「二毛作」といった言葉を聞いたことはないでしょうか。「一毛作」は「同じの土地に1年に1回、作物を栽培すること」で、「二毛作」は「同じの土地に1年に2回、作物を栽培すること」を意味します。
決して不毛は「毛が無い」という意味ではないので、使う場合は注意してください。
「不毛」の使い方・例文
「不毛」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.時間が経ち、この土地はすっかりは不毛になってしまった。
2.不毛な争いを続けても、埒が明かない。
例文1.で使われた「不毛」は「土地がやせていて、草木や作物など、植物が育たないこと」という意味です。例文2.で使われた「不毛」は「成果の実らないこと」という意味で使われています。
「不毛」の類義語は?「不作」との違いは?
それでは次に「不毛」の類義語について見ていきましょう。不毛の類義語には「無駄」「徒労」「荒蕪」などがあります。この3つの熟語の意味を、使い方と一緒に解説していますので、併せて見ていきましょう。
また「不毛」によく似た言葉に「不作」があります。それぞれの言葉が持つ、意味合いは違うので、使い分けられるよう、こちらも頭に入れておきましょう。
類義語その1「無駄」
「無駄」は「役に立たないこと、効果がないこと」という意味です。これはよく聞く言葉なので、不毛の類義語として、思い浮かんだ方は多いのではないでしょうか。
その話し合いは、参加するだけ無駄だ。
類義語その2「徒労」
「徒労」は「とろう」と読む言葉です。「一生懸命働いても結局役に立たない様子」や「無駄なことに力を使うこと」という意味があります。
「不毛」は土地や行動、物事などを対象に使う言葉ですが、「徒労」は行動に対してのみ使う言葉です。「徒労」の方が限定的な意味を持っているので、注意しましょう。
何日もかけて準備をしていたが、結局、徒労に終わった。
類義語その3「荒蕪」
「荒蕪」は「こうぶ」と読みます。「土地が荒れていて、雑草などが茂っていること」「土地が荒れており、作物が育たないこと」という意味です。
「不毛」は作物が育たないという「性質」に焦点を当てた意味を持ちます。それに対し「荒蕪」は荒れ果てた様子、手入れされず雑草が生い茂っている「様子」に焦点を当てた言葉です。
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