結露が出来始める温度「露点」日常でよく見る環境の事象について理科教員免許持ちのライターがわかりやすく解説
3.雨戸を断熱して結露を防ぐ
前項の例題より室温20℃で湿度60%を維持しようとすると、窓ガラスの温度が℃以下で結露が生じることが分かりました。繰り返しますがこの温度のことを「露点」と言います。ところで、窓ガラスが露点以下に冷えないようにすれば結露が発生することはありません。そこで、断熱性の高い雨戸で結露を防ぐことを考えます。以下の問を考えてみましょう。
熱伝導と比熱
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ある断面積S、ある厚さd、熱伝導率λ。両側の温度差ΔTの物体を通過する熱流束(単位時間、単位面積当たりの熱量)qは
q = λ ・ΔT / dと表されます。
雨戸の内外に温度差ΔTがあり、熱流束qによって内側の熱が徐々に逃げていくものとしましょう。
また、比熱c、質量mの物体に熱量Qを与えたときの温度上昇をΔTとすると、Q = m・c・ΔTです。
雨戸内外の熱の出入りと結露
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雨戸の厚さをd , 熱伝導率λ とし、外気温T0 、雨戸の内側の初期温度をT1とし、翌朝窓を開けて喚起するときにはT2まで下がっているものとします。また雨戸から窓ガラスまでの距離をLとしましょう。
問1 初期状態にて、雨戸を通して外に逃げていく熱流束qはいくらか。前述の熱伝導の式を参考に文字式で表しましょう。
問2 雨戸内の温度が変化するとともに熱流束qも変化する。初期は外気との温度差が大きいため熱流束も大きいが、雨戸内が冷えて外気との温度差が小さくなるにつれqも小さくなる。ここで、初期状態から翌朝窓を開けるまでの熱流束の平均は、最初と最後で平均した温度差(T1-T0)/2 + (T2-T0)/2で表せるとしましょう。、雨戸から逃げていく平均の熱流束qはいくらになるでしょうか。
問3 雨戸と窓ガラスの間の空気の部分が十分に厚ければ空気は露点より下がらない。どれくらい厚くすればよいか計算してみましょう。まず、問2の熱流束で雨戸外に熱が逃げていき空気が冷やされます。初期の空気の温度をT1、空気の比熱をcとして、空気は時間的に均等に冷えていくとしましょう。
問3-1 雨戸から窓ガラスまでの距離をLとして、雨戸断面積1平方メートルに接する空気から逃げていく熱量Qを初期温度T1と冷却後の温度T2(これを露点とする)および空気の密度ρ、空気の比熱c用いてい表しましょう。
問3-2 空気から雨戸にt秒間で逃げていく熱量Qを雨戸の熱伝導の式を参考にして表しましょう。
問4 問3-1で求めた熱量と3-2で求めた熱量がしいとして、空気が露点よりも下がらないために厚さLはいくら以上にする必要があるでしょうか。既出のパラメータを用いて表しましょう。
例題の解説
問1 初期状態では外気温T0で雨戸内空気がT1でその差ΔT=T1 – T0 で、残りのパラメータは与えられた通りで、これらを熱伝導の式に代入して、q = λ (T1 – T0) / d です。
問2 これも熱伝導の式に代入すればOKで、ΔTの部分のみ変わります。q = λ ((T1-T0)/2 + (T2-T0)/2) / d で少しややこしく見えますが、温度差の部分が少し煩雑になっているのみで他は変わりませんね。
問3-1 比熱の式に文字を代入していきます。温度差はT1 – T2 で、質量は密度×体積 = 密度×断面積×長さ = ρ・1・L =ρLです。これらを代入してQ = ρLc ( T1 – T2 )が解答。
問3-2 問2で求めた熱流束に断面積と経過時間をかければよいので、Q = λ ((T1-T0)/2 + (T2-T0)/2) / d・tです。断面積は1と与えられているため式の上では消滅しています。
問4 問3-1, 3-2の答えをそのまま使って、Q = ρLc ( T1 – T2 ) = λ ((T1-T0)/2 + (T2-T0)/2) / d・t からLについて解くと、以下のようになりますね。
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当然ですが必要厚さLは温度差が大きく、経過時間が長いほど、雨戸の熱伝導率λが大きい(熱を伝えやすい)ほど、大きくなることが分かります。
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